Essay 88

ソニーPlayMemoriesの動画ブラックアウトを解決

2024年6月3日和戸川 純
モニター画面のブラックアウト

最近、デスクトップパソコンを買い替えた。新パソコンはHP Pavilion Desktop TP01で、プロセッサーがインテルCore i7、メモリは16GB/SSD:512GBで、インテル UHD グラフィックス 770(GPU)が装備されている。動画処理には十分な性能だ。
ビデオカメラも新しく購入した。パナソニックの4Kビデオカメラで、解像度が3840x2160(ドット数830万)。これが私の初めての4Kビデオカメラだ。

今までソニーのHandycamビデオカメラを使っていた。初期のHandycamから始まって、解像度が1280x720(ドット数92万)のハイデフィニション(HD、ハイビジョン)や、1920x1080(ドット数207万)のフルハイデフィニションのHandycamを購入し、「ソニー愛」が途切れることはなかった。パナソニックのビデオカメラは初めて購入した。4Kの解像度は3840x2160(ドット数830万)だ。HD→フルHD→4Kと、映像がより鮮明になるのを実感。

図1.画面中央に表示されるはずの動画が完全にブラックアウト

撮影した動画をパソコンに取り込むのに、パナソニック4Kビデオカメラ付属のソフトウェアHD Writerを使った。動画や写真(以下、グラフィック)の管理と簡単な編集には、ソニーのソフトウェアPlayMemoriesを使っている。PlayMemoriesは、ソニーのデジタルカメラやビデオカメラに付属しているソフトウェアだ。グラフィックをパソコンへ取り込んだり、それらのグラフィックの整理と管理や、簡単な編集をするのに使われる。操作が容易なので、私はこのソフトウェアでグラフィックを管理している。

PlayMemoriesでは、登録したグラフィックの一覧表が作成される。動画を一つ選択するとモニター画面に大きく表示され、再生と編集ができる。図1の例では、赤枠で囲んだ神輿の動画のサムネイルを選択している。その動画がモニター画面で完全にブラックアウトになっている。音声は聞こえるので、動画だけに問題が発生したことになる。

問題解決を目指して

PlayMemoriesを使えないと困るので、問題解決のために、まずブラックアウトする動画の解像度を調べた。4Kのように解像度が大きいと、ソフトウェアが処理できない可能性がある。撮りためた動画を古いほうからチェックした。解像度が720x480(ドット数35万)程度のAVIやMPEG2のフォーマットでは、問題が起こらないことが分かった。

ブラックアウトが発生するのは、HDの動画からだった。この事実が私を混乱させた。動画処理能力が低い以前のパソコンを使って、PlayMemoriesでHDの動画を再生しても、何の問題も生じなかったのだ。高性能パソコン+PlayMemories+HD以上の解像度動画の組み合わせの相性が、良くないようだ。3つの変数の相互関係を解析するのは困難だ。ネットに解決策を求めることにした。PlayMemoriesのブラックアウトや動画停止への対処方法として、次のようなことが挙げられていた。

HDと4Kの動画フォーマットはMP4なので、「1」は除外した。「6」については、現在のパソコンのグラフィックスカードが、以前のパソコンのカードよりも性能が高いので、やはり検討から外した。「2~5」が指示することを実行したが、全く改善しなかった。

既視感のある正解
図2.ソフトウェアの設定で問題解決

ソフトウェアの設定で問題解決を試みた。PlayMemoriesの「設定」へ入るには、図1の上段の「メニューバー」にある「ツール」をクリックする。表示された図2の「設定」画面で「高度な設定」を選択。「ビデオの再生」でくくられたラジオボタンの選択が大事だ。上述したように、ネット情報では、「自動設定の結果を有効にする」を選択することになっている。これは問題解決にはならなかった。
「いやな予感」がした。その下に、「ハードウェアアクセラレーションを無効にする」のラジオボタンがあったからだ。「アマゾンビデオのクラッシュを止める」で述べたように、クラッシュを止めることができたのは、想定外のハードウェアアクセラレーションの停止設定だった。アマゾンビデオの問題と同様に、PlayMemoriesの問題でも、ネットでハードウェアアクセラレーションが問題視されていることはなかった。そもそも、ハードウェアアクセラレーションは、画像処理を高速で行うための機能だ。逆転の発想がなければ、ハードウェアアクセラレーションの停止で動画の不具合を改善する、というアイディアは浮かばない。

図3.動画の再生が可能に

図2のように、「ハードウェアアクセラレーションを無効にする」のラジオボタンを選択した。これによってPlayMemoriesのモニター画面で動画が再生できるようになり(図3)、個々の動画の内容確認と編集が可能になった。

そもそもハードウェアアクセラレーションとは何か

画像処理を高速化するハードウェアは、アクセラレータと呼ばれる。代表的なものにリアルタイムグラフィックス処理に特化したGPU、数値演算コプロセッサのFPU、音声のデジタル信号処理に特化したDSP、拡張ボードに実装したベクトルプロセッサやFPGAなどがある。私のHPデスクトップにはGPUが実装されている。

原則として、アクセラレータを搭載していないコンピュータは、ハードウェアアクセラレーションを利用できない。アクセラレータを搭載していないのにアクセラレーションを使うと、問題が生じることがある、と言われる。ここまで述べてきたように、アクセラレータを搭載していてもブラックアウトが生じるので、問題は「常識」が想定する以上にややこしい。
PlayMemoriesでは、ハードウェアアクセラレーションを使用しても、解像度が低い動画の表示には問題がなかった。パナソニックのHD Writerで「ツール」から「設定」を開くと、「ハードウェアアクセラレーション」の項目が見つかる。ここでアクセラレーションの使用・不使用の設定をできる。HD Writerでは、アクセラレーションの使用・不使用に関わらず、HDの動画も4Kの動画も常に表示される。


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