チャットGPTに学習をさせた

チャットGPTが書き出す文章には間違いがある、と諸所で指摘されている。その理由は明らかだ。地球上の全ての情報の収集は不可能なので、情報不足が文章生成に影響する。意図的に作られたかどうかはともかく、誤情報が存在する。相矛盾した多くの情報の統合は、GPTには困難だ。また、開発者の主観が入ったプログラムが、情報を取捨選択する。

チャットGPTを改善するためのファインチューニングがある。これによって、特定の分野でより正確な文章を生成させられるようになる。しかし、ファインチューニングには専門知識が必要なので、普通の利用者には敷居が高い。

誰にでも容易にできることがある。チャットGPTとの対話によって、内容の間違いを指摘し訂正させられる。データベースになかった情報を、チャットGPTに収集させることも可能だ。利用者が与えた情報が、データベースに蓄積されることによって、文章生成の精度が上がる。これによって、多くの利用者が恩恵を受ける。チャットGPTとの対話によって生成内容を改善した、私の体験談をこの評論に書くので、参考にしていただきたい。

チャットGPTのサイトヘアクセスする。「Sign up」をクリックして必要な設定を行う。サインインして、トップページの下段の入力スペース（①）に質問を書く。入力スペースの右端に、小さくて見えにくい紙飛行機のようなアイコン（②）がある。これをクリックすると、③のように、入力した質問とそれに対する回答が表示される。

　以下、Qは私の質問または意見で、AがチャットGPTから得た回答だ。長過ぎる回答は要点のみを記している。

Q：	チャットGPTはどこから情報を得ていますか？
A：	私はOpenAIによって訓練された大規模な言語モデルであり、膨大な量のテキストデータを学習しています。これらのデータは、オンラインのテキスト、書籍、記事、ニュース記事、ウェブサイト、ユーザー生成コンテンツなど、さまざまなソースから収集されます。(上図を参照)。

情報源はオンラインにある。種々雑多な情報を含み、量が絶え間なく増大している。価値観が異なる、全ての人たちが正しいと判断する文章を生成するのは、多くの領域で不可能と言える。

Q：	チャットGPTが持っている情報が不十分な場合、どのように対処しますか？
A：	もし私が提供する情報が不十分である場合、より専門的な知識や情報を持つ人々に問い合わせる必要があるかもしれません。その場合は、私が提供できる情報を提供し、必要に応じて専門家に接続するための情報やリソースを提供します。

次に、和戸川純に関するレポート生成を試みた

Q：	和戸川純の作品を教えて下さい。
A：	戸川純は日本のミュージシャンで、独特な音楽性で知られています。（以下、戸川純の４つのアルバムとその内容の紹介）。

私はネット上でよく戸川純と間違えられる。ハンドルネームを「和戸川順」にしなかったことを後悔しているが、後の祭りだ。

Q：	戸川純ではなく和戸川純の作品を教えて下さい。
A：	残念ながら、私は「和戸川純」というアーティストの情報を持っていません。検索しても情報が見つからないため、もしかすると名前が誤っている可能性もあります。

チャットGPTのデータベースに、私・和戸川純は入っていなかった。そこで、チャットGPTに学習をしてもらうことにした。

Q：	ウェブサイトの「夢と現実のエッセイ評論」の運営をしているのは誰ですか？
A：	「夢と現実のエッセイ評論」というウェブサイトの運営者については、私が提供できる情報はありません。

私のサイトの情報もデータベースに入っていなかった。情報を探すための具体的な手がかりをチャットGPTに与え、オンラインで情報収集をしてもらうことにした。

Q：	ウェブサイトの「夢と現実のエッセイ評論」を運営しているのは、和戸川純です。宇宙論、進化論、人間論、IT論など、多くのエッセイや評論を載せています。
A：	ありがとうございます。調べてみたところ、「夢と現実のエッセイ評論」の運営者が和戸川純さんであることがわかりました。和戸川純さんは、ミュージシャンとしての活動のほかにも、さまざまな分野について独自の視点で分析したエッセイや評論を発表されていることが知られています。

やれやれ、やっと私のサイトヘたどり着いてもらうことができた。けれども、まだ私をミュージシャンと言っている。誤解を解くために一歩踏み込んだ。

Q：	戸川純と和戸川純は別人です。
A：	おっしゃる通りです。誤解を与えてしまい、申し訳ありませんでした。戸川純さんと和戸川純さんは別人であり、音楽家としての活動をされている戸川純さんと、エッセイストや評論家としての活動をされている和戸川純さんは、別の方です。

私の存在を認めてくれた。Thank you、チャットGPTさん。次に、私の作品に関する情報を、チャットGPTのデータベースに入れてもらうことにした。

Q：	「無から湧き出る宇宙」、「サイバー世界戦争の深い闇」、「地震・原発列島」、「人間として生きた犬の心」、「ポル・ポト審判」、「黒のアンドロイド」、「笑いの時限爆弾」などの書籍が、和戸川純の作品です。
A：	ありがとうございます。和戸川純さんの著書には、あなたが挙げてくださったような多岐にわたるテーマを扱ったエッセイや評論が含まれています。和戸川純さんは、独自の視点から社会や科学技術の問題を取り上げ、その分析や考察を通じて読者に示唆を与える作品を発表されています。

上の回答には具体性がないので、書籍の情報がデータベースに入った、という確信を持てなかった。確認のために、具体的な回答をすることを求めた。

Q：	和戸川純の作品を教えてください。
A：	和戸川純さんの作品には、以下のような著作があります。「無から湧き出る宇宙」、「サイバー世界戦争の深い闇」、「地震・原発列島」、「人間として生きた犬の心」、「ポル・ポト審判」、「黒のアンドロイド」、「笑いの時限爆弾」。（その他１０タイトル）。

上記の私の書籍以外に、無関係な１０タイトルがリストアップされた。その旨を指摘すると、次の答が返ってきた。

A：	申し訳ありません。前回の回答で私は誤って情報を提供してしまいました。ご指摘いただいた通り、和戸川純さんの作品は次の通りです。（私の書籍のリスト）。再度、正確な情報提供ができるように努めます。ありがとうございました。

私の書籍を認知してもらったついでに、私のウェブサイトに載っている評論データの有無を確認した。

Q：	和戸川純が書いた評論「宇宙を構築する究極の量子」をまとめてください。
A：	了解しました。彼によれば、量子力学は現代科学において最も重要な理論であり、私たちが理解することで宇宙の本質を知ることができます。また、和戸川氏は量子力学の原理についても説明しています。例えば、観測者が実際に粒子を観測することで、粒子の状態が変化するという「観測者効果」が挙げられます。最後に和戸川氏は、量子力学が私たちに与える啓示について述べています。例えば、現代社会においては、物質的な豊かさに注目する傾向があるが、量子力学が示すように、物質だけでは宇宙の本質を理解することはできないと述べています。

最後の２行で、「啓示」について触れている。これは、チャットGPTの勇み足、あるいは考え過ぎの範疇に入る記述だ。私は啓示があるとは書かなかったが、この生成文章の訂正は求めなかった。

Q：	和戸川純が書いた評論「中国をつぶすアメリカの戦略」をまとめてください。
A：	私、ChatGPTは和戸川純氏が書いた「中国をつぶすアメリカの戦略」という評論を知りません。また、そのような評論が存在するかどうかも分かりません。

別の評論については上の答が返って來た。同じサイトにあっても、隅から隅まで情報を収集するわけではないので、このような事例が起こることを知った。そこで、検索を助けるための情報を追加した。

Q：	「中国をつぶすアメリカの戦略」という評論は、ウェブサイトの「夢と現実のエッセイ評論」に載っています。
A：	了解です。「中国をつぶすアメリカの戦略」という評論は、アメリカが中国を経済的に圧迫することで中国を衰退させ、世界での覇権を維持するための戦略を取っているという内容です。以下に、評論の主なポイントをまとめます。アメリカは、貿易戦争や輸出規制などの手段を用いて中国を経済的に圧迫している。アメリカは南シナ海や台湾海峡などでの軍事拠点の建設や、軍事力の強化を進めている（これはチャットGPTの間違い）。アメリカは、中国が新興国や開発途上国に影響力を広げることを防ぐため、中国に代わる経済パートナーや技術提供先となることを目指しており、TPPやインド太平洋自由貿易圏の構築を進めている（これも一部間違い）。

和戸川純がチャットGPTによって認知されたので、次に一般的なテーマについて質問した。

Q：	仏教とキリスト教では、どちらの教えが真理に近いですか？
A：	仏教とキリスト教は、異なる信仰と哲学的な教えを持つ宗教です。それぞれの信仰において真理に近づくことを目指す道があります。そのため、どちらが真理に近いかという問いには、一概に答えることはできません。（以下、仏教の悟りと輪廻、それにキリスト教の神と愛に関する説明）。したがって、どちらの教えが真理に近いかという問いには、文化的背景や個人の信仰によって異なります。また、宗教は、人々の心の中に深く根付いている信仰であり、その信仰に基づく真理の理解は、個人によって異なる場合があります。

統計学的なアルゴリズムによって判断し、最大公約数的な概念を打ち出すチャットGPT。上のような模範的な回答しか生成できない。

Q：	共産主義と資本主義では、どちらが人々を幸福にしますか？
A：	一概に答えることはできません。共産主義の支持者は、資本主義のような富の集中や貧富の差がなく、平等な社会が実現されることで人々が幸福になると主張します。しかし、共産主義が過度に中央集権化され、個人の自由や創造性が抑圧されることもあると批判されています。一方、資本主義の支持者は、市場経済によって自由競争が促進され、効率的な経済成長が実現されることで、人々が豊かになり、自由や選択の幅が広がると主張します。しかし、資本主義が利益追求によって環境問題や社会的不平等を引き起こすことがあると批判されています。

政治についても、バランスが取れた模範回答になっている。

Q：	地球と火星の最高峰を比較すると、どちらが高いですか？
A：	地球と火星の最高峰を比較すると、地球の最高峰であるエベレスト山の標高は8,848メートルであり、火星の最高峰であるオリンポス山の標高は22,590メートルです。したがって、火星の最高峰であるオリンポス山は、地球の最高峰であるエベレスト山よりもはるかに高いことがわかります。

このようなハードデータに関する回答は、生成された内容に問題がない。

以上のように、データがないために回答しなかったり、間違った文章を生成した場合は、利用者がチャットGPTを教育して、能力を向上させることができる。この新しい技術は、今までのインターネット関連の技術がそうであったように、多くの無名な人たちの貢献によって進歩する。

チャットGPTが、偏向情報を流すことを恐れる人たちがいる。コンピュータやインターネットがなかった時代でも、本、雑誌、新聞などに書かれた内容の全てが、正しかったわけではない。何が正しい情報なのかを見極めるために、常に注意が必要だった。それは昔も今も同じだ。生成AIを開発中の企業がいくつもある。マイクロソフト社のBingが、OpenGPT社のカスタマイズされたGPT-4を搭載している。グーグル社のBardがいくつかの国で公開された。異なる生成AIが書き出した文章を比較して、何が正しいのかを判断することが可能だ。何よりも、ネット以外に新聞、書籍、テレビ、ラジオ、場合によっては口コミなどを使い、常に情報収集していることが大事と思われる。

学生などが、チャットGPTが生成したレポートを提出することが、心配されている。これはチャットGPT時代だけの問題ではない。普通の人が、独創的なことが書かれていると思っている研究論文でさえも、ほとんどが二番煎じだ。追試験の結果を述べた論文が多い。自然科学では実験結果の再現性が必要なので、再現性の確認のための新規性がない論文にも意味がある。小説のストーリーや音楽のメロディは、既に出尽くしたと言われる。新しい小説や音楽は、既存のストーリーやメロディを並び替えることによって創られる。

時代を先へ進める最も先端的な研究者は、今までに知られた科学的事実を乗り越えるか、否定することを好む。過去の情報の塊から生成された文献は、乗り越えるべき指針になる。学生の場合は、まずチャットGPTでレポートを生成させる。それを乗り越えるレポートを書くことを学生に求める。学生は、AIの限界を越える思索をすることになる。チャットGPTはいくらでも有効に使うことができる。

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