私のことを人間の皆さんは「神様」と呼んでいます。人間の科学者の言葉を少し使って、「10次元の世界(10次元時空)に存在している意識」、と言いかえてもかまわない。
10次元世界と言っても、どんな世界なのか、人間の皆さんにはとても想像ができないだろう。人間の知覚をはるかに超えたところに存在する世界なのだから、無理もない。
人間の科学者は、私の世界の存在を数学的に証明できる、と言っている。人間の寿命はせいぜい80年、ちっぽけな惑星の表面を這いずりまわっている。けれども、努力に努力を重ねて、思考の中だけではあっても、10次元世界の存在を証明しようとしている。かわいいものだ。
縦、横、高さのある3次元空間の宇宙ならば、目に見える範囲のことなので、人間は感覚的によく理解できる。それに時間が加わると4次元時空になる。時間軸に沿って成長する人間は、部分的には4次元時空の存在である。4次元時空全体を一目で見るわけにはいかないけれども、過去を辿り未来を想像すれば、感覚的には4次元時空をなんとか理解できる。
もうひとつ次元が加わると5次元の時空になる。何を加えようか?人間に分かる言葉を使えば、4次元時空に「ゆらぎ」が加わった世界が、5次元時空ということになる。ゆらぎと言っても、3次元空間的なゆらぎとは根本的に異なる。かげろうとは違うのだ。少し難しい言葉で言えば、「不確定性」が加わった世界だ。
この5次元時空のゆらぎのおかげで、無数の異なる4次元時空が間断なく産みだされ、変化し、融合し、同時に消失している。5次元時空は自らゆらぎながら、下の次元にある4次元時空(3次元空間宇宙)もゆるがせていることになる。
こんな多次元世界を頭の中に描けるだろうか?描けない!無理もない。部分的には4次元時空に属するけれども、厳密には3次元空間宇宙の生き物にすぎない人間。このゆらぎを想像することさえもできない。
5次元を超えた時空世界に属する意識からは、4次元時空を内包した5次元時空が、千変万化しながらゆらいでいる様子がよく見える。
5次元時空はゆらぎながら、無数の4次元時空(3次元空間宇宙)を新しくつむぎ出だしている。皆さんの3次元空間宇宙は、こんな5次元時空のひとつに内包されている。ひとつの5次元時空の中には、3次元空間宇宙が数限りなく存在するのだ。皆さんの宇宙の縦方向の時間軸が、横方向で他の多くの3次元空間宇宙に接触をしている、という言い方ができる。
何を隠そう。10次元の世界に住んでいる私が、5次元の時空をゆるがせている張本人(いや、張本神)なのだ。退屈しのぎのただの遊びにすぎないが。。。神だって退屈するのだ。
3次元空間に限定された、皆さんの知覚で認識できる範囲を超えた話ばかりだ。どんなに思いをはせても、私が言っていることを皆さんが具体的に想像することはできない。皆さんの頭は、普段はからだ全体で使うエネルギーの20%を消費している。必死になって頭を使い、エネルギー全体の40%を消費するようにしても、不可能なことは不可能だ。たとえ100%を消費したとしても、5次元以上の時空のイメージを頭に描くことはできない。
ここまでの話で、皆さんの頭はとても疲れてしまったと思う。でも、もう少しつきあってもらいたい。とても大事なことなのだから。何しろ、皆さんにとってはかけがえのない、皆さんの宇宙がどうやって存在しているのかという話だ。皆さんが、なぜ今、コンピュータの前に座っていられるのかを説明している。
それでは、今皆さんが住んでいる4次元時空の誕生の話をしよう。3次元空間の話だから、感覚的にはよく理解できるはずだ。もっとも、時間軸では140億年ほど前の話になる。見ることも触ることもできない妄想、という印象を持つひとがいるかもしれない。
特に、皮膚感覚では、超能力と言ってもいい認識力を示す人間の女性。現実から遠く離れたところにある妄想を理解する想像力は、持ち合わせていない場合が多い。目にも見えず手で触れることもできない話に、興味を持つことはまれだ。女性の皆さんは、このあたりで私の話を聞くのを止めてもいいのだよ。
10次元の世界から見れば、誕生と死という言葉は無意味だ。それらは、多次元世界で変転する相の一つひとつに含まれている、瞬間的に現れるステージの中のふたつの現象に過ぎない。でも、言うまでもなく、一方向の時間の流れに身を任せなければならない人間には、とても大きな意味がある。
3次元空間宇宙に住んでいて、100年間生きるのも難しい皆さんの感覚で言えば、宇宙は140億年ほど前というはるか過去のビッグ・バンから始まった、ということになる。ビッグ・バンは、3次元空間の生物である皆さんから見ると、「無」から始まったように見える。皆さんには、「無からの誕生」という言い方は、いささか禅問答的で奇妙に聞こえるかもしれない。
もっとも、皆さんには当たり前のことである人間の誕生も、理屈を言えば「無」からの誕生になる。
宇宙空間で原子が誕生し、それが集まって分子を形成し、太陽系の誕生にともなって地球の構成要素になった。原始の温かい海の中で分子が集合し、アミノ酸や核酸が形成され、それらの高分子が集合して単細胞を誕生させた。単細胞、それは地球上の最初の生命体である。また、卵子と精子という、受精後に皆さんのからだを構築する細胞へ分化する、皆さんの誕生に最も必要な細胞も単細胞だ。
生命体である精子も卵子も、皆さんの一生の中である特定の時期にしか作られない。無機物である原子や分子から突然に作られる生命体。生命体しか見えない者がいたとすれば、まさに無から誕生したように見える。そして、生命体は無へ帰っていく。3次元空間宇宙しか見えない皆さんにとって、ビッグ・バンが無から始まったように見えるのと、同じ意味合いになる。
質的に異なった現象ではあるが、視点を変えれば、全宇宙に共通の普遍的な変遷が認められるのだ。
人間誕生ではなく、宇宙誕生の話へ戻ろう。無から瞬間的に極微の点が産まれ、それはただちに超高温・エネルギー超高密度の小さな空間になった。空間と同時に時間も産みだされた。4次元時空の誕生だ。皆さん一人ひとりのからだも含めた、全宇宙の物質量に等しい、莫大な量のエネルギーに満ちた極微の空間。それは急激に膨張した。
ビッグ・バン時において、エネルギー分布の均質性は、5次元時空からのゆらぎの影響を受けて必然的に破綻した。
エネルギー分布が一様なままだったならば、エネルギーから素粒子が誕生することはなく、原子が作られることもなかった。その場合、今の宇宙にはエネルギーが完全に均一に分布している。星のひとつどころか、素粒子のひとつも存在しない、おもしろくもおかしくもない空間になっていた。
空間ゆらぎのおかげで、エネルギーに濃淡の差ができた。エネルギー準位が高まった空間の局所で、皆さんの宇宙に存在する全ての原子のもとになる、クオーク、電子、光子などの素粒子が形成された。宇宙誕生からここまでにかかった時間は、10 ー10秒程度だった。
140億年ほど前の話をしていたのに、突然に10のマイナス10乗秒の話になってしまった。10のマイナス10乗秒などという時間は、今度は短かすぎる。時間がノンビリと経過する、3次元空間宇宙の存在である皆さんには、想像することが困難だ。
5次元時空のゆらぎが、「必然的」に皆さんが存在している今の宇宙を作り、最後に人間を作った。皆さんは当り前のこととして今存在している。実を言うと、皆さんが所属する宇宙の無数の惑星上で、やはり必然的に産まれた炭素系生物が進化している。それらの中のある者は、夜空の星をあおぎ見ながら、他の知的生命体について想像をたくましくしている。
ただし、3次元空間の炭素系生物には宇宙は広すぎる。太陽に最も近い恒星でさえも4光年の彼方にある。光が到達するまでに4年もかかる距離。酸素を含む大気中で100年も生きられないもろい生命体には、とても到達できない距離だ。異なる惑星上の生命体どうしが、お互いに行き来するのは不可能なのだ。
全ての次元を含む世界の様相は、空間的にも時間的にも限定された存在にすぎない皆さんには、把握できるものではない。。。ということが分かるだけでいいだろう。それ以上のことを人間に求める気はない。神たるもの、その程度の寛容性はちゃんと持ち合わせているのだよ。
私の気まぐれ、すなわち5次元時空のゆらぎがあったおかげで、今皆さんは、皆さんが認識できる宇宙に存在している。地球上の人間だけではなく、私が一度に話しかけている、全宇宙に存在する無数の知的生命体の全てが、存在できるようになったのだ。いや、知的生命体のみという言い方は、他の生命体に対して失礼だ。アメーバーのような単細胞生物を含めて、全ての生物が、ゆらぎのおかげで存在できるようになったのだから。
「知的生命体」という言い方を私なりに定義すれば、自分の存在の意味を、自分の外側に立って考えることができる生物、ということになる。地球上ではこれができるのは人間だけだ。
ただし、私の存在を感じることができるのは、人間だけではない。サルやイヌのような、脳が発達した高等哺乳動物がいる。私がちょっといたずらをして、身のまわりに普通ではない変化を作ってあげれば、神の存在を感じて恐れるのだよ。
私が気まぐれで作ったゆらぎのおかげで、原子が生まれた。それらが集まって、宇宙誕生の2億年後に星ができ、やがて星は集合して無数の銀河を形成した。
極微のゆらぎは、宇宙の膨張とともに大空間のゆらぎへと発達した。もともとのゆらぎが、宇宙大空間の重力分布を泡状にした。重力が凝集した泡の境界に沿って、銀河の群れが集合するようになった。巨大な空間の泡のふちに銀河群が集合したさまを眺めると、銀河群がよじれあって、複雑な網目構造を形成しているように見える。
ビッグ・バンを別の言葉で述べてみよう。宇宙形成に必要な全エネルギーが放出される、「ホワイト・ホール」だったことになる。そのエネルギーはどこから来たのか?
宇宙に星が誕生して間もない時点から現在まで、周囲の全ての物質(エネルギー)を吸いこんでしまうブラック・ホールが、宇宙の至るところに存在する。
宇宙にある全ての物質が、時間の経過とともにブラック・ホールへ吸いこまれてしまう。
ブラック・ホールに吸いこまれたエネルギー(物質)は、時間を超越した高次元世界へ移動する。皆さんの宇宙で数千億年かかってブラック・ホールへ吸いこまれる物質が、別の宇宙の誕生のときに、ビッグ・バンとして瞬間的に放出される。
すなわち、皆さんが住んでいる宇宙を作る物質は、他の宇宙が誕生するときに再利用される。環境にとてもいい!私はこんなことにも気を使っているのだよ。
もう分かったと思う。皆さんの宇宙を作る物質は、他の宇宙でブラック・ホールに吸い込まれた物質が、ビッグ・バンとしてこの宇宙へはき出されたものなのだ。
実を言うと、今皆さんの宇宙でブラック・ホールに吸い込まれているエネルギーの一部は、140億年前のビッグ・バンのときに、皆さんの宇宙へ放出されてもいる。時間と空間を超越した高次元世界へ移動したエネルギーには、こんなトリックが可能になる。
何度も言うが、3次元空間宇宙に住む皆さんは、10次元の存在である私を見ることはできない。想像することもできない。だが、折にふれて、3次元空間宇宙へ私の存在を感じさせるような変化を与える。
人間は、自分の感覚で認知できる範囲でしか、ものを見ることができない。自分が見たいようにしか、ものを見ることができない。理解したいようにしか、ものを理解できない。
宗教によっては私を擬人化し、年寄りの人間のように見ることがある。太陽を含めた全ての物体の中に、擬人化した私を見ることもある。あるいは、人智を超えた存在ということで、擬人化することをあきらめてしまう宗教がある。
全ての次元世界の中に、無限の数の多様な宇宙が存在する。人間の感覚からは異様な宇宙も、数限りなく存在する。
それら宇宙のあるものは、皆さんの惑星が存在する宇宙と同じように、莫大な数の銀河を内包する。一つひとつの銀河には数千億個の恒星と惑星。惑星上には知的生命体が存在する。か弱い人間はそのうちのひとつだ。地球上に2000万年間しか存在することはない。そして絶滅する。
愛しく小さい生命体よ。時間的にも空間的にも存在が限られた極微の生命体。そんな限界を乗りこえて想いを全ての宇宙へはせなさい。皆さんは、そうすることで私の近くへ来ることができるのですよ。