Essay 60

これがバセンジーの奇妙な鳴き声

和戸川の関連書籍「人間として生きた犬の心
2018年8月13日
和戸川 純
やっと撮れたラッキーの鳴き声

吠えないイヌとして知られるバセンジー。ラッキーも、同族の名誉にかけて滅多に声を出さない。現在8歳。撮りためたビデオの数はとても多いが、ラッキーの声が記録されているビデオは、ほとんどない。大部分のビデオがまるで無声映画。

ラッキーが声を出すタイミングは分からない。奇妙な声を発するのはまれなので、鳴き声を聞いた途端に、あわててビデオカメラを取りに行く。けれども、戻るとケロッとしてすまし顔。カメラをかまえても、もはやウンともスンとも言わない。

ラッキーが鳴き声を出すのは、うれしいときよりも不安なときのほうが多い。従って、私と妻が家にいるときではなく、2人とも不在のときによりしばしば声を出す。その声は、「鳴き声」ではなく「泣き声」に近くなる。
そんな理由で、鳴き声入りビデオの撮影は、私には難しい。ここに載せた声入りビデオは、たまに帰ってくる長男が撮影したものを含んでいる。

動画1

私と妻が外出した直後。ラッキーの気配にチャンス到来を感じた長男が、スマホで撮影した。このビデオの冒頭で聞くことができる、イヌの声とは思えない、不思議な鳴き声に注目していただきたい。この声を、カタカナでどう書けばいいのか分からない。最後の精一杯の遠吠えは、外出した私たち夫婦への呼びかけだ。(2歳)

動画2

家に1週間滞在した長男と次男が帰った。車で駅へ送るために、妻も一緒に家を出た。私だけが家に残った。ラッキーが、3人が出たばかりのドアの向こう側を、気にしている。

息子たちが家を出るのに、準備のための時間がかかった。ラッキーはずっと落ち着かず、鳴き声を出し続けた。おかげで、私にはビデオカメラの準備をする余裕ができ、鳴き声入りビデオの撮影時間が長くなった。このビデオの鳴き声は、普通のイヌと余り変わらない。(8歳)

動画3

私と妻が外出。たまたま家に戻っていた、留守番役の長男が撮影。撮影チャンスが多かったが、それは、ラッキーが長時間に渡って不安に感じていたことを、意味している。

ラッキーは、ビデオの最初のほうで、2人が出た玄関のほうを向いて坐っている。それから、あちらこちらを落ち着きなく歩き回り、鳴き声を出し続けた。
息子も落ち着かなくなり、ラッキーをなで始めた。 ラッキーはなでられるのが大好きで、朝から晩まで、何かといえばなでることを要求する。ところが、このときは、なでられてもなでられても落ち着かなかった。このビデオの最後で、ちょっと変わった声を出した。(1歳)

動画4

珍しいことに、うれしいときに声を出した。奇妙な声「グルルル」が、余りにも短かかったので、皆さんが聞き逃さないように、吹き出しを入れた。

このビデオは、9か月令のときに撮影した。まだ遊び盛りだった。ガムを食べる前に遊びたくて、私にガムを投げることを要求。ネコのように、前足を使ってガムにじゃれた。

* * * * * * * *

うれしいときや気を引きたいときに、「ワン」と、普通のイヌと同じ声を出すことがある。年に数回程度だ。一瞬なので、カメラを構える余裕はない。

ラッキーは、私たちがテレビを見ている居間のソファで、眠りにつく。最近、寝入りばなに、とても低い含み声で「ムウーン」と言うようになった。気持ちの良いときに出る声のようだ。この声は私たちとの会話に使われる。「ララ(ラッキーの愛称)、眠いの?」と妻。「ムウーン」。「ムウーンなの?」と私。「ムウーン」。...と、こんな調子で会話が続く。

写真1
mya-o

若いときにしばしば出していた、ネコのような声「ミャーオ」。私がラッキーの食事を準備しているときに、この声を発した。食事の準備が遅いので、イライラしたときに意思表示として出したように思われる。ビデオを撮れなかったので、吹き出しつきの写真で代替。

写真2
wind

家に誰もいなくなったときに出す、風の音のような鳴き声「フオオオーン」は、まだビデオに撮っていない。この鳴き声は、バセンジーに特有なように思われる。アフリカのサバンナで、遠くまで聞こえるに違いない。吹き出しつきの写真で代替。

ついでにラッキー(バセンジー)の生態
動画5

久しぶりに帰ってきた次男と男どうしの勝負。(7歳)

動画6

なでられたり、かかれたりするのが大好き。毛が短いために、皮膚の感覚が鋭いのかもしれない。(7歳)

動画7

バセンジーは熱さに強い。...というよりも、熱いのが大好き。このビデオは、2017年8月8日午後2時頃、直射日光が当たるバルコニーで撮った。気温は34度だった。ラッキーは気持ち良さそう(!!)。他の家ではイヌのためにエアコンを入れるが、我が家ではイヌのためにエアコンを消す。(7歳)

動画8

伏せた姿が美しい。スフィンクスに似ている。エジプト人は、スフィンクスのからだをライオンそっくりにしたが、製作にあたって、身近にいるバセンジーをモデルにしたのではないだろうか?(7歳)

動画9

テレビがうるさいが、この寝姿は、熟睡に入ったことを示している。折り曲げた後足の下に、鼻を入れている。鼻を隠す意味は何だろうか?野生の状態では、聴覚だけではなく、嗅覚も身を助けることにつながるが、デリケートな鼻を守るのは、それ以上に大事なのかもしれない。尾の力が抜けているので、丸まりが半分解けた。(7歳)

動画10

夏以外は、ソファの上に丸めた毛布の、穴の部分に入り込んで寝る。私たちは、この丸めた毛布をネスト(巣)と呼ぶ。ラッキーは、ネストにもぐり込むと、とても落ち着くようだ。横になった状態で足を伸ばすと、足がとても長いのがよく分かる。この長い足を、ネストの中では小さく折りたたむ。(6歳)


追記:菜の花を食べる
2019年4月7日
写真3
nanohana

ラッキーの春の楽しみは、散歩の途中で菜の花を食べること。菜の花の気配を感じると、まっしぐらに菜の花へ向かう。

写真4
taberu

葉は食べない。花だけを器用にかみ取る。放っておけば花を全部食べてしまうので、途中で止める。家ではキャベツやキュウリが大好物。イヌだってビタミンCを必要としている・・・・と同情してしまう私。ラッキーのご先祖様は、サバンナでビタミン源の確保に苦労したと思う。

動画11

ラッキーが最近出すようになった、奇妙な声がある。上のビデオで、「グー」という含み声を聞くことができる。いびきのように聞こえるが、いびきではない。いびきは、このような声にはならない。熟睡するとこの声を出さない。半覚醒状態で出す声だ。

寒い夜に毛布で包まれて出す声なので、気分がとてもよいことを示す。この声を、私たちの呼びかけに反応して出すことがある。
「ラッキー、気持ちがいいの?」と私。「グー」とラッキー。「もっと大きな声で!」と私。「・・・・」とラッキー。「グーは?グー、グー」と私。「グー」と反応するラッキー。こんな調子で私とラッキーの会話が続く。


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