和戸川の思い(その5)
和戸川 純
210

暗闇が大きらいなラッキー

2015年11月6日

ラッキーが夜嫌いなことを、 エッセイ36「犬の常識に挑戦するバセンジー」 に書きました。余りのふがいなさに、「ワンコのくせに暗闇が嫌いだなんて、オオカミのご先祖様に申しわけないと思いないのか?」、と私は叱咤激励します。けれども、私の言うことなど、ラッキーにはどこ吹くそよ風。

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それでも、最近はだいぶ夜遊びに慣れてきました。エッセイ36に書いた、近くの公園の遊び場で、以前は、太陽が沈むと同時に、家へ帰ろうとパニックになったのです。そのあせり方がすごかった。ラッキーが猛ダッシュするので、私はラッキーに引っ張られて、空中を舞うような有様でした。

他に夜が嫌いなワンコはいないので、パニックになっているラッキーを見て、他の犬の飼い主は何事かと怪しみました。私は、苦笑いをしながら、「品行方正なラッキーは、夜遊びが大嫌いなのです」、と弁解しました。

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遊び場で暗くなるまで遊ぶことに慣れたラッキーは、最近では、皆が解散するまでつきあっています。けれども、夕方の海岸の散歩は別なのです。

今は日没が早く、海岸に着く頃にはあたりが暗くなります。人気も犬気もない暗闇の道を歩くことを、ラッキーは完全に拒否します。街灯で明るい道路しか、歩こうとしません。それも海岸沿いの道ではなく、ただ明るいだけではなく、車、人、犬でにぎやかな街中の通りを歩こうと、私を必死に引っ張るのです。

「ラッキー、オオカミのご先祖様が泣いているぞ!」

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皆さんの個人情報がここまで分かる

2015年10月30日

エッセイ46「Wiondows10のセキュリティ設定」 と、 拙著「サイバー世界戦争の深い闇」(特にスノーデン事件の項) で書きましたが、ネットへ接続するたびに、私たちの個人情報が、他人に把握されています。違法なサイバー攻撃ではなく、合法的なやり方でも、大量の情報が集められています。その1例として、グーグルがウェブ・デザイナーに提供している、Google Analyticsについて述べます。

私も使っているGoogle Analyticsで、私のサイトへアクセスする皆さんの、ネット接続環境や年令などが分かります。ただし、個々のユーザーの情報が、グーグルからウェブ・デザイナーへ提供されることはありません。私は、グループ別にまとめられた統計結果しか、知ることができません。ご安心ください。

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この解析結果を見て、私の2つのサイトを、スマホ、タブレット、PCなどの全デバイスに対応できるようにしました。「作者の思い」と「小説」の一部は、まだ未対応です。

「夢と現実のエッセイ評論」へアクセスする皆さんが使っているデバイスは、「モバイル56%、デスクトップ38%、タブレット6%」です。モバイルの中では、iPhoneからのアクセスが群を抜いて多く、51%を占めています。小さな画面サイズでもきれいに表示できるような工夫が、必要であることを理解しました。

アクセス者の年齢層は、「35~44歳29%、25~34歳27%、18~24歳17%、45~54歳15%、55~64歳8%、65歳以上4%」で、性別は、「男性54%、女性46%」です。即ち、30歳台の男女が、アクセスする皆さんの中心になっていると思います。創作において、このことを意識しておく必要があります。

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Google Analyticsでは、他にも多様な情報が提供されています。「エッセイ評論」へアクセスする皆さんの居住地は、「日本91%、アメリカ2%、オーストラリア2%、ロシア1%、その他4%」です。アクセス者の言語は、「日本語92%、英語3%、ロシア語1%、その他4%」です。数が少ないとはいえ、居住地と言語で、ロシアが3、4番に入っています。
都道府県別では、「東京31%、大阪12%、神奈川11%、愛知7%、埼玉4%、福岡3%、千葉3%、その他29%」となります。市町村別の情報もあります。

「アニメと小説の工房」の作品主体はアニメで、タイトルには英語表示があります。外国人のアクセスが多くなることが、予想されます。ユーザーの居住地は、「ロシア47%、日本36%、ブラジル9%、その他8%」、言語は、「ロシア語50%、日本語36%、ポルトガル語9%、その他5%」と、なんと日本とロシアが逆転しています。ロシア人は、アニメに興味を持っているようです。ついでに、日本語でしか書かれていない「エッセイ評論」へ、アクセスしたのかもしれません。

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南シナ海で米軍が仕掛ける

2015年10月28日

中国の対外的な軍事・外交・経済戦略は、極端に強硬です。国内でやっている、国民と批判勢力への妥協の余地のない押しつけ。これが、他国に対しても功を奏すると考えているのです。この余りにも稚拙な戦略を見ると、中国が覇権を握るのは不可能と考えざるを得ません。

狡猾でしたたかなアングロサクソンの系譜国家である、アメリカとの違いは鮮明です。

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アメリカ国防総省(ペンタゴン)は、中国が埋め立てを進めている西沙諸島に対して、軍事行動を取るように、4月ごろから、オバマ大統領に進言していたそうです。オバマはちゅうちょしていましたが、ついにペンタゴンにゴー・サインを出しました。ペンタゴンが、26日に、中国が領海と主張する海域へ、ミサイル駆逐艦を投入しました。
この駆逐艦「ラッセン」は、横須賀を母港にしている、弾道ミサイル防衛システムに組み込まれた、ハイテク戦艦です。地対空ミサイルSAMを装備しています。

アメリカの国防当局者が、「これは、中国の領有権主張に対する挑戦の始まりにすぎない」、と述べています。この言明には「if」や「might」がなく、用意周到な軍事戦略を、既に完全に確立したことを示唆しています。

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ここから先は私の推測になります。

中国は、アメリカの「虎の尾」を踏んだと思います。強大な軍事国家アメリカが、中国の将来を左右するような決断をした、と考えるのが妥当です。

南シナ海で、米軍が、今後中国に対して、執拗な挑戦を繰り返すはずです。これよって、中国軍が米艦を攻撃する可能性が、極端に高まります。それは、習近平の決断ではなく、現場中国軍の反射的な攻撃になるかもしれません。米軍にとってはどちらでもよく、反撃をする口実になります。この反撃には、人工島の破壊が含まれると思います。

南シナ海はアメリカ本土から遠く、局地戦では本土に何の影響もありません。けれども、南シナ海は中国本土に接しているので、ここでの局地戦は、中国に極めて深刻な意味を持っています。

強硬な言動を取っている習政権にとって、事態がどう動こうとも致命的になります。

私でさえも予想できるこのような事態を、全く想定しない中国は、太平洋戦争時の日本と同じです。

207

障害者から学ぶ東京芸大学生

2015年10月22日

No.206に書いたシンポジュームで、東京芸術大学の宮廻教授が、芸大で行っている興味深い取り組みについて話しました。これは、ITとは関係がありません。

身障者は、健常者よりも、身体的あるいは心理的な機能が劣っているので、健常者がヘルプをしなければならない、という社会的なコンセンサスがあります。芸大では、これと正反対のアプローチをしています。健常な大学生が、身障者から学んでいるのです。

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将来プロの演奏者になる学生が、音が聞こえない聴覚障碍者に演奏を聞いてもらい、聞き手が感動する演奏方法を考えています。音楽は耳だけではなく、からだ全体で聞くものです。聴覚障害者は、耳が聞こえない分、外からの刺激に対して、耳以外の部分で健常者よりも鋭く反応すると思われます。心の奥深くへ響くような演奏をするために、常識では考えられないこのような練習が、大事なのです。

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絵を学んでいる学生は、知能の発達が遅れた障碍者と一緒に絵を描き、障碍者から絵の描き方を学んでいます。健常な学生は、30分もすれば絵描きに飽きてしまい、無駄話を始めます。障碍者は、4時間でも5時間でも絵描きに集中します。細密な線で絵を描き、色一つを選ぶのにも細心の注意を払います。

健常者は、日常生活において、いろいろな問題を同時並行で処理しなければなりません。脳の一部だけを活性化させて、他の部分にベールをかけてしまうことはできません。脳の特定の領域に障害がある人の脳では、代償的に他の領域が活性化されることが考えられます。あるいは、一部の領域だけが活性化するのを抑えている機能があると思われ、そんな抑制機能が不全になれば、脳の一部が健常人以上に活性化されることが考えられます。脳に障害のある人が、普通の人では不可能なほどの才能を、いろいろな分野で示すことが知られています。

健常な学生が、自分の脳内にある、絵の能力を高める領域を活性化させるために、上の訓練は大事と思われます。

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東京芸大の教授が発想したこれらの取り組みは、とてもユニークです。大きな成果が出ることが期待されます。

206

文系の頭脳がIT社会をリードする時代

2015年10月21日

昨日、東京工業大学で、IT技術の社会への応用に関するシンポジュームがありました。9年間に渡る文科省の「革新的イノベーション創出プログラム」の拠点として、東工大が中心になって実施するプロジェクトが始まったのです。

シンポジュームのタイトルに、『以心電心』という言葉が入っていました。感情と真意が他の人に容易に伝わり、人々が幸福になる社会の実現のために使える、IT技術の研究開発を行うことがプロジェクトの目的、となっています。

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コンピューターは、人工知能(AI)と言われる段階にまで、進化してきました。人間の手を離れて、自ら情報を処理し(考え)、結論を出すことができるようになったのです。このようなAIが、人間社会を機能させるために、デジタル・ネットワークのあちらこちらに配備されようとしています。ウェアラブル・デバイスとして、人間の生理状態に関するデータをサーバーへ送信するだけではなく、排尿タイムをからだへ教えるようなことまで、やろうとしています。

デジタル・デバイスが、社会どころか、個々の人間の生理や思考・コミュニケーションにまで、深く関与しつつあるのです。コンピューターが、社会と個々の人間に一体化。

コンピューターが、ここまで人間に入り込むようになると、コンピューターの機能をプログラマーだけに任せておくのは、極めて危険です。社会と個々の人間が、人間の感情を離れた機械によって操作される未来は、想像するだけでも恐ろしい。

「AIの人間化」に、今すぐ手をつけなければなりません。プログラミングの技術を確立するのは技術者ですが、「AIの人間化」を考えるのは、心理学、精神分析学、社会学、経済学、政治学、文学、歴史学、芸術などの専門家でなければなりません。AIの進化がここまで来ると、人間を理解できる文系の専門家が主になり、ITの専門家は従になるという選択をしなければ、人間の未来は間違いなく危うくなります。

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アメリカでは、IT系の学部で、文系の科目を学ぶことが必修になりました。日本では、驚くべきことに、文科省が、文系の学部や研究科を縮小しようとしています。

上記シンポジュームで講演した、メディアで活躍している池上彰は、文系出身で元記者でした。現在は東工大の教授になっています。また、上記シンポジュームでは、東京芸術大学の宮廻正明教授が、とてもインパクトのある話をしました。デジタルとアナログを融合させて、理系の専門家とは発想が異なる芸術家が、驚くような仕事をしているのです。

ITの未来は人間が先導しなけれならないことを、アメリカ人も日本人も、間違いなく本能的に悟っています。

205

ラッキーをだます方法

2015年10月6日

奇妙な習癖を持つラッキー。こんなこともあります。

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私と妻がそろって家を離れると、ラッキーはパニックになります。「フオオーン」という、風が吹く音にそっくりな吠え声で、家を離れた私たちを呼び戻そうとします。「ワンワン、キャンキャン」という吠え声とは全く異なるので、聞いた他の人は、犬の声とは認めないと思います。「風が吹いていないのに、なぜ風の音がするのだろう?」、と疑問に感じるはずです。

この「風の音」はとても物悲しく響きます。私たちにとっては、「ワンワン、キャンキャン」のほうが救いになります。「風の音」から逃げるために、急いで家から遠くへ離れます。

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最近、二人そろって外出するときに、「風の音」がしなくなる方法があることを、知りました。

二人別々に家を出れば、ラッキーは静かにしているかもしれない、と考えました。まず、妻が先に家を出て、その数分後に私が家を出ました。家を出るときに、食いしん坊のラッキーの気を紛らわそうと、おやつを床にばらまきました。この方法は、全く効果がありませんでした。「フオオーン」が聞こえました。
偶然に、私が先に家を出たことがありました。すると、不思議なことに、妻が家を出ても「風の音」が聞こえなかったのです。理由は分かりませんが、私が先、妻があとになれば、ラッキーはパニックにならないのです。

何を考えているのか、ラッキーの気持ちは分かりません。何はともあれ、ラッキーをだます方法を見つけた私たちは、幸せです(でも、本当にだまされているのかな?)。

204

女性のパワーはすごい

2015年10月2日

東京から東へ、電車で40分ほどのところに、人口3万人弱の幕張町があります。古い住宅街で、東京とは環境が全く異なる、静かな町です。

駅の近くに幕張公民館があります。郊外のありふれた公民館です。この公民館で、場違いな活動(?)が行われています。定期的に有名人を呼んで、講演会を開いているのです。今までに講演した方の名前は、下記の通りです。

  • 田中均(元外務審議官)
  • 森本敏(元防衛大臣)
  • 田母神俊雄(元自衛隊航空幕僚長)
  • 島村英紀(元国立極地研究所長)
  • 孫崎享元(外務省国際情報局長・防衛大学校教授)
  • 本吉洋一(元南極観測隊長)
  • 宮家邦彦(元外務省日米安全保障条約課長)
  • 孫崎享(元外交官・防衛大学校教授)
  • その他
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この講演会を主宰している「こくさい交流幕張」は、女性が中心になって活動しているグループです。まだ子育てに時間を取られている、年齢不詳の魅力的な女性Hさんが、世話人です。
この女性の行動力には驚きます。男性ならばちゅうちょするようなことでも、行動的な彼女は、軽々とこなしてしまうのです。こまやかさと大胆さに裏打ちされた活動。ひなびた郊外の町の小さな公民館へ、日本中へ名前が知れ渡った有名人を、次々に呼んでしまいます。

ボランティア活動なので、資金は豊富とはいえず、講師にはほんの電車代程度の謝礼しか、渡していないようです。

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女性にはもっと社会に出てもらって、大いに活動してもらいたい。男性とは質的に異なる影響を、社会へ与えることができます。

203

Windows10、ブラウザに注意

2015年9月17日

マイクロソフト社は、Windows10で、Microsoft EdgeをInternet Explorerの次世代ブラウザにすることを、明確にしました。そのせいか、OSをWindows10にしてから、私のパソコンでExplorerが機能しなくなりました。

私は、私のウェブサイトの見え方をチェックするために、Mozilla Firefox、Google Chrome、Opera、Explorerなどのブラウザを、使っています。どのブラウザのセキュリティも最高度に上げているので、ブラウザによっては動きがとて重くなります。Windows10にしてから、Firefoxにこの問題が顕著に現れたので、セキュリティのアドオンを減らしました。Explorer以外のブラウザは、今は問題なく動いています。
Explorerは悲惨です。ラップトップでは、開くことが全くできなくなりました。デスクトップでは、開けそうな気配を見せますが、白い外面に「動作を停止しました」というメッセージが出て、それ以上前へ進めません。止むを得ず、Explorerの使用を完全にあきらめました。その代わりに、Microsoft Edgeを使うことにしました。

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Edgeは、単なるブラウザ以上の役割を担わされています。その分多機能になっているので、使い慣れるまで、少し時間がかかるかもしれません。外部と、いろいろな情報のやり取りをする機能があるので、セキュリティ対策をしっかりやらなければ危険です。

Edgeは、Explorerが苦手だった、スマホやタブレットに対応できるようになっています。このあたりが、マイクロソフト社の開発の意図と思われます。

Explorerから「お気に入り」をインポートできます。右上にある、「お気に入り」のアイコンをクリックすれば、「お気に入りのインポート」という表示が出るので、そこから今まで使っていた「お気に入り」を、Edgeへインポートできます。

右上の「他の操作」のアイコンをクリックし、一番下の「設定」を開くと、「詳細設定を表示」からいろいろなセキュリティ設定ができます。

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Explorerとはデザインが根本的に異なるので、最初は使いにくいかもしれません。けれども、私のパソコンでExplorerが既に機能不全になっていることから、ExplorerからEdgeへ急速に移行させようとしている、マイクロソフト社の意図を感じます。ネットへのアクセスを今後も維持するために、面倒でもEdgeへ移行することをお勧めします。

202

命よりも大事な犬

2015年9月13日

鬼怒川氾濫のニュース映像の中に、次のようなシーンがありました。

濁流の中に取り残された2階家の屋根の上に、右手で犬を抱いた男性がいました。男性は屋根の下端にいて、その屋根のかわらがはがれ始めたので、自分のからだをずり落ちないようにすることが、困難な状況にありました。両手を使ってからだを支えるのも困難。まして右手で犬を抱いているので、状況は絶望的に見えました。それでも、決して犬を放そうとはしませんでした。

自衛隊のヘリコプターが、救出のために近づきました。ロープで降下した救助隊員と男性の間で、どのような会話がなされたのかは、分かりませんでした。

一刻を争う緊急事態。人命救助の責任を負っている隊員は、男性と自分の命を最優先に考え、犬を手から放すことを求めたと思います。けれども、男性は決して犬を放そうとはしませんでした。男性、犬、救助隊員が一体となって、一本の細いロープで吊り上げられる、象徴的なシーンを見ることができました。

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7月に、調布市で小型機が墜落しました。飛行機が突入した家にいた若い女性は、すぐに家を出れば助かりました。ところが、燃え上がる家の2階へ行って、何匹かの飼い犬を必死に探し始めたのです。煙に包まれたベランダから地上へ投げ落とした犬の命は、助かりました。自分も飛び降りていれば助かったと思いますが、女性は他の犬を探すために、燃え上がる家の中へ戻ってしまいました。そして亡くなったのです。

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自分の命を捨ててでも、犬の命を助けようとする行為に対して、良い悪いという価値判断を下すことはできません。それは、種の垣根を越えた、生物の根源的な本能に根差した行為だからです。このような本能について、拙著「人間として生きた犬の心」で詳しく解析しました。

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中国は崩壊する

2015年9月6日

太平洋戦争はなぜ始まったのでしょうか?

アジアで近代化(ヨーロッパ化)に唯一成功した日本は、経済力ばかりではなく軍事力も身につけました。そして、ヨーロッパの植民地主義を手本に中国へ侵略。満州国の建設。非ヨーロッパ系の新興強国日本に対して、鉄や石油を輸出しないなど、アメリカは強力な経済制裁を科しました。占領地からの日本の撤退も要求。
アメリカ、イギリスを中心にした、ABCD包囲網によって孤立した日本は、深刻な物質枯渇に直面し、アジア覇権確立の一環として真珠湾攻撃を実行しました。

勇ましい言葉で自らを鼓舞しなければならなかった、「帝国日本」の姿が、今の「帝国中国」に重なります。

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経済的・軍事的に力を増した中国は、アジア太平洋地域において、アメリカの覇権に挑戦し始めました。欧米が牛耳っている、金融・貿易体制を切り崩すために打ち出した、「シルクロード経済圏構想」は、「大東亜共栄圏」を思い出させます。中国は、東南アジアへ伸びる鉄道、道路、パイプライン、通信網の建設に、すでに取りかかっています。スリランカ、パキスタン、ギリシャなどの港湾施設の獲得を目指しています。

中国の今年の国防予算は、昨年より10%増の17兆円。真の金額は、政府発表をはるかに超えている、と推測されます。けれども、中国の今年のGDPの伸び率は、5%かそれを下回りそうです。アメリカの国防予算は70兆円です(日本は5兆円)。このまま中国の増額が続けば、2025年にもアメリカに追いつく、とされています。

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かつて日本がやったような挑戦を、中国がやり続ければ、軍事費がアメリカに追いつく前に、中国は間違いなく疲弊します。アメリカでさえも、ベトナム、イラク、アフガニスタンへの出費が、疲弊をもたらすことになりました。軍事費をアメリカへの挑戦に見合うだけ増やせば、社会福祉へ回す金がなくなり、膨大な貧困層を抱えた中国は、崩壊するしかありません。

かつて、強権でアメリカと世界を分け合ったソ連。軍事・経済だけではなく、イデオロギーでもアメリカに挑戦しました。計画経済の共産主義は、資本主義に勝るといわれました。そんなソ連が、最後には崩壊しました。その道を中国が辿っている、としか私には思えません。中国も解体します。

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標的型攻撃メールか?

2015年8月23日

年金機構の情報漏えいでも有名になった、標的型攻撃。メールに添付されたファイルにウイルスが潜んでいて、受取人がファイルを開封すると、受取人のパソコンにウイルスが感染し、パソコンが攻撃者の意のままに操られます。通常、被害者は自分のパソコンが誰かに乗っ取られたことを、知りません。

メールのタイトルが、「wowwowタダで見放題」、「すぐに現金が手に入る」、「情熱的な恋人を求めています」、「B+$G%F%K%U%=,%B%K$Y%$...(意味不明)」などとなっていれば、迷惑メールかそれよりも危険なメールであることを、すぐに予想でき、開封せずに削除できます。ところが、プロのハッカーは、それらしいメールアドレス(送信者名)から、それらしいタイトルを付けたメールを送ってくるので、厄介です。

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数日前に、「FW:医療シンポジウム案内」というタイトルの付いたメールを、受け取りました。私が知らない送信者が、私を含む17人に送付。宛先にリストアップされている他の16人の受信者も、私が知らない人たちばかりです。内容は、「東京大学病院の高度医療専門医師たちのシンポジウムの案内を送付します」というもので、添付ファイルが2通付いていました。

私は医師ではなく、東大とも何の関係もありません。ここでまず不信を感じました。サイバー攻撃で乗っ取られたパソコンから、そのパソコンに保存されていたメールアドレスへ、一斉に感染メールが送付されることが、よくあります。タイトルに「FW」が付いていることから、その可能性を否定できません。

ネットで調べると、東大病院でそれらしいシンポジウムが、確かに開催されます。けれども、17人の中に無関係な私が入っていたことは、このメールが私に届くまでに、何らかの不都合な操作がどこかでされたことを、意味します。私は、添付ファイルを開くことなくメールを削除しました。

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サイバーセキュリティといえば、Windows10はとても便利になった分、サイバー攻撃への脆弱性が増したことを、安全を重視する人たちは、頭に入れておく必要がありそうです。

「設定」から「プライバシー」へ入ると、「位置情報」、「自分の映像や音声」、「アカウント情報」、「予定」、「メッセージ」などが、ネットへ出ていくことが分かります。「アプリが無線を制御」することもできます。これらの機能の全てが「オン」になっていると、丸裸でいるのと大して変わりません。設定は「オフ」にできるので、プライバシーを守りたい方は、「オフ」にすることをお勧めします。

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再びWindows10

2015年8月20日

妻のラップトップ(NEC)も、Windows7からWindows10へアップグレードしました。やり方はNo.198と同じで、マイクロソフト社のサイトからインストールソフトをダウンロードすることから、アップグレードを開始しました。

アップグレードは、他の2台のコンピューターとは違って、とてもスムースに進みました。画面上の指示に従って作業をすると、何の問題もなくOSがWindows10に変わったのです(たぶん)。カッコつきで「たぶん」と書いた理由は、以下のようになります。

アップグレード後に、画面上のPCアイコンを左クリックして、「デバイスとドライブ」を表示させました。その画面で、Cドライブの説明が「Windows7 (C:)」になっているのです。Windows10ではないのです!さらに、他の2台のコンピューターでは、起動すると、大きく華やかなタイル状のスタートメニューが現れます。ところが妻のラップトップでは、タイル状スタートメニュは現れません。スタートボタンを左クリックしなければ、このタイルが現れないのです。

コンピューターで各種作業をする私には、閲覧には便利といっても、このタイルは無用の長物に近いものです。作業に必要なプログラムへすぐに行けないのです。7と同じようなスタートメニュは、スタートボタンの右クリックで現れます。私はよくコントロールパネル(タイルにはない)を使うので、画面上の右クリックから「個人設定」へ入り、コントロールパネルのアイコンを画面上に固定しました。

3台のコンピューターを、Windows7からWindows10へアップグレードしました。この過程で、ここに書いたように、3台が全部異なる動きをしました。状況によって、コンピューターは予想外の反応をします。これを頭に入れて、アップグレードを試みる必要があります。

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今までのアプリケーションソフトは、ほぼ全てが機能しています。ただし、7で使えた編曲ソフトSoundIt!4.5は、インストールすることができませんでした。動作が安定したソフトもあるので、相性によっては、10のほうが作業しやすくなります。

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このアップグレードとは無関係ですが、2台ある外づけハードディスク(HD)のうち、3年前に買ったばかりの1台が、1週間前に壊れました。酷暑の影響が出たのかどうか、チップが焼き切れたのです。両HDに全データを保存していなかったので、焼き切れたハードディスクだけにバックアップを取っていたデータが、失われました。

この事故で私は慎重になりました。熱発生の少ないミニタイプのハードディスクを購入し、それにもう1台のHDに保存されていたデータを、全て書き込んでいます。すなわち、今後は、2台の外づけHDに、全データをバックアップすることにしたのです。HDはUSB3対応ですが、コンピューターはまだUSB2対応なので、データのバックアップにはとても時間がかかります。約300GBのデータをHDに書き込むには、1週間くらいかかりそうです。

198

Windows10、もう一つの厄介な問題

2015年8月10日

下に書いたように、ラップトップのWindows10へのアップグレードには成功し、ラップトップは問題なく動いています。そこで、デスクトップも、Windows7からWindows10へアップグレードすることにしました。

このアップグレードは、10のインストールソフトを、マイクロソフト社のサイトからダウンロードすることから始めました。「ソフトウエアのダウンロード」→「Windows10のダウンロード」と進み、「ツールを今すぐダウンロード(64ビットバージョン)」をクリックし、10のインストールソフトを入手しました。

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アップグレード中に、ラップトップにはなかった厄介な問題が発生しました。ラップトップでは現れなかった、「キーボードレイアウトの選択」という画面が現れたのです。この画面で、日本語IMEや英語などの言語を選ぶことになっています。言語一覧の中から選ぶので、この画面にポインターがなければ、選択は不可能です。そのポインターが現れないという事態が発生。このような場合、選択はキーボードでできることがあります。ところがキーボードでも選択不可でした。
「キーボードレイアウトの選択」画面から、前へ進むことができなくなりました。凍結状態になったのです。そこで強制的に電源をオフにし、再度挑戦しました。何度やっても、「キーボードレイアウトの選択」の画面で、アップグレードが停止してしまいます。

やむを得ず、下に書いたような初期化を試みました。それも失敗。初期化もできないのでは、問題は相当に深刻です。
ところが、同じような操作を何度もやっているうちに、突然アップグレードに成功しました。初期化開始と同時に初期化を止めるという、とても微妙なタイミングの操作が有効だったようです。

なぜ問題を解決できたのかが分からないままに、アップグレードになんとか成功したことになります。10へアップグレードする皆さん、相当な覚悟を決めてから手をつけてください。なお、8.1から10へのアップグレードがどうなるのかについては、想像もできません。

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Windows10インストール時の問題を解決

2015年8月1日

Vistaから7へアップグレードした時に発生した問題を、Essay12 「Windows7と格闘した10日間」 に書きました。今回、OSをWindows10へアップグレードしましたが、多くの皆さんが遭遇すると思われる、厄介な問題がここでも発生しました。

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私は、パソコンをいろいろな作業に使っています。従って使うのは主にデスクトップで、OSはWindows7のままでした。Windows10には、デスクトップでの作業が容易な7の機能を取り入れたというので、デスクトップ(HP)で10へのアップグレードの予約をしました。

ラップトップ(レノボ)では予約をしなかったにも関わらず、昨日アップグレードが可能になりました。そこで、ラップトップで10へのアップグレードに挑戦。

Windows10のインストール後に、全ての動作が極端に重くなりました。ほとんど停止してしまったのです。「スタート」を右クリックし、各種機能を設定できる「設定」を開こうとしましたが、なんと開くのに30分以上もかかりました。「設定」画面から次のステップへ行くのにも、30分以上。

超重いWindowsを速くする方法を、デスクトップで検索しました。けれども、ラップトップの各種設定へたどり着くまでに、時間がかかりすぎ、効果を確認するどころではなかったのです。
「ラップトップの場合、半日電源を入れたままにしておくと、とても軽くなることがある」との指摘を見つけました。そこでラップトップに戻り、「スタート」を左クリックし、「電源オプション」を開こうとしましたが、30分経っても1時間経っても、「電源オプション」は開かないのです。

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ついにあきらめて、Windows7へ戻ることを考えました。その操作は分かりにくいので、ここに書いておきます。Windows10で「設定」→「更新とセキュリティ」→「回復」と開きます。今まで書いたように、ここまでで時間がとてもかかり、いささか消耗しました(私自身に「回復」が必要!)。

「回復」の画面で、「このPCを初期状態に戻す」、「Windows7(または8.1)に戻す」、「PCの起動をカスタマイズする」のうちのどれかを、選べます。7へ戻す前に、PCを初期状態にしてから10をインストールするという、「最後の抵抗」を試みました。初期化するとアプリの再インストールが必要になるので、手間がかかりますが、10への挑戦を決めた手前、その手間を受け入れることにしたのです。
「削除されたアプリケーション」のファイルが自動的に作られ、初期化後に画面に現れます。

初期化後のインストールによって、Windows10は普通のスピードで動くようになりました。その理由は分かりません。まだアプリケーションの再インストールが終っていず、アップデートの終了までに、結局2日はかかりそうです。

196

ハッカーが車を乗っ取った

2015年7月24日

ここ何日間かの報道(CNN、日経新聞)に、次のようなサイバー攻撃に関連するニュースがありました。

アメリカの2人のハッカーが、高速道路を走る車のネット接続システムに、侵入しました。車のモニターに男のイラストが現れ、ラジオが大音響で響き渡り、ワイパーが動き出しました。さらに、ハッカーによって車のエンジンが切られてしまいました。
これは車の脆弱性を明らかにするために、善意のハッカーが行った攻撃でした。映像で記録された攻撃が、ネットで公開されました。

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ネットに接続されたコンピューターになっている車は、遠く離れたところから簡単に遠隔操作されます。この危険性を、拙著「サイバー世界戦争の深い闇」で指摘しました。

車の自動運転化が進むにつれて、サイバー攻撃による被害が、より深刻になります。車の位置や周囲の状況が攻撃者に知られ、ハンドルを操作された車が、断崖絶壁から落とされることさえも、「想定内」にしなければなりません。一般のサイバー攻撃と同じく、攻撃者の特定は極めて困難で、完全犯罪が成立する可能性が、とても大きくなります。

「サイバー世界戦争の深い闇」では、もっと危険なサイバー攻撃の可能性を述べました。原発や核ミサイルのコントロール・センターに侵入されてしまえば、被害は甚大になります。

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昨年3月に、クアラルンプールから北京へ向かっていたマレーシア航空機が、タイ沖で消息を絶ち、オーストラリア西方のインド洋に墜落しました。この事件の真相は、今もって謎のままです。

飛行機は、コンピューターで完全に制御されています。この飛行機は外部からサイバー攻撃を受け、全機能を攻撃者にコントロールされたまま飛行を続け、インド洋へ墜落させられた可能性がある、と種々の状況証拠を考慮して、私は考えています。
私と同じ結論を得た人が他にもいるはずですが、サイバー攻撃に触れたメディアはありません。なお、私はサイバー攻撃を行った組織と、攻撃を行った理由も推測していますが、推測の上に推測を積み重ねることになるので、ここには書きません。

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サイバー攻撃でアメリカが危ない

2015年7月12日

昨日、一昨日の報道(ロイター通信ー日経新聞)によると、米連邦政府職員ら2150万人の個人情報が、政府人事情報システムから盗まれました。No.193に書いた盗難との間の重複分を除くと、2210万人分の情報が、外部へ漏れたことになります。

この数は、アメリカ国民の7%にあたります。職員に子供はいませんから、この人口に対する割合から、大部分の官僚や政治家などの個人情報が盗まれた、と思われます。たとえば、外交官、国防総省、FBI、それに最高機密の国家情報機関NSA(拙著「サイバー世界戦争の深い闇」を参照)の幹部が、ここに含まれます。報道では、大統領は名指しされていませんが、オバマの個人情報も盗まれた可能性があります。

連邦職員になったり、政府から業務を委託されている企業へ就職する前に、徹底的な身辺調査をされます。学歴、職歴、家族歴、交友関係、犯罪歴、薬物使用歴、精神科通院歴、個人資産、パスワードだけではなく、指紋情報までデータとして登録されている職員が、います。FBI長官が、「私の18歳以降の住所、海外旅行先、家族全員の情報を、敵が持っていると確信している」、と述べました。
国を動かしているのは機械ではなく、人間です。国家運営にあたる、ほとんど全ての人の徹底的な身辺調査の結果を、敵に知られることの意味は、限りなく大きく深刻なものになります。

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個人的なハッカーの中には、アノニマスのような政治目的を持った、愉快犯的な人たちがいます。彼らは、自分たちの犯行を得意気に吹聴します。けれども、国のサイバー軍は隠密裏に行動し、疑われた国の政府は、決して自分たちが関与したとは言いません。今回のサイバー攻撃も、裏に中国政府がいる、とアメリカ政府が述べていますが、中国政府は関与を否定しています。

ほとんどのサイバー攻撃は、被害者に気づかれることがありません(「サイバー世界戦争の深い闇」)。たとえ、被害者が気づいても、多くの企業や政府機関、それに個人は、攻撃されたことを公にしません。攻撃者が沈黙しているので、被害者が公言しなければ、サイバー攻撃の実体が世に知られることは、ありません。アメリカ政府の発表は、闇に隠れたサイバー攻撃の、ほんの一端を示しているにすぎません。
全体的に、アメリカよりもサイバーセキュリティのレベルが低い日本は、アメリカ以上の被害を受けている可能性があります。

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なお公平を期すために書いておきますが、世界最高のサイバー攻撃能力を持っているのは、アメリカです。アメリカ自身も、中国、ロシア、イラン、北朝鮮などへ、激しい攻撃を行っていることは、間違いありません。アメリカは、サイバー空間を第4の戦場と規定しています。

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日本を中国にしたい与党議員

2015年6月27日

与党議員の勉強会で、「政権批判をするメディアをつぶさなければならない」、という意見が相次ぎました。これに対するメディアや野党からの反論には、本質を突くものがなく、表層的で弱すぎます。安倍首相は、「報道の自由は民主主義の根幹」と言いながら、「誰にでも表現の自由がある」、という逃げの弁解しかしませんでした。

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この問題の本質は、次のようなところにあります。

国家権力は、警察や軍隊という実力組織を動かせるだけではなく、徴税や社会福祉などの行政によって、一人ひとりの国民の生活を左右することができます。この強大な権力を監視し、暴走を止める役割を担っているのが、民主主義国ではジャーナリズムになります。
北朝鮮や中国のような独裁国では、ジャーナリズムによる批判を恐れ、国家権力が、ジャーナリズムを徹底的に骨抜きにしています。上記の与党議員の心理は、北朝鮮や中国の支配層の心理と合致しています。

メディアを批判する側も批判されるメディア側も、ジャーナリズムの最も大事な使命が、国家権力の監視と国家権力に対する批判であることを、決して忘れないでください。

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各種の国際世論調査で、日本は一般的にとても高い評価を、海外から受けています。けれどもたった一つだけ、厳しい評価を受けている世論調査があります。「報道の自由度ランキング」で、調査対象180か国中61位になっています。日本の報道の自由度は韓国よりも低い、と判断されています。日本のメディアが、指導者への批判を避け、代表的な意見に同調してしまうことが、厳しい評価の理由になっています。

与党議員から批判された新聞などのメディアは、日本の良心として、国際的には高く評価されるのです。

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アメリカでは1800万人分の情報流出

2015年6月24日

100万人分以上の年金情報が盗まれたことが、大きな政治・社会問題になっています。情報流出の発見が遅れたこと、発見後に年金機構の対応がまずかったことなどに、批判が集中しています。

拙著「サイバー世界戦争の深い闇」を読んでください。このような情報流出は、容易に予測できました。これから、はるかに深刻な事態が発生することを想像できます。

年金機構を弁護するわけではありませんが、サイバー空間のセキュリティに完璧はありません。年間100億件を超えるサイバー攻撃が、日本に加えられています。攻撃の成功率は低いとしても、官庁、企業、個人などの多くのコンピューターに、すでにウイルスが感染していることを、想定内にしなければなりません。セキュリティを可能なかぎり高度にすることは当然ですが、攻撃は防御不能と考え、攻撃成功を前提にして、事前に対策を取っておくことが極めて大事です。

妻の知人が、「ネット・バンキングは危険なので、ネットに口座を開かない」と言っています。けれども、銀行に蓄えられた情報は、どこかでネットとつながっているサーバーによって管理され、ATM端末はネット経由で銀行とつながっているので、サイバー攻撃から逃げることは不可能です。車も、ネットに接続されたコンピューターになっています。リスクがあることを承知した上で、対策を取ること以外に、選択肢はありません。

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日本の年金問題発生と同時期に、アメリカでさらに大きな情報流出がありました。日本の官庁よりも、セキュリティが高度なはずのアメリカ人事管理局のサーバーが、不正にアクセスされました。当初、420万人分の現および元連邦政府職員などの個人情報が盗まれた、と言われていました。昨日の報道では、この数は1800万人に達するそうです。

年金情報よりももっと深刻なのは、連邦政府の幹部職員を含めて、身辺調査で得られた国家安全保障上の機密情報や、家族・関係者の個人情報が含まれていることです。
この攻撃の背後には中国政府が存在している、と予想され、今後、個人の弱点を狙った種々の勧誘(スパイになること)や、脅迫(従わなければ個人の秘密を暴露)が行われることを、アメリカ政府は恐れています。

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時間をほしい

2015年6月18日

私の2つのウェブサイトを、完全にレスポンシブにするための作業を、もう半年以上も続けています。ステップ・バイ・ステップで、プログラム言語をレベル・アップしてきたので、作業量が膨大になりました。

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ついに、技術的にはほぼ完璧になり、アニメの全作品(誰も感心してくれませんが、これはスゴイことなのです)と小説の2割、それにエッセイの5割近くを、今までにレスポンシブ化しました。

レスポンシブ化のためのウェブ・プログラム言語は、まだ成熟していないので、プログラマー1人ひとりの作業環境(パソコンなどのハードとOSなどのソフト)によって、特定のスペルが全く機能しなかったり、機能の仕方が異なったりします。私が、私のテキスト、イラスト、写真、アニメ、動画で成功したレスポンシブ言語は、私の環境でしか100%は機能しないはずです。

トップ・ページに、「スマホ、タブレット、PCなど、全端末に対応済み」と書いてありますが、これは正確な表現ではありません。レスポンシブ・ウェブは、「どのような画面サイズにも対応」しているのです。端末のハードからは何の制約も受けません。たとえば、パソコン並みの大画面スマホでも、デザインが崩れることはありません。レスポンシブ・ウェブ言語には大きな柔軟性があります。

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創作は私の趣味に過ぎません。時間を割かなければならない日常的な活動が、他にもたくさんあります。プログラミングに集中してきたおかげで、趣味に過ぎない創作に時間をかけることができませんでした。この辺で、残りのウェブ・ページのレスポンシブ化の作業を止めて、創作に集中したいと思います。

エッセイを書き、電子書籍をもう1冊作成します。ああ、シンド....でも、オモシロイ。

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全アニメをスマホ、タブレット、PCに対応させた

2015年5月22日

「アニメと小説の工房」に載せている全てのアニメを、レスポンシブにしました。つまり、スマホでもタブレットでもPCでも、デザインの崩れなしにアニメを見ることができます。アニメのサイズが、端末の画面サイズに合わせて、自動的に変わります。

私のアニメのもともとの動画形式は、Flashです。これをスマホやタブレットでも視聴できるようにするには、テクニカルなブレークスルーが必要になります。いくつものテクニカルな問題があり、Flashアニメをレスポンシブにする作業が大変なことは、経験者にはよく分かると思います。

私の動画形式の変更も、まだ完璧の域には至っていません。いくつかのアニメで、サウンド(音楽)なしで画質を良好に保つのか、画質が劣化するのを覚悟の上で、サウンドを入れるのかの判断をしなければなりませんでした。最終的に、サウンドを犠牲にして(音楽なしで)、画質を良好に保つ選択をしました。けれども、画質が良好でサウンドも入っているアニメにするために、現在もテクニカルな検討を続けています。

最適な形のプログラム言語を確立してしまえば、アニメを全端末対応にするのは、時間的には大した作業にはなりません。テクニカルな問題は少ないにもかかわらず、時間と労力の上で作業が大変なのは、エッセイや小説などのテキストのレスポンシブ化です。
1つひとつのエッセイあるいは小説について、膨大な細かい作業が必要になります。私の全ての作品を全端末対応にするまでには、まだ長い時間を要します。

それでも、レスポンシブ化の努力を継続します。乞うご期待!そして、グーグルさん、この努力をぜひ認めてください。

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グーグル戦略に合わせてサイト変更

2015年4月23日

グーグルの長期戦略には、人類史を変えるような大きな可能性と、未知のリスクがあるように思われます。拙著 「サイバー世界戦争の深い闇」第6章 を読んでください。

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私の2つのウェブサイトのプログラム言語に関して、グーグルからコメントが来たことを、下(No.189)に書きました。昨日の日経新聞に、これと関連する記事がありました。

誰もが知っているように、グーグルの本来の屋台骨は、インターネット検索ビジネスにあります。このグーグルが、サイトのプログラムを大幅に変更することを、ウェブサイト運営者に求めているのです。
グーグルの要求に従えば、モバイルでの閲覧を前提にしたプログラムに、ウェブ言語を変えなければなりません。モバイルに未対応のサイトは、グーグルでの検索結果において、表示順位を下げられてしまいます。私が受け取ったメールの内容は、報道よりも更に強硬で、モバイル未対応のサイトは、モバイルでの閲覧に不適切という表示を検索結果に入れる、というものでした。

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グーグルアナリティクスを使って、私のサイトへアクセスする方の情報を得ていることを、既にここに書きました。その解析の結果から、パソコンよりもスマホからのアクセスのほうが多いことを、私は知っています。即ち、グーグルの指摘に従うことは、私にもメリットがあります。

私は、大変な労力を注いで自分のサイトを運営しています。けれども、巨大企業グーグルの前では、一介のとても些細なサイト運営者に過ぎません。グーグルににらまれては、サイト運営の全ての努力が水の泡になってしまいます。

そこで、スマホ対応にするために、全ページのプログラム言語を変更するという、気の遠くなるような作業を今やっています。「夢と現実のエッセイ評論」と「アニメと小説の工房」のトップページが、既に完璧なスマホ対応になっています。ただ単にスマホ対応ということではありません。どのような端末(パソコン、タブレット、スマホなどの全ての画面サイズを含む)にも柔軟に対応できる、レスポンシブウェブです。
特殊なプログラム言語を使うだけではなく、デザインを簡素・明瞭にすることや、文字を大きくすることも、レスポンシブウェブの構築には必要です。

Flash形式のアニメをグーグルは受け入れないので、「アニメと小説の工房」の全アニメを、スマホで閲覧できる動画形式に変えるという面倒な作業も、行っています。
こんな私の全ての努力が、皆さんに楽しんでもらうことによって報われます。

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このサイトをスマホ対応にした

2015年4月13日

私のウェブサイトへは、スマホからのアクセスが多いことを、先日書きました。もともとパソコン用に作ったサイトなので、スマホで閲覧するのは大変です。そこで、パソコンだけではなく、スマホやタブレットでの閲覧にも適応したサイトへ、デザインを変更することにしました。

「夢と現実のエッセイ評論」のトップページが、そのようなデザインになっています。ブラウザ画面の端をつまんで動かし、画面を小さくして下さい。スマホのサイズになっても、ページのデザインが崩れないことを、確認できると思います。

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パソコンからスマホまで、画面サイズが自由に切り換わるように作られたサイトを、レスポンシブWebといいます。ウェブサイトのプログラム言語は、現在レスポンシブなものに進化中です。即ち、まだ成熟したプログラムになっていないので、レスポンシブにするには、試行錯誤を繰り返さなければなりません。

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私のウェブサイトは、画像やアニメなどの動画を含みます。動画のレスポンシブ化では、動画形式の変更まで含めて、作業がとてもやっかいでした。

レスポンシブなページの作成に成功するまでに、半年近くかかりました。この過程で最初にやったことは、HTML5、CSS3という最新のウェブ言語へ、私の2つのサイトの全ページを書き換えることでした。ただし、これだけではレスポンシブにはなりません。次に、ツイッターやグーグルが開発した、Bootstrap、Viewportというプログラムを習得しました。そこまでやって、やっとレスポンシブにできました。
パソコンだけではなく、スマホやタブレットでも期待通りに表示されることは、ネット上の仮想スマホ、タブレットで確認しました。なお、ブラウザは、エクスプローラー、クローム、ファイアフォックス、オペラを使い、表示確認しました。

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グーグルから、私のサイトついて助言を受けました。グーグルは、スマホへの対応が遅れているサイトを、アトランダムにピックアップし、いろいろな助言をしているのです。ウェブサイトの数は膨大なので、手作業の助言は大変なはずです。たまたま私のサイトも助言の対象になりました。さすが、グーグルです。とても地道な努力を続けているのですね。

「夢と現実のエッセイ評論」トップページのレスポンシブ化で、私の作業環境下での最善のプログラム作成に、成功しました。時間をかけて、他のページを順次レスポンシブ化していきます。

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奥さんが2人に見える恐怖

2015年3月23日

某所で、次のような愉快な会話がありました。

そこに、左目のまぶたがたるんで、まぶたを十分に開けられなくなった人がいました。医師の診断では、目の筋肉をコントロールする、抹消神経の異常が原因になった筋無力症だろう、ということでした。

目の問題で話題が盛り上がり、物が2つに見える(2重に見える)知人がいる、と発言した人がいました。目の前のコップが2つに見えるので、どちらが本物なのか分からず、つかみそこねることがあるそうです。料理を食べるときも、はしが空を切るのです。
ところが、これは両眼を開いているときの問題で、片目を閉じればちゃんと1つに見えます。このような症状を「両眼性複視」といい、目の筋肉やそれをコントロールする神経に問題がある、とされています。片目でみても2重に見える場合は「単眼性複視」で、目そのものに問題があります。

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複視の男性に同情を示すために、私は次のような感想を述べました。
「家では、奥さんも2人に見えるのですね」

私の言葉の深い意味を理解した他の参加者が、私がストレートに言うのをちゅちょしたことを、大声で大胆に言いました。
「鬼がそばにいつも2人いては、毎日の生活が間違いなく大変です」

参加者全員がどっと笑いました。ちなみに、その場に女性はいませんでした。それでも、それなりの気づかいをして、私は上の冗談を言ったのです。ストレートな物言いをした他の男性も、そこに女性がいたならば、私程度の気づかいはしたと思います。

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財政破綻がやって来る

2015年3月15日

日銀は、財政破綻を見越した金融政策を進めている、と私は見ています。

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2015年度の一般会計の歳出が96兆円なのに対して、税収は55兆円しかありません。財源不足をおぎなうために、新規国債を30兆円ほど発行します(14年度は41兆円)。それでも赤字が13兆円になるので、赤字国債も発行。
国庫短期証券などを含む国債の残高は、1000兆円超になっています。年間増加額は170兆円(利払いなども含む)。日銀が国債の爆買を続けていて、すでに1000兆円のうち、230兆円の国債を保有し、今年中にも300兆円に達しそうです。日銀に次いで、保険会社や金融機関が国債を保有しています。国債購入のための日銀の原資は、銀行から預けられた預金や印刷された紙幣です。

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日本が財政破綻することはない、という論者がいます。理屈は、視点を変えればどのようにでもこねられます。素直かつ客観的に見れば、全体像が明瞭に見えてきます。
マネーは天から降ってくるものではありません。年に170兆円も増える国債の購入原資の大部分は、もとをたどれば国民の金融資産です。1600兆円の金融資産のうちの1000兆円が、すでに国債に化けてしまっています。4年ほどあとには、原資の資産が底を突きます。政府債務をまかなえるマネーが、なくなってしまうのです。そのとき、どうなるのでしょうか?

国債は国民の資産なので、日本の財政が破綻することはない、という理屈があります。国債を通して、政府が国民から借りたマネーは、社会保障だけではなく、道路・空港・港湾・上下水道・公園・ホールなどの箱物建設に使われました。原発にも多額の国費が投入されています。勿論、公務員の給与にもなりました。
国民や企業が、生活や投資のために預金を引き出そうとすれば、銀行は現金を準備しなければなりません。政府が社会保障や給与として支払った分は回収不能なので、最終的には政府が箱物を売る必要に迫られます。道路などを売れるのでしょうか?

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財政破綻の被害を最小限に抑えるために、日銀が今動いている、と私は想像します。政府債務のすべて、即ち国債全額を日銀が引き受けてしまえば、国民生活へのダメージは比較的小さくなります。
国債を売却して、現金を確保しようとする銀行のために、日銀が紙幣を増刷します。これで、銀行経由で国民は現金を引き出せます。紙幣増刷の結果、当然円は暴落します。しかし、国民が現金を入手できない、という最悪の事態を避けられます。

円や国債が暴落することは、債務を肩代わりする日銀それに政府にとって、悪いことではありません。債務が減ることを意味するからです。黒田総裁は、ここまで見据えて、国債の「異常な爆買」を続けているはずです。当然、政府の関係者は、このことを理解していると思います。

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原発問題の深刻な今

2015年3月11日

3月8日に、2万3000人が参加した原発再稼動反対のデモが、東京でありました。私は、ネット日本語版のロイターでこのことを知りました。私が知るかぎりでは、日本の新聞でもテレビでも、このデモは報道されませんでした。

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全ての原発が停止してから、1年半が経ちました。原発を稼動させなければ深刻な停電が発生するという、原発推進派からの「警告」は、間違っていたことがはっきりしました。日本の電力需要は減少する傾向にあり、今後は発電施設を減らさなければなりません(拙著 「地震・原発列島」 を参照してください)。現に、再生可能エネルギーは供給過多になっています。

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原発停止後、家庭の電気料金が20%弱、企業向けが30%弱値上がりしました。ところがLPガスなどの価格低下で、電力会社は逆に電気料金を引き下げる予定です。また電力自由化の一環で、私のマンションはオリックスと電力の大口契約をし、料金が5~10%値下がりします。

電気料金が上がれば、日本の工業製品のコストにはねかえり、輸出産業がダメージを受けるという「警告」もありました。これが正しければ、円安が極端に進んだ現在、輸出産業は大好調なはずです。けれども、円安が輸出を助けることはならないという現実が、明らかになりました。エネルギー・コストも、輸出には特に影響を与えません。

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原発、化石燃料、再生可能エネルギーなどの発電コストを比較するとき、ランニング・コストでの計算になります。原発には他の発電方法にはない、隠れた膨大なコストがあります。地元対策費だけではなく、今原発を新築すれば、箱物だけでも1基2兆円近くになるのではないでしょうか?

商業用原発を稼動させてから、50年も経たないうちに福島の事故が発生しました。原発が古くなれば、事故発生確率が上がります。50年弱で、福島規模の事故が1回発生するとすれば、そのたびに膨大な処理費を投入することになります。福島では、既に5~10兆円の国民の資金を投入しました。今後の処理には、それ以上のコストがかかります。原発稼動でどんどん増える核燃料廃棄物の処理コストは、計算不能なために発電コストには入っていません。

原発事故が日本の産業全体へ与えるコストも、目に見えません。観光や農水産業だけではありません。原発事故後に、日本で仕事をしていた外国人が日本から離れ、日本支社を閉鎖した外国企業があります。

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中国は何かと悪者にされますが、再生可能エネルギーの利用では、アメリカに次いで世界第2位になっています。日本は9位で、中国の2割強しか再生可能エネルギーで発電していません(2013年)。日本が進むべき道ははっきりしています。

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海外における株売買の確定申告

2015年3月1日

確定申告で消耗しました。

私は、ネットで確定申告をやっています(e-Tax)。e-Taxでの申告は、今度で3回目になりますが、やっと100%の自信を持って、申告書の作成ができるようになりました。

税務署は、e-Taxでの申告をすすめています。けれども、パソコンでの設定が終了するまでに、ややこしい手続きを踏まなければならず、初めての人にはハードルが高すぎます。税務署のパソコンを使って申告書の作成ができるので、税務署でやれば、ハードとソフト面での手続きをかなり省略できます。分からないところを署員に聞くこともできます。

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e-Taxのための設定よりも、私は膨大な計算をやらなければならず、これに時間と労力を投入しています。

収入が国内だけならば、何も問題ありません。証券会社や銀行から申告用に送られてくる、特定口座売買取引報告書の内容を、申告書に書き写すだけです。

海外には、日本の確定申告にそのまま使える、取引報告書がありません。国によっても証券会社によっても、報告書のスタイルが異なり、売買記録を理解することにまず苦労します。一株一株の売買記録を見て、譲渡所得を自分で計算しなければなりません。日本の確定申告のために、為替レートを考慮して、円換算する手間も必要です。
私は、オーストラリアの口座では投信だけの取引しかせず、売買回数が比較的少ないので、計算はそれなりに楽です。けれどもアメリカの口座では、株、ETF、投信を高頻度で売買しています( エッセイ19「アメリカに口座を開いて世界へ投資する方法」 )。1年間の譲渡所得を計算するには、細かく神経を使う膨大な作業をこなさなければなりません。

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国内の所得だけを対象に申告書を作成することは、当然のことながら税理士には容易です。けれども、国外の口座で株の売買をやっている顧客の申告書を作成するのは、プロでも困難だと思います。私は、プロの税理士にも困難な仕事が、できるようになったことになります。

税務署は、日本居住者の国外での資産を把握しようと、躍起になっています。それにしては、国外所得を申請したい人に対して、申告書のフォームがひどすぎます。
まず、国外での株や投信による譲渡所得を記入しようとすると、「未公開分」という欄から記入を開始しなければなりません。ここから無事に入れたあとも、フォームが海外での売買を想定した流れにはなっていないので、必要な情報を全て入力するまで、試行錯誤を繰り返すことになります。

税務署さん、税金を取り立てたいならば、納税者にやさしい確定申告書を作ってください。

184

日本人と外国人の習い事

2015年2月14日

妻の友人が家へ遊びに来て、お互いの習い事の話をしました。友人は日本人の女性で、趣味の合唱に多くの時間を割いています。妻はダンスを習っていて、生活にアクセントをつけるために、この趣味をとても大事にしています。
互いの活動を話しているうちに、日本人とヨーロッパ人では、趣味の活動の取り組み方に大きな違いがあることを、彼女たちは理解しました。

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日本人は、合唱にしろダンスにしろ、発表会をとても楽しみにしています。皆さんに、日頃の練習の成果を見聞きしてもらうこと自体がうれしいだけではなく、他の人にほめられれば最高の喜びを感じるのです。ところがヨーロッパ系である妻は、発表会には関心がありません。ダンスの発表会がしばしばありますが、妻が発表会へ行くことはほとんどありません。
ダンスの発表会では、体育館で大勢がいっしょに踊るだけではなく、プロの先生と2人だけでダンスを踊るチャンスが、各生徒に与えられます。先生とダンスをすると、10~20分間で何万円も払わなければならず、高くつきますが、申し込み者が多いのです。上手ではなくても、先生とのダンスを皆さんに見てもらうことを、生きがいにしている人たちがいるのです。

妻は、自分のダンスを他の人たちに見てもらうことには、全く興味がありません。練習の結果、自分のダンスが上達したことを自覚できることが、とてもうれしいのです。ここに、他人の評価が入る余地はありません。自分自身の判断が、唯一大事なのです。

他人の目を常に気にしている日本人と、自分の内面だけが大事な個人主義のヨーロッパ人の違いが、こんなところに現れます。

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私自身は、今まで生きてきた生活環境のためか、自分自身の確信が大事であると同時に、他人からの評価もうれしいという2面性を持っています(私はナツメロクラブに入っています)。

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ロンドンの有名なデパート「ハロッズ」のマネージャーが、日本のデパートを視察したところを、テレビでやっていました。このマネージャーは、日本のデパートの店員が、売り場が違っていても、互いの仕事ぶりを評価しあっていることに、強い印象を受けました。他人の目を常に気にし、他人の目を仕事の改善に生かそうとする日本人の心理が、こんなところにも反映されているのです。

183

沖縄へ旅行した

2015年2月1日

先月末に、沖縄へ旅行に行ってきました。私たち夫婦には、初めての沖縄旅行でした。旅行の前に、妻が知人に沖縄へ旅行することを自慢しました。
返ってきた返事は、「私はもう沖縄へ5回旅行しました」。自慢にはならなかったのです。

私たちは、世界のあちらこちらを今までに旅行しましたが、日本人ならば行くのが当り前のハワイには、まだ行ったことがありません。これも自慢にはならないか。

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沖縄の気温は20度前後で、東京周辺の4月下旬のような気候でした。旅行に快適な季節というだけではなく、オフシーズンなので旅費が安上がりでした。スキューバダイビングなどで、海へ入るのが趣味の人たちはともかく、風景や食べ物を楽しみたいだけの人たちには、ベストシーズンです。
赤紫色から濃いピンク色の小さな花を咲かせる、沖縄独特の桜が満開でした。おもしろいことに、梅は桜のあとで咲くそうです。

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最初の日に、沖縄出身のツアーガイドが、米軍基地には全く触れませんでした。そこで私の質問。
「米軍基地の問題は微妙なので、ツアーでは触れないようにしているのですか?」
ガイドの答え。
「そんなことはありません。明日基地が見えるところを走るので、そのときに米軍のお話をします」

ところが、このガイドは翌日ではなく、そのあと1時間も延々と基地の話をしたのです。翌日も、米軍基地について微に入り細に入って話しました。当然、米軍基地だけではなく、沖縄戦(沖縄の人たちはこう呼びます)の話も多くなりました。
ひめゆりの塔へは、日本人の若者だけではなく、中国人や韓国人の若者も団体でやって来ていました。こういうところを中国人や韓国人の若者に見てもらうことには、大きな意味があります。

このガイドの説明は中立的で、良い悪いの感情的な判断をせず、客観的な説明に終始しました。こういう中立的な説明に徹底する態度を見せられると、逆に沖縄の人たちの心理はとても複雑なのだろう、と想像してしまいます。

182

神はいるのか?

2015年1月23日

哲学や宗教に関心がある人たちの集まりで、神の存在が話題になりました。信仰心のあるひとが、次のように発言しました。
「キリスト教にもイスラム教にもユダヤ教にも神道にも、神がいます。仏教だけに神がいません。これらの神がどのようなものかを、人間は知っています」

私が反論しました。
「人間が、超越的な神を、本当に知ることができるのですか?もしも神が存在するならば、それは人間の知能ばかりか、認識能力をもはるかに超えた存在であるはずです。人間に神を知ることができるとは、とても思えません」

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エッセイ26「宇宙の壮大なドラマから生まれた生命」 を読んでください。
この宇宙には、人類よりも進化がはるかに進んだ知的生命体が住んでいる、と考えるのが自然です。人類よりも1億年も10億年も進化が進んでいるならば、この知的生命体を人類が理解することは、間違いなく不可能です。神は全宇宙を創造したことになっていますから、当然のことながら、これらの知的生命体も神が造物したことになります。

人間が全く理解できない高度知的生命体を、創造した神。そんな神を人間が理解できるのでしょうか?ハエに人間が理解できないのと同じように、人間に神が理解できるとは思えません。
神と人間との関係は、ハエと人間の間よりもさらに離れています。神が人間を創造したとします。ところが、人間はハエどころか、最も簡単な生物であるバクテリアなどの単細胞生物でさえも、作ることができません。神と人間の間は、人間とバクテリアの間よりも離れているのです。

そんな神です。人間は理解することは勿論、どのような存在なのかを想像することもできない、としか私には考えようがありません。

181

私もジョークで脅迫された

2015年1月17日

パリで風刺週刊誌を発行している、シャルリー・エブド社がテロ攻撃を受けました。編集長や漫画家など12人が殺されました。犯人たちは、預言者ムハンマドを題材にした、風刺漫画を掲載したことに対する報復だ、と主張しました。他のテロ事件も発生し、犠牲者は合計17人に達しました。
この事件は欧米の社会に深刻な衝撃を与え、CNNやBBCなどのメディアが、連日連夜この事件を報道しています。長期的にヨーロッパを不安定にする、予兆と考えられる事件です。けれども、多くの日本人には対岸の火事としか、思えないはずです。

私には対岸の火事などではなく、私の人生の一部と重なる事件です。

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オーストラリア滞在中に、一こま漫画とジョークを載せるウェブサイトを、運営していました。日本語と英語を併記したサイトです。
あるとき、日本人がオートラリアで、おもしろサイトを運営していることに興味を持った地元の新聞社が、インタビューを申し込んできました。記者が私の自宅を訪問しました。そのインタビュー記事が新聞に載ったあとに、問題が発生しました。

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当時、オーストラリアでは、極右政党の女性政治家ポーリン・ハンソン( エッセイ10「父の体臭を嫌う娘から進化が見える」 の後半で、彼女について述べています)に、大きな人気がありました。ハンソンは、日本人を含むアジア人排斥の急先鋒に立っていたのです。

このハンソンを題材にしたいくつかのジョークを、私のサイトに載せていました。これらのジョークを読んだオーストラリア人男性から、激しいヘイトメールを受け取りました。
「Jap, go home! オーストラリアに留まっているならば、お前とお前の家族の身の安全を保障しない」、が要旨でした。このようなメールが何通も届きました。

オーストラリアは広いので、この男が遠くの街に住んでいたならば、心配をしませんでした。ところが、この男は同じ街に住んでいたのです。ヘイトメールを深刻に受け止めたわけではありませんが、日常生活で、それなりの注意を払いました。
けれども、ジョークを削除しませんでした。

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