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330 女性差別で社会にダメージ 2018年8月8日

大学入試試験場の、数階建てのビルの壁をよじ登る人たち。窓から、答えを書いた紙を受験者に投げます。試験会場で、腕時計型、あるいはそれより小さいウエアラブル・デバイスを、こっそりと操作している受験生。外にいる「先生」から、答えを教えてもらっています。
インドや中国の受験会場の風景で、時々テレビで報道されます。それを見た日本人は、「開発途上国だな。この人たちは、ルールをわきまえていない」という感想を持ち、先進国の人間として若干の優越感に浸ると思います。
ところが、日本はもっとひどかった。上の光景は、個人のバカげた行為で済む話です。日本では、組織が長年に渡って、システム化されたルール違反を堂々とやっていたのです。

東京医科大学は、努力した個人に入学という形で報い、卒業後は社会で貢献したもらうために必要な、教育システムの根幹を自ら破壊しました。

衝撃的だったのは、女子の入学者数を制限するための、コンピュータ・プログラムまで使った、高度な差別システムを作り上げたことです。女性だけではなく、浪人歴の長い受験生まで差別の対象でした。「差別」の意味を全く理解できない人たちが、教育機関の運営・管理を行っていたのです。

この大学の運営者は、外国人、身体障碍者、低所得家庭の受験生まで、差別していたのではないでしょうか?差別は社会正義に反する、という理念面の問題だけではありません。多様性を否定すれば、大局的には、社会の動的な進歩を止めることにつながります。

運営者は、病院勤務がきついので、女医を少なくするために合格者を操作した、という訳の分からないことを言っています。これは、大学入試とは全く別の問題です。大学病院は、勤務条件に同意した医師を採用すれば、済むことです。

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患者である人間の半分は、女性です。私の妻は、女医のいる病院へ行きたがります。マーケット的にも、女医がいることは病院にプラスです。
女性どうしのほうが、互いに理解しやすいことが、治療結果にまで反映されます。アメリカの研究論文で、心臓発作で搬入された女性患者の死亡率が、女医に担当されたほうが低くなる、という研究結果が報告されました。

かつて、ヨーロッパの社会主義国では、女性の社会進出を国が全面的にサポートしました。すると、医師と教師が、女性の職業になってしまったのです。選別が男女公平ならば、優秀な女子は、医師や教師になりたがり、競争に勝ってしまいます。私の出身学部は女子にとても人気があり、今では女子学生が圧倒的に多くなっています。

投資では、ファンド運営者が女性のほうが、長期的には成績の良いことが知られています。

329 正論に恐怖する中国政府 2018年8月7日

中国山東大学の元教授・孫文広(80歳代)が、アメリカのボイス・オブ・アメリカの電話インタビュー中に、自宅で治安当局者によって逮捕されました。孫は、中国によるアフリカでのバラマキ外交に批判的で、公開書簡を発表したのです。貧しい人が多い中国が、こんな形で金を浪費するのは、社会にとって無益である、と主張しました。

高齢者の孫の過激でも何でもない主張に、最大限の強権で反応する中国政府。孫は特別な事例ではなく、似たような例が他にたくさんあります。

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「中国をつぶすアメリカの戦略」に書きましたが、中国政府のこの自信のなさは、国内に深刻な問題を抱えていることの、明確な証拠です。アリの一穴から堤防が崩壊することを、極端に恐れているのです。中国の堤防は、やわらかい土で作られた堤防です。水位は、すでに危険なレベルにまで上昇しています。

孫と私の意見は、基本的に一致しています。私の上のエッセイ評論で、中国のバラマキ外交は、中国を崩壊させる引き金になる可能性があることを、指摘しました。

中国は、ソ連の歴史から何も学んでいないようです。冷戦時代に、ソ連は、軍事・経済・外交でアメリカと真正面から対決しました。ソ連圏を世界へ広げるために、弱小開発途上国を中心にして、バラマキ外交を行いました。特に、アメリカの足元の国・キューバには力を入れました。リターンのない投資。ソ連ばかりか、キューバなどの開発途上国にもダメージを与えたことは、歴史家ではなくても知っています。 中国は、ソ連と同じようなことをやっています。経済的に困窮している開発途上国を中心に、バラマキ外交を展開しています。実質的なリターンのない投資が、中国を弱体化させます(「中国をつぶすアメリカの戦略」を読んでください)。

アメリカとの軍拡競争も、中国の弱体化に拍車をかけます。これもソ連が経験したことです。中国政府が極端に神経質になって、やっと抑えている国内の根深い問題が、アリの穴から一気に噴出します。それが、体制を崩壊させる可能性が極めて大きいことに、隣国としては注意が必要です。

328 スマホ・麻薬中毒の共通性 2018年7月29日

昨日、BBCテレビで、生理学と心理学の視点から、スマホと麻薬の中毒に共通性があることを指摘した、ドキュメンタリーをやっていました。

スマホの着信音が鳴ると、ストレスを高める副腎皮質ホルモンの血中濃度が、顕著に上昇します。これは麻薬の禁断症状に似ていて、SNSを見る以外のことをする、心の余裕がなくなります。「いいね」を見ると、脳で快楽物質のドーパミンが産生されるので、快楽を得るために、「いいね」をもらうことに全力をあげるようになります。麻薬を使うのと同じ状態です。

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フェイスブックなどのSNS提供企業は、心理・行動学から、色、絵文字、文字数、スクロール範囲などを決めています。赤いボタンがあれば、クリックしなければ不安になります。下から何が出てくるのか、期待を高めながらスクロールします。BBCの評価は、ユーザーをSNS中毒にするために、これらの企業は全力をあげている...です。

SNS企業は、自分たちの仕事の影響力を、よく理解しています。企業の幹部には、自分たちの子供にスマホの使用を禁じている人が、多いそうです。インタビューを受けた企業の技術者は、私用のスマホの画面を白黒に設定しています。色の強烈な効果で、自らが中毒になることを恐れているのです。

フェイスブックは、6~12歳向けのSNSを計画しています。BBCだけではなく、私もこのような計画には反対です。

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こんなことを書くと、皆さんは、突拍子もないと思うかもしれませんが、スマホ中毒は、生物としての人間の本能の奥底から生じる、根深いものです。

私たちのからだは、60兆個の細胞(各々が基本的には単細胞と同じ)の協調によって、機能しています。単細胞生物だった祖先が、10数億年に多細胞生物になりました。生存のための選択でした。からだの細胞の1つひとつが、生存のためにはコミュニケートが必要なことを、知っています(エッセイ2「絶滅をバネに進化する生物」)
人間を含む生物は、個体間の協調がなければ、今を生きることが不自由になるだけではなく、子孫を残すことができません。人間は、特に高度な社会的動物で、他人とコミュニケートすることへの本能の現れ方が、技術の進歩とともに変わっていきます。SNSによって、1日24時間どこにいても、コミュニケートが可能になりました。それが成功すれば、本能の奥底から噴出する快感の頻度が、劇的に高まります。逆に、うまくいかないと、1日24時間強いストレスが生じ、自殺にまで追いつめられる例があります。

私は、スマホを最低限の目的にしか使いません。金融機関が送るワンタイム・パスワードの受信と、最低限の通信だけです。ネット関連の活動の大部分を、パソコンでやっているので、パソコンから離れれば、ネット空間から完全に切り離されます。周囲に全く注意を向けず、デジタル画面に埋没している歩きスマホの人を見ると、スマホを今以上に使う気にはなりません。

327 思春期に戻る中学同級会 2018年7月22日

中学校の同級会へ行ってきました。子供だった小学時代、大学受験で忙しかった高校時代、おとなへ踏み込んだ大学時代。中学時代は、人生の中でも特異な輝きを放っています。夢と希望が複雑に入り乱れ、思春期の情緒的な不安定さに、自らが翻弄されてしまいます。

というわけで、初恋の女性のエリコに会うのが楽しみでした。ネコのように輝く目を持った、控えめで口数の少ない女の子でした。その目の力に圧倒されて、私は話しかけることもできませんでした。そんな彼女が、今は迫力のある立派なオバサン。目は、好奇心に満ちたオバサンの目になっていました。

がっかりすると同時に何となく安心し、気楽にエリコと話すことができました。エリコが初恋の人だったことを彼女に話すと、ちょっとだけはにかんだ様子を見せたので、一瞬中学生になることができました。

「ジュンちゃんが、私に好きって告白したことがあるわ」と、その会に来なかったサトコが、他の同級の女性に言ったそうです。サトコの家は近かったので、生き帰りに一緒だったことはあっても、本命はエリコでした。

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自然の真っただ中にあった実家。隣の悪ガキと一緒に遊びまわる毎日でした。その悪ガキが、自ら建設会社を興して大成功。「ベンツのスポーツカーを持っていたけど、レクサスのほうがずっと快適なんで、そのスポーツカーを兄貴にタダであげちゃった」そうです。

中学同級会では、今の現実からはるかに離れた過去へ、タイムトリップしてしまいます。その間に存在する時間がすっぽりと抜け落ちてしまうので、共通の人生経験を持たない人たちと、会話をすることになります。
中学時代の思い出話だけでは、1泊の同級会で間が持ちません。特に、私は高校時代から地元を離れ、世界中で仕事をしてきたので、地元を中心の人生を送ってきた同級生との間で、共通のトピックを探すのに苦労します。その点では、大学の同級会のほうが楽です。

と、いろいろありますが、今では中学時代は遠く離れた夢の世界。現実からちょっと離れた時間を持てるのは、楽しいものです。

326 超監視国家・中国 2018年7月11日

アメリカが、中国の先端技術開発に、強い警戒感を抱いています。ところが、中国が、アメリカに追いついただけではなく、すでに差をつけてしまった分野があります。

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超監視国家・中国は、オーウェルの「1984年」を超えてしまいます。中国では、先端監視技術を黒科技(ブラック・テクノロジ―)と呼びます。「携帯電話捜査官」と呼ばれる機器は、スマホのパスワードを数秒で破り、通話などの個人情報を盗んでしまいます。データを消去しても、回復されてしまうのです。

中国の顔認識技術は世界のトップで、至るところに存在する、監視カメラ、ロボット、ドローン、スマート眼鏡などの種々の端末が集めた情報が、AIで解析されます。DNA分析機のデータまで、解析の対象になっています。人々の日常生活が、国家権力によって完全に把握されるのです。

中国が行っているのは単なる監視ではなく、国民を支配するための、信賞必罰システムが確立されつつあります。一人ひとりの信用度を査定する、社会信用システムが始動しました。

信用度が数値化され、信用度によってローン金利に差をつけられたり、病院で優遇・冷遇されたりします。信用度が低ければ、交通機関の使用まで制限されます(ゲートはスマホでパス)。中国では、AIによって管理された無人スーパーが増えています(スマホで支払い)。国の政策に反対する国民は、スーパーの買い物まで不可能になる未来が、予想されます。造反する国民を、公の手続きを経ずに、社会から効率的に抹殺することが、可能になります。

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監視され、管理されるのは必ずしも不快ではなく、多くの国民が、国による監視を受け入れているようです。中国人だけではなく、日本人にも監視を歓迎する人がいます。私のマンションの理事会で、敷地内の至るところに、監視カメラをつけることを、主張する人がいます。現在、マンションの出入り口は勿論、ゴミ集積所、エレベーター内にまで、監視カメラがついています。この人は、各戸の玄関を監視できるように、通路にまでカメラをつけることを主張しています。

私は、全ての権力者が、愛と倫理をかねそなえた、人々のプライバシーを大事にする善人とは思えないので、監視国家には反対です。

325 米中が引き起こす大暴落への準備 2018年6月30日

市場が大暴落する確率が高まっていることを、市場関係者が指摘しています。西側だけではなく、習近平に近い中国政府の研究者までもが、極めて高い確率で金融恐慌が起こる可能性がある、とする報告書を提出しました。中国では、株安と元安が同時進行しています。

人間心理が市場の動向に強く影響するので、関係者が危機到来を予測すると、その予測が危機の具体化を速めます(エッセイ4「セリング・クライマックス」)。危機が現実になると、リーマン・ショックで見られたように、経済のあらゆる分野へ負の影響が広がります。リーマン・ブラザースという投資会社の破綻に続いた、世界経済の落ち込み。回復するまでに10年もかかりました。

現在、危機の中心にあるのは勿論米中です(エッセイ59「中国をつぶすアメリカの戦略」)。中国内部には、膨大な債務のマグマが溜まっています。一帯一路での海外進出や、他国の企業買収などが、コントロール不能な不良債権の爆発を引き起こす可能性は、前からありました。肉を切らせて骨を切るアメリカの対中攻撃が、突然にフル・スケールで始まったことによって、中国が崩壊する可能性が大きくなりました。

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リーマン・ショック以上の激震に備えるために、私がやっていることを、ここに書いておきます。
基本的には、リーマン・ショック前後の株、ETF、投信などの値動きを参考にして、投資先を選びます。落ち込みが比較的小さかった上に、ショック前の水準へ回復するまでの期間が、短かった銘柄を選びます。リーマン・ショックで80%も下落した銘柄や、アメリカやオーストラリアのREITのように、10年経った今でも、ショック前まで回復していない(配当金を除いた価格だけ)銘柄があるので、この検討は極めて重要です。

情報収集には注意が必要です。リーマン・ショック時の値動きを知るには、できれば2006年からのチャートが必要です。ショック前の価格の天井は2007年前後でした。日本版YAHOO!ファイナンスでは10年間のチャートしか表示しないので、今は、2008年後半以降の値動きしか、見ることができません。米国版YAHOO!FINANCEでは、20年でも30年でも、上場以来の値動きを見ることができます。

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次のショックは、米中という2大国の経済を直撃するので、リーマン・ショック以上の衝撃を世界に与えることは、間違いありません。回復までに10年以上かかると思います。その間に、日本の財政が破綻する可能性が大きく、日本の庶民としては、最悪の状況に対する準備が必要です。

324 中国がアメリカの決意を誤算 2018年6月26日

対外的な問題が生じた場合、中国政府は、主に2つの戦術を取ります。

1.表と裏を完全に使い分ける。北朝鮮への貿易制裁を支持する、と公言しながら、裏のルートで交易を続けた。貿易で他国へ厳しい制限をかけていながら、中国は自由貿易のリーダーだと言う。

2.他国へ10倍返しをする。尖閣問題で、日本からの輸入品の検査に時間をかけたり、レアアースの輸出を止めただけではなく、暴徒に日系企業を襲わせるようなことまでやった。THAAD問題では、韓国に対して同じように攻撃。

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アメリカは、宣戦布告(エッセイ59「中国をつぶすアメリカの戦略」)で、中国を全面的に攻撃し、弱体化させる意図を明確にしました。不思議なことに、10倍返しが得意な中国が、とても抑制された反応しかしていません。私は、上の評論で、その理由を推測しました。アメリカの攻撃が想定外だっただけではなく、正面衝突をすれば、中国が負けることを知っているために、抑制的な態度を取っているのだと思います。

それにしても、中国の誤算は、不思議と言っていい範疇に入ります。日米貿易摩擦では、日本が、アメリカを経済的に凌駕することしかやりませんでした。中国は、経済的に世界覇権を握るだけではなく、軍事覇権への野望まで明確にしました。自身への過大評価とアメリカへの過小評価が、中国の判断を誤らせたとしか考えられません。このような究極の挑戦を受けたアメリカには、全面攻撃の選択しかあり得ません。アメリカの対応は、日米貿易摩擦をはるかに超えるものになります。

もっとも、間違えたのは中国人だけではありません。日本の元外交官が、アメリカの最後通告を「ハッタリ」と評しました(No.320「はったりではないアメリカ」)。アメリカをよく研究していたはずの日本人も、判断を誤るほど、アメリカの決意は、覇権維持の本能から直接的にほとばしり出たのです。

事態は急転していて、中国国内でも、政府がアメリカの判断を見誤ったことを、認める論調が出ています(オンライン版ロイター6月26日「中国指導部の対米貿易方針、国内で疑問視」)。公に政府批判をすると、厳しい処罰が待っている中国で、このような批判が表に出るのは異例です。批判は、アメリカと正面衝突をしても、中国には勝ち目がないことを認めています。

日米貿易摩擦は、摩擦が明確になってから日本が弱体化するまで、20年以上かかりました。米中貿易不均衡がはっきりしてから今までに、10年余りかかっています。日本が前例ならば、中国の弱体化がはっきりするまで、あと10年ほどかかるかもしれません。日本に勝利したことで確信を持っているライトハウザーは、その程度の時間はかかると考えているはずです。中国とは、経済だけではなく軍拡競争も含むので、それ以上の時間を予想している可能性さえもあります。

323 米中貿易協議決裂、全面戦争へ 2018年6月22日

5月初めから1か月の間に、3回に渡って行われた米中貿易協議が決裂し、今後の協議予定がなくなりました。そもそも、アメリカには「協議」する意思は全くなく、自分たちの要求を中国に完全に呑ませるのが目的だったので、協議が決裂するのは当然でした(エッセイ59「中国をつぶすアメリカの戦略」)。

その結果、アメリカの制裁がさらにエスカレートしました。トランプは、最初は、モノの対中貿易赤字3750億ドル分のうちの、2000億ドルを対象にして制裁関税をかける、と言っていました。今は、中国がアメリカの要求(恫喝)に完全に応じないならば、赤字額ではなく、中国の対米輸出総額5000億ドル(55兆円)に制裁関税をかける、と言っています。

それだけではなく、中国の対米投資を厳しく制限する方針を、打ち出しました。中国からの対米投資は、すでに激減しています。さらに、スマホなどの通信機器を生産する、中国の巨大メーカー・ファーウェイに標的を絞りました。ファーウェイとAIなどで戦略的提携をしているグーグルを、与野党の議員がそろって厳しく批判しました。提携解消を要求しています。

中国攻撃は全面戦争の様相を帯びていて、アメリカに30万人以上いる中国人留学生にも、攻撃の矛先が向いています。これらの留学生が、大学の研究者と接触したり、卒業後に国内の企業へ入社し、種々の情報を中国当局へ流すスパイの役割を果たしている、というのです。アメリカ政府は、ビザの規制や、疑わしい大学院生の追放などを検討しています。

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対中摩擦は、日独関係にも飛び火しています。ドイツにとっては、EUの外では中国が最大の貿易相手。自動車などの重要な輸出先になっています。最近、中国の企業が、経営がおかしくなったドイツ銀行の大株主になりました。ドイツが主導するインダストリー4.0で、中心的な役割を担うドイツのロボット製造会社が、中国の企業に買収されました。

このような事態に、ドイツの情報機関が厳しい警告を発したのです。ドイツにとって、日本は大きな市場ではないこともあって、メルケルの日本への態度は今までは冷たいものでした。ところが、中国の脅威とアメリカとの貿易摩擦で困っているメルケルが、日本へラブコールを送りました。
「ロシアの両側に存在するドイツと日本は、経済や外交で協力しあうことで、両国とも大きな利益を得ることができる」、と議会で証言したのです。 対中国・対米問題を考えると、ドイツが親日になるのは、日本にとってプラスです。

322 自分のためにする忖度 2018年6月22日

森友・加計問題で、野党・マスコミ・元官僚の一部からの政府攻撃に、やっとウンザリという声が出始めました。忖度がどうこうという終わりのない議論が続き、単純な事実が見えなくなっていたので、ここで整理してみます。

「誰のために忖度をするのか?」。勿論、官僚自身のためです。どの組織でも、組織の上層部が、日常的な業務活動の全てを部下に指示できるはずがないので、トップの方針をブレークダウンし、自分のレベルの業務に、その方針を反映させなければなりません。会社ならば、社長の経営方針を社員が忖度し、自分のレベルの業務に反映させます。

この忖度をうまくやれる組織の構成員が、組織全体の業績をあげるのに貢献し、その構成員は、上司や部下から高い評価を受けます。それが、その構成員の昇給や昇進につながります。忖度が自分自身のためになるので、自分のために忖度をすることは、誰でも知っています。

官僚組織の業務は、典型的なチームでやる仕事になります。自分の昇進は、自分が所属する部局内の、自分に対する評価に左右されます。その部局の評価は、部局が所属する省庁への評価から、影響を受けます。省庁を評価するのは行政のトップの政府なので、政府の方針を業務に反映させる、すなわち政治家の方針や意向を忖度するのは、当たり前というだけではなく、義務です。

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問題は忖度の有無ではなく、自分の評価を上げるための、文書の書き換えなどの違法行為です。このような違法行為は、忖度とは次元が違う問題なので、忖度から切り離さなければならないことは、当然です。あるいは、籠池のような「悪者」が、官僚の忖度意識を巧妙にあやつって、自己の利益を最大限に上げるような現実があることに、当の官僚が気づかなければなりません。

321 教育無償化は当然 2018年6月15日

政府が、不完全ながらも、教育無償化へ向けての取り組みを始めました。「教育が無償になると、生徒・学生のやる気が失われ、学力が低下する」という反対意見があります。けれども、日本の現状を考えると、こんな「ぜいたくなこと」を言っている余裕はありません。

日本の実情が見えてくる以下のデータは、エッセイ56「教育と医療の恐ろしい現実」から持ってきました。

1.低い所得水準:1人当り国民所得はOECD33か国中第17位
2.高い国民貧困率:16%の国民が貧困ライン以下でOECD第7位
3.少ない教育予算:公的支出割合はOECD32か国中第32位(最下位!!!)
4.高い私費負担率:高等教育私費負担率は59%でOECD第3位
5.低い大学進学率:51%でOECD第22位

他国に比べて、日本の教育予算の少なさが目につきます。親が、多額の負担を受け入れているのです。給与水準が高かったときには、国に代わって、親が子の教育費を負担することに、余り問題はありませんでした。ところが、時代は大きく変わってしまいました。

時々ニュースになりますが、増え続けるシングル・マザ-には、生活が特に困窮している人が多く、子供の食べ物にも事を欠いています。義務教育さえも重荷になっている家庭が存在することを、無視することはできません。

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教育は、研究・技術水準を高め、国に経済的な繁栄をもたらすだけではありません。伝統や文化の維持に貢献するので、国民に精神的な支えを与えます(エッセイ6「人間は教育によって人間になる」)。日本という国に生きるために、この支えは極めて重要です。伝統や文化の維持は、回りまわって、海外からの観光客の増加につながるので、実益に直結します。

膨大な負債を抱える政府に、教育予算の大幅な増額はできない、という意見があります。税と社会保障負担金の合計を国民所得で割った、国民負担率は、他の先進国の平均並みになっています。税などの収入の上からは、国が、イギリス並みの教育費負担をすることは、可能なはずです。
それができないとすれば、問題は予算編成にあります。 教育に重点的に配分するような、将来を見据えた予算編成にしなければ、消費税をいくら増額しても、ザルに入れた水のように、税は意味もなく垂れ流されます(エッセイ56「教育と医療の恐ろしい現実」)。

320 はったりではないアメリカ 2018年6月4日

先日、元外交官と、米中貿易摩擦について話し合う機会がありました。元外交官は、エッセイ59「中国をつぶすアメリカの戦略」に書いた、「枠組みの草案」を知りませんでした。私が説明すると、「それはブラフ(はったり)だ」という感想を述べました。外交にブラフはつきものという常識からの判断ですが、個々の案件に常識が常に通用するわけではない、という単純な事実を分かっていないようです。

米中の国力の差はまだ大きく、アメリカははったりで中国を脅す必要はありません。「枠組みの草案」に書いた中国に対する侮蔑的な要求を、そのまま実行することを望んでいる、と理解するのが現実的です。
中国の南シナ海への進出が、ブラフではなかったことを忘れてはなりません。 中国と周辺国の力の差が大きいので、普通ならばブラフと考えられるようなことまで、中国は簡単に実行してしまいます。

元外交官は、日米貿易摩擦のことも忘れていたようです。日本側からはブラフと理解したかったアメリカの要求が、ブラフなどではなく、日本への強制になったという現実がありました。

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米中対立の進展は速く、「枠組みの草案」が中国に突きつけられた、5月3~4日の第1回米中通商協議の1か月後の6月3日に、3回目の協議が終わりました。中国が、輸入額を増やすという小手先の対応で済ませたいのに対して、アメリカは、中国の経済構造を弱体化させることを、望んでいます。日米貿易摩擦で、日本弱体化に成功した戦略です。

中国は必死ですが、アメリカが長期的な展望に立って、中国弱体化を進めている様子は、協議参加者のリストに表れています。3回目の協議に、ライトハイザーもムニューシンも参加しませんでした。ライトハイザーは、日米貿易摩擦で日本と対峙した、通商代表部(USTR)に所属しています。現在はその代表になっています。中国との対決の最前線に立っている人です。「枠組みの草案」で中国へ要求を突きつけたので、協議をすることはもはや重要ではなく、中国に要求を実行させるだけ、というアメリカの態度が見え見えです。

319 生きるための生物学 2018年5月26日

地球の大気にも水にも土にも、実に多種多様な原子、分子、物質が含まれています(「ビッグバンから始まった生物の進化」)。この環境で誕生した生物が、38億年も進化を続けました。この間に、地球の物理学的・化学的・生物学的な環境が、一瞬も休むことなく変化し続けました(「絶滅をバネに進化する生物」)。
生物のからだは、地球環境を反映したものになっています。環境の一部なのです。従って、からだはあらゆる栄養素を必要とし、変動する自然に逐一反応することによって、体機能が最大限に高まります(「驚異の生存メカニズム」)。

これが、生物の基本的な生理です。これを理解するために、進化論を知識として学ぶだけではなく、自分のからだを詳しく観察し、からだの感覚を意識することが、大事になります。周囲の植物や動物の生きざまを見、それらに触れることも必要です。

からだは、栄養素を必要としているだけではなく、生きるために100兆個もの腸内細菌と共生しています。ウイルスでさえも、からだを生かすための協力者になっています。

生物であるからだの理解が十分になれば、生存を危うくする潔癖主義、売らんかなの美容・健康食品、テレビの瞬間体改造番組に、惑わされることがなくなります。それは、日常生活におけるストレスからの解消につながります。
むやみやたらに手を洗い、ウイルス・バクテリア殺菌剤を空中へスプレーし、空気清浄機なるものをガンガンかけ、美容と健康のために野菜と果物のジュースしか取らず、5分間のストレッチでからだの構造を変えるなどいうことは、無駄であると同時に、からだへ負の影響を与えることが分かります。

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からだをより健康にすることは可能です。それは、上のような安易な方法ではできません。環境に存在するあらゆる栄養素を食べ物で取り込み、長期に渡る運動を行うことで、からだは次第に変化します。生物が持っている環境変化への高度の柔軟性が、それを保証します。

特に脳の活性化が大事で、皮膚にコラーゲンを塗るよりも、頭を常に創造的に使っていれば、若返りは可能です。脳は、からだの全ての機能をコントロールすると同時に、体内・対外から伝えられる各種の刺激情報によって、活性化されます。神経系、ホルモン系、免疫系、循環系、筋肉、腸などが、脳との間で高度なフィードバックを行っているのです。

学校では、生物学は、大事な授業として扱われていません。自分のからだを正しく知ることが、生きるための基本になります。子供の頃から生物を知ることの重要性に、おとなが気づく必要があります。

318 凄惨な孤独死 2018年5月16日

凄惨な話を嫌いな方は、ここを読まないでください。

モンタが永眠してから8年の間、遺骨を居間に置いていました(エッセイ15「最後まで大きく燃やした命の炎」)。先日、ペット可の墓地に遺骨を納骨しました。

ラッキーは、起床したあとに、スフィンクスの姿勢を取っていることが、しばしばあります。今までは、遺骨の前で伏せていました。ところが、納骨してから伏せる場所が変わってしまったのです。現在は、スフィンクスの姿勢を取ることがあっても、場所が決まらなくなりました。

私の理解は次の通りです。納骨前は、私と妻が、モンタの骨壺を見るときの気持ちを感じ取って、骨壺の前に伏せた。納骨後は、私たちの注意が部屋の1カ所に向かなくなったので、どこにでも伏せるようになった。
イヌは飼い主の気持ちに敏感に反応します。特に、古代犬バセンジーのラッキーには、その傾向が強く認められます。

上の経験をしてから、No.317に書いた、日本人の死の状況をここに書くことにしました。

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日本領事館から男性の母への電話によると、息子の顔は、判別不能になっているとのことでした。冬でしたが、腐敗が進んでいたのです。腐臭を感じた周囲の住民の通報で、死亡が確認されました。死後、かなりな時間が経っていたことは、間違いありません。
社長ならば、そこまでの時間が経過する前に、社員が自宅を訪れているはずです。その男性が、経営者だったとは思えません。
領事館の説明はさらに凄惨で、 飼い猫が顔などを食べたことも、判別不能になった理由とのことでした。

姉である知人が弟の部屋を訪れたとき、遺体は病院へ移されていましたが、ネコはそのまま部屋に放置されていました。ネコの顔や体下部には、血が黒くこびりついていました。知人はそれを写真に撮り、帰国してから私の妻に見せました。やせ細ったネコの表情は、茫然自失そのものだったそうです。

第三者がこの話を聞くとゾッとしますが、飼い主には救いになったと思います。孤独をいやしてくれた唯一の存在が、自分の死後に自分の肉を食べ、身内が来るまで生き延びることができたのです。ただし、男性の姉は、ネコを飼うことはできませんでした。

317 上海で孤独死した日本人 2018年5月10日

妻の知人(女性)の弟は40歳代でした。10年ほど前に日本の会社を退職し、中国へ行きました。中国では会社を経営しているということでしたが、帰国することは一度もなく、家族が中国を訪れることもありませんでした。知人の父は亡くなり母は病弱でしたが、息子の生活が苦しいということで、知人の母は、時々生活費を息子へ送っていたのです。

その男性が上海で急死しました。病院から日本領事館へ伝えられた死亡原因は、脳溢血でした。母が病弱で中国へ行けないので、妻の知人が上海へ行きました。

弟のマンションを見て知人は驚きました。汚い安アパートだったのです。弟は一人暮らしをしていたようで、餌をもらえずにやせ細ったネコだけが、部屋にいました。弟の孤独をなぐさめたネコですが、日本へ連れ帰ることはできず、近所の公園へ放したそうです。

知人は、最初は遺体を日本へ運ぶつもりでしたが、移送は難しく、上海で火葬を行い、灰を持ち帰りました。弟が身につけていた、動いていない古い腕時計も持ち帰りました。
ところが、 四十九日を過ぎた日に、腕時計がチクタクと正常に動き始めたのです。その話を聞いた妻は、鳥肌を立てました。

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以前、妻と一緒に、私の両親の墓参りに行ったことがあります。実家には誰も住んでいないので、家の周囲を歩いて両親の思い出に浸りました。閉じられたままの門の前に立ったときに、妻が奇妙な仕草をしました。私は妻の後にいました。妻が、右手で首の後に触れながら、門にぶつかるところまで歩いたのです。その歩き方が普通ではなく、自分の意思に反しているように見えました。
妻が後を振り向いて言いました。「誰かが背中を押したわ」

後には私しかいず、私は妻に触れませんでした。

妻は、それまでは超常現象を信じませんでしたが、実家での経験をしてから、「何かある」と感じるようになったのです。それが、腕時計の話を聞いて鳥肌を立てた理由です。

私の父よりも早く、母が病院で亡くなりました。自宅にいた父が、居間にかけてあった母が描いた子犬の絵が、落ちるのを見ました。日本画を描くことが、母の趣味だったのです。絵が落ちた直後に病院から父に連絡があり、父は、母が亡くなったことを知りました。その子犬の絵を今は私が持っています。

私は、私の妻以上に「何かある」と信じていい状況にありますが、以上のできごとを、確率と心理学で説明することが可能なので、超常現象は信じていません。

316 便秘にスピルリナ(クロレラ) 2018年5月4日

恥ずかしながら、便秘の話です。このところ便秘に悩まされていたので、便秘薬をいくつか使ってみました。オイル系は効果が弱く、漢方系は腹部に痛みを感じさせました。また、ガス(一般的な表現ではオナラ)抜きもできませんでした。

アマゾンで検索して、スピルリナが便秘に使われていることを知りました。スピルリナは、クロレラと同じ仲間の単細胞藻類で、約30億年前に地球上に誕生しました。光合成で酸素を放出するようになった、最初の藻類シアノバクテリア(エッセイ2「絶滅をバネに進化する生物」)と同系統の生物です。

一般的には栄養補助食品として使われています。スピルリナには、クロロフィルと水溶性の食物繊維が豊富に含まれていて、これらが便秘に効果を示します。クロロフィルは老廃物や有害物質を吸収し、水溶性食物繊維には整腸作用がある、と言われています。

苦しいときの神頼みで、2000粒入りで2100円のスピルリナを1袋購入しました。アマゾンらしく翌日にこの商品が到着。1袋に2000粒も入っている理由は、栄養補助に使う場合は、1日40錠も呑むためです。私は便秘改善に使うので、晩にコップ1杯の水で10錠を呑みました。
その効果に驚きました。翌朝快便があったばかりか、しつこかったガス生産が止まったのです。作用機序が上記の通りかどうかはともかく、スピルリナは私の体質にピッタリと合いました。

薬にしろサプリメントにしろ、体質的に合う人と合わない人がいます。スピルリナの副作用は少ないと思われますが、人によっては副作用が出る可能性があります。ネット情報では、便秘改善ではなく逆に便秘を誘導したり、ガス抜きではなくオナラを誘発させたりすることが、あるようです。

315 エスカレートが止まらない米中対決 2018年4月29日

米中貿易摩擦には楽観的な見方があります。貿易戦争は両国にダメージを与えるので、交渉で落としどころを探ることになる、というものです。実際に、アメリカは交渉すると言っています。

日本のメディアは余り報道しませんが、アメリカの報道をフォローしていれば、上記の楽観論は、現実離れしていることが分かります。アメリカが意味する交渉は、落としどころを探るのではなく、自分たちの言い分を中国に完全に呑ませることを、意味します。
アメリカの目的は中国の弱体化で、交渉よりも中国たたきの政策がどんどん打ち出されています。中国が、他国に有無を言わせずに、南シナ海の要塞化を進めているのと同じやり方を、アメリカは貿易で中国にやっています。

この対決は、短期的にはアメリカにも被害をもたらします。けれどもアメリカの戦略は、肉を切らせて骨を切るです。中国の弱体化に成功すれば、アメリカの覇権が維持され、アメリカの国益増大に長期に渡って貢献します。

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米メディアの先月の報道から、アメリカの決意が垣間見えます。

ハイテク製品など、1300品目の中国製品へ25%の追加関税。知的財産権侵害で中国をWTOへ提訴。
スマホとテレコムデバイスで中国トップのZTEとファーウェイへの攻撃。イラン制裁違反で、 アメリカからZTEへの部品供給停止(アンドロイドを使えなくなる)。米政府機関が、ZTEから機器を調達することを禁止。この措置は7年間にも及ぶ。
検察がファーウェイも捜査中で、ZTEと同じ措置になる予定。対象は両社だけではなく、両社と取引のある企業を含む広範なもの。明らかに中国先端企業の息の根を止めようとしている。

3月に、自衛隊護衛艦を含む米原子力空母艦隊が、南シナ海北部で軍事訓練。4月に、B52爆撃機2機とF15戦闘機数機が、南沙諸島中国施設の間の空域を飛行。

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中国は、昨年11月に国賓以上の待遇でトランプをもてなしました。4月のアジアフォーラムでは、習近平が、中国が自由貿易のリーダーであると述べました。けれども、中国の戦術は成功していません。

中国は、アメリカの決意を理解し、現実的な対策を取り始めました。この過程で、日米貿易摩擦の歴史を学んだはずです。
中国経済全体で、影の銀行などの巨大な債務が膨れ上がっています。 貿易戦争になれば経済危機に陥る可能性が大きく、金融に流動性を持たせる対策を取り始めました。負債圧縮よりも経済活性化を優先することになります。減税の検討も始めました。

アメリカの最大の敵は中国なので、日本を自陣営に引き付けておくのが、アメリカには得策です。鉄鋼関税などで日本を中国と同一視すれば、中国は日本へ切り込みます。アメリカを信用できない日本は、中国の秋波に応えることになります。

314 アメリカの理不尽な対日攻撃 2018年4月20日

トランプだけではなくオバマも、日本の自動車輸出を批判していました。いわく、「アメリカの至る所で日本の車が走っている。けれども、東京でアメリカの車を見ることはない」。

小さな島国に人が大勢住んでいる日本。広大なアメリカ。車を走らせる自然と社会の環境が全く異なることを、2人の大統領は忘れているようです。日本人とアメリカ人では、体格まで異なります。車の性能やデザインへの要求が、両国で異なるのは当たり前です。
日本で走っている車をアメリカへ持って行っても売れず、その逆もまた真です。日本企業は、アメリカ向けにデザインした車を輸出するばかりか、輸出するよりも多くの車を、米国内で製造しています。アメリカが日本で車を売りたければ、日本人が買いたい車を作らなければなりません。左ハンドルの、小回りが効かない大型車を購入する日本人が少ないのは、当然です。買ってもらう努力を一切せずに、買わないことを責める感覚を信じられません。

ドイツは、日本人が買いたい車を製造しているので、日本人は喜んで購入するのです。日本が、ドイツとアメリカを規制で差別している訳ではありません。
そもそも、 日本は米車に関税をかけていないのに対して、アメリカは日本車に2.5%の関税をかけています。不公平なのはアメリカです。関税の撤廃を。

韓国政府は、輸入台数をアメリカに約束しましたが、車を買うのは一般国民です。政府が約束しても、売れない車は売れないのです。

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モノの貿易では、日本の黒字が、確かに7兆円ほどになります。けれども、国際間の取引はモノだけではありません。アメリカは、グーグル、マイクロソフト、アマゾンなどのIT企業が圧倒的に強く、日本で高収益を上げています。金融・証券会社も強く、多くの日本人が、モルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックス、ブラックロックなどの投信を、購入しています。

映画・音楽では、アメリカが圧倒的な黒字を確保しています。ソニーは、アメリカの映画・音楽産業に貢献しています。旅行収支は、間違いなくアメリカが大きな黒字になっています。さらに、日本は米軍駐留費を負担しています。

日米間の交易収支の合計がどれくらいになるのかは、モノ以外の収支が分からないので、明確には言えません。ただし、両国民の収入を比較することによって、ある程度の推測が可能です。昨年の平均年収は、日本の429万円に対して、アメリカが645万円です。日米間で、賃金にこれだけの差が出る要因は多々ありますが、対日本を含めて、アメリカの国際収支が、大きなプラスになっていることは間違いありません。

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トランプは、日本が円安誘導をしていると批判しますが、為替の長期チャートを見れば、一目瞭然です。長期に渡って円高トレンドが維持されており、特に2007年に124円で天井を打ってから、そのトレンドが明確になっています。

日本政府は、データをもとに対米交渉を進めてください。

313 長期化する米中覇権争い 2018年4月14日

トランプ政権の混乱にはニュース価値があり、アメリカのメディアは、張り切って報道しています。シリア攻撃、ロシアゲート、米朝首脳会談、米中貿易摩擦、対日攻撃、エトセトラ。ツイッターに書く文字の1つ1つが注目されるので、トランプは朝令暮改のつぶやきを書きまくっています。
「中国へ報復関税をかける」で世界の株価が下がり、「両国にプラスになる方向で協議をできる」で株価が上がる。 「シリアへのミサイル攻撃をすぐに実行する」で株価が下がり、「攻撃はまだ未定」で株価が上がる。本日(14日土曜日)、ミサイル攻撃を開始したので、来週は株価が下がります。

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アメリカにとっては、覇権争いをする能力のない北朝鮮やロシアは、長期的にはどうでもいい相手です。

ニューカレドニアの東方に位置する、南太平洋の島国バヌアツ。バヌアツ政府も中国政府も否定していますが、恒久的な中国の軍事施設を構築する協議が、密かに行われているそうです。オーストラリアとアメリカが、警戒を募らせています。

かつてソ連がキューバを囲い込んだように、中国は、アメリカの足元のカリブ海周辺へも手を伸ばしています。カリブの島国のほとんどが、インフラ整備のための巨額な拠出を、中国から受けています。太平洋と大西洋を結ぶパナマ運河の隣に、世界最長のニカラグア運河の建設が計画されています。この建設に携わるのは中国系資本です。

中国の戦略は単純です。一帯一路計画を含めて、経済的に困窮している小国を中心にして、金で言うことをきかせます。少額の投資で地政学的な覇権を握ることができ、短期的には投資効率が良さそうに見えます。
ただし、 1つひとつの投資が少額でも、合計は巨額になります。権益を取得した土地の維持経費が、長期負担になります。投資先は主に開発途上国なので、投資に見合ったリターンは保証されません。腐敗した政権が、浪費する可能性があります。

アメリカに対峙できる軍事力を持つには、追いつくために、アメリカ以上に国富を軍備に注がなければならず、これが中国を疲弊させます。かつて、ソ連は、アメリカとの軍拡消耗戦で負けました。

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私の知人に、中国が覇権を握ることを確実視している人がいて、世界最先端の科学技術都市になると信じている深′wでを、計画しています。Good luck!。

日米貿易摩擦でアメリカの勝利が確実になるまで、10年ほどかかりました。米中対決にも、少なくともそれくらいの時間がかかると思います。覇権に挑戦する敵を叩き潰そうとする、覇権国家の本能が、トランプ以降の大統領も動かします。

アニメが YouTubeの和戸川ページ に入っています。 You can find animated cartoons on Watogawa Page of YouTube .
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