福島第1原発の事故から5年余の間に、廃炉・賠償費用の見積が、4~5兆円から、10兆円、20兆円と倍々ゲームで増えました。21.5兆円の新しい見積に関するインタビューで、世耕経産大臣が、「費用が更に増えた場合の対応も考えなければならない」、と言っていました。費用がさらに増えることを示唆しているのです。
21.5兆円を国民1人あたりに換算すると、なんと17万5000円になります。3人家族ならば52万5000円、4人家族では70万円(!)。電気料金に転嫁するにせよ、政府が肩代わりするにせよ、最終的には、国民1人ひとりがこの費用を負担することになります。
5年前に出版した、拙著「地震・原発列島」で指摘したとおりに、現実が動いています。
原発事故が与える、広範な経済的・心理的ダメージについては、ここでは触れません。発電コストだけを考えても、原発は余りにも高コスト。廃炉費用は、世耕大臣が示唆しているように、間違いなく21兆円よりも大きくなります。その理由は、以下のとおりです。
今年発生した地震で、活断層が存在しなかった地盤に、活断層が新しく生じたことが、何度も報道されました。「地震・原発列島」に書いたように、日本列島は極端に脆弱な地盤から成るので、どこにでも活断層が新しく作られ、直下型地震が発生します。
日本にとって、原発を停止・廃炉にする以外の選択の余地は、ありません。グーグルは、世界中にデータセンターとオフィスを持っていて、電力使用量は、5.7テラワットに達します。この電源を、2017年中に全て再生可能エネルギーに変えます。風力や太陽光発電のコストが世界中で下がったことが、グーグルの決断を促しました。マイクロソフトやSAPは、既に100%を再生可能エネルギーに頼っています(日経新聞12月7日号)。
原爆投下、原発事故、脆弱な地盤・・・日本が、なぜ原発全廃に向かわないのか、とても不思議です。
12月8日付けのThe Washington Postオンライン版に、No.259と見解が一致する記事が載りました。トランプが属する共和党の幹部が、ロシアに対して「宣戦布告」をしたのです。
軍事・情報関連の仕事に従事している議員が、選挙や国防へのロシアの破壊的な干渉を、大々的に調査することを宣言しました。トランプは、いつものように逃げの手を打っています。トランプによると、民主党のメールサーバーへ侵入したのは、「ニュージャージー州に住んでいる何者か」だそうです。トランプがそれ程確信しているならば、「何者か」の情報を調査チームに提出すれば、ロシアへの嫌疑がなくなります。
サイバー攻撃は、あらゆる機関に及びます。幹部議員は、ロシアがアメリカの軍事システムに入り込んでいることを、とても危惧しています。軍事専門家は、ロシアがサイバー空間を通して軍事機密を盗むだけではなく、軍事作戦を混乱させることを、恐れています。
ロシアに対する調査はすでに始まっていて、トランプがどう言おうとも、調査を継続するそうです。国務長官候補の一人であるコーカーも、議会でロシアのサイバー攻撃を討議する、と言っています。これらの議員は、トランプがプーチンを称賛することを、批判しています。ロシアは、罰を受けるまで活動を継続する、と判断しています。プーチンに対価を支払わせるつもりです。
幹部議員は、ロシアの冒険主義に対抗する手段を再構築し、ウクライナ政府への援助を拡大することを、表明しています。
トランプは、軍事専門家の主張を受け入れません。共和党の中にはトランプの肩を持つ議員がいて、「トランプは、プーチンの思い通りにはならないだろう」、と言っています(No.260を参照)。この議員は、トランプとプーチンの「器の違い」に気づいていないようです。
民主党の議員によれば、「外交と安全保障に対する最大の脅威はロシアで、トランプはクレムリンの宣伝マンだ」。「ロシアは、今はトランプに安らぎを与えているが、それが今後も続くとは思わない」(再びNo.259を参照してください)。
「日本人には裏表があるので、外国人が日本人を理解するのは難しい」、と日本人は思っています。けれども、苛烈な歴史を潜り抜けてきたヨーロッパ系の人間、特にロシア人、さらにプーチンの裏は、たった1層ではなく、5層か10層か何層か分かりませんが、層がたくさん積み重なっているので、政治・外交関連の人は要注意です。日本人には、太平洋戦争で、単純なはずのアメリカ人に裏をかかれた歴史があります。
2011年に、ロシアで大規模な反政府デモがありました。プーチンは、当時の国務長官ヒラリー・クリントンが、デモを裏で仕掛けたと信じています。
大統領選挙で、クリントンにダメージを与えるための偽情報を、SNSで大量に流したのはロシアの機関だったと、アメリカの情報機関は判断しています。一般のアメリカ人に、クリントン重病説などを真実と思い込ませ、大きな成果をあげました。米大統領選挙の前にも、ロシアのサイバー部隊が動いて、ヨーロッパの選挙に影響を与えたと考えられています。
ネットでの敵国かく乱は、安くつくだけではなく、情報が瞬時に拡散するのでとても効率的です。ロシアのサイバー部隊が、クリントン追い落としで成果をあげたのならば、ロシアは、間違いなくこの戦術をさらに拡大させます。また、他国のサイバー部隊もこの戦術に力を入れます。中国、北朝鮮、イスラエルなども強力な部隊を持っていますが、戦闘能力の高さから、世界をリードするのはやはりアメリカです。アメリカもロシアと同じことをすでにやっているはずです。
トランプは、ホワイトハウスよりもトランプタワーに住みたい、と言っています。現在、記者会見ではなく、ツイッター上で自分の政策や人事案件を発表しています。先日、台湾総統と電話対談したことを書き、台湾を自国領土と主張する中国を怒らせました。
ハッカーは、最も高度なセキュリティで守られている、ホイワイトハウスや国防総省へも侵入します。トランプタワーのネットワークへの侵入など、簡単です。ネットや電話でやり取りしているトランプの会話は、他国のサイバー部隊だけではなく、アメリカ自身の情報機関(NSA、FBI、CIAなど)にも筒抜けになっている、と考えるのが自然です。ハッカーは、スマホやパソコンのカメラを乗っ取ることができますから、トランプの日常生活が監視されているかもしれません(エッセイ46「Windows10のセキュリティ設定」、拙著「サイバー世界戦争の深い闇」)。
トランプチームは、ロシアの謀略部隊と接触していたことを、疑われています。アメリカの国防総省も情報機関も、ロシアを最も危険な敵と考えているので、ロシアとのコネクションが、トランプの命取りになる可能性があります。ロシアは、自分たちがやったことなので、トランプと接触した証拠をたくさん持っています。トランプが思い通りに動かないときに、プーチンは、これを脅しの材料に使うはずです。
11月24日に、CNNオンライン版に興味深いレポートが載りました。タイトルは、「恋愛ゲームの時代:完璧なボーイフレンドはスマホの中にいるのか?」。No.257の書き込みと関係しています。
日本からのレポートです。CNNが、上智大学の女性准教授、ゲーム開発会社の女性社員、街で出会った若い女性にインタビューした結果を、まとめました。以下に要点を書きます。
アメリカなど他国にも恋愛ゲームがあるが、日本での広がりは他に例を見ない。数百万人の日本人女性が、現実世界での男性との親交を、ゲームの中で代償している。
女性は、「アイ・ラブ・ユー」という言葉を待っている。日本人男性は恥ずかしがり屋で、女性を喜ばせようとはしない。女性は孤独を感じる。夜のリラックスした時間に、デジタルボーイフレンドの甘くやさしい言葉を聞くと、気持ちが穏やかになる。
女性は、ゲームの中で理想の男性を見つける。 強く利己的だが、時々、現実の男性が持っていない甘さを、女性に垣間見せる。このような男性は、アメリカ人には不可解。アメリカの女性は、心理的にも肉体的にもマッチョな男性を好む、と信じられている。
日本では、18~34歳の未婚女性の44%がバージン。ゲームユーザーの中には、現実世界の恋愛を怖がる女性がいる。政府調査によると、20代、30代の独身者の40%近くが、愛し合えるパートナーを持つことを望んでいない。そんな国で、恋愛ゲームが、本能を満たすための手段になっている。
ホストクラブへ行く女性が増加。女性が気に入るサービスを、男性から受けられる。女性は、現実世界の恋愛ゲームを楽しむ。
外国人の視点から見ているので、考えさせるところがあります。一つだけ、私の判断を述べておきます。アメリカ人女性はマッチョの男性を好むとありますが、この意見に疑問符をつけます。
アメリカで同性愛者が急増していて、社会による認知が進んでいます。アップルの社長が、同性愛者であることを告白しました。アメリカでは、現実世界で「仮想異性」を求める人が増えているのです。
結婚したいと考える女性や男性が、急減しています。日本だけではなく、先進国に共通の傾向です。明治安田生活福祉研究所の調査では、結婚したい20代女性の割合は、3年前に82%でしたが、今年は59%になっています。20代男性の意識変化も急速で、結婚したい男性は、3年前の67%から39%に減少しました。日本の人口は減少し始めましたが、減少が加速されそうです。
独身でいたい理由は、女性では「仕事に打ち込みたい」が1番で、男性では「家族を養える収入がない」でした。男性の理由はストレートに収入と関係していますが、女性の理由も間接的に収入と関係しています。
私は、本能と関係する、もっと根源的な理由に注目します。自分を社交的と考える若者が減り、それが交際機会の減少につながっています。現実世界で他人と関わる必要性が、薄れているのです。男女ともに、スマホなどの恋愛ゲームにのめり込む人が増えています。デジタル空間での疑似恋愛が、異性を求める気持ちを昇華させてしまっています。
3Dメガネなどの進歩が、仮想現実の世界をより現実的にしていきます。デジタルな異性が、圧倒的な現実感をもって身近に存在するようになります。ロボットが進歩すると、見かけや行動がより人間らしくなり、やがてアンドロイドが誕生します。デジタルな世界で遊び、アンドロイドと一緒に時間を過ごすほうが、生身の人間を相手にするよりも面倒がありません。そんな未来が、現実になりつつあるのです。
70~80年後には、人類の数が減り始めます。先進国の傾向が、開発途上国にも広がるのです。進化のスケールから考えると、上記の傾向は、人間の意志とは無関係な、もっと本能的なところから生じている、と判断できます。
生物の種は、個体が増え過ぎると、個体数を減らすような行動を取ります。個体数が限界を超え、種が絶滅するのを防ぐために、個体数を減らし、限られた環境内で生き延びることを、本能的に選択します。人類は、すでにそのステージに入ったと思われます。先進国でゲイやレスビアンが増え、社会的に認知されるようになってきたのも、個体数を減らすための一連の本能的行動と理解できます。
トランプが大統領選挙で勝利を収めてから3日目。日経平均株価が、1日で1000円ほども下げたり上げたりと、極端な動きをしています。トランプ政権の政策が固まるに連れて、このような乱高下が、今後も何度も見られると思います。
日本市場だけを見ていては判断を間違え、ジェットコースターから振り落とされます。世界の市場は、24時間のうちに次々と開きます。日本での取引には、アメリカの動向が参考になり、アメリカでの取引には、日本やヨーロッパの動向が参考になります。
時間差を利用した判断だけではなく、アメリカ発の動揺には、アメリカの投資家の判断を重視する姿勢が、必要になります。
今のところ、日本市場には方向性が見えませんが、 アメリカ市場には明確な方向性が見えています。投資家の不安心理を表すVIX(恐怖指数)が、7月前後に底を打ち、上昇トレンドに入っています。大統領選挙による乱高下は、このトレンドを変えていません。
また 多くの株価が、9月前後に短・中期の天井を打っていて、現在下降トレンドにあります。このトレンドへの大統領選挙の影響も、余り認められません。
ただし、1つのセクターで、トランプ勝利後急速に値が上がっています。医薬品・バイオ関連のセクターです。アメリカの皆保険制度「オバマケア」が、オバマによって導入されましたが、トランプはオバマケアの廃止を明確にしています。オバマケアで薬価が抑えられていたのに対して、廃止によって医薬品の高騰が見込まれます。
日本でも、アメリカの医薬品を対象にした投信やETFが販売されています。それらをお持ちの皆さんは、風向きが変わったことを実感していると思います。
大統領選挙で、予想に反してトランプが勝利しました。今まで政治の話をしたことがない、ワンコ仲間の奥さんたちまで、この驚くべき選挙結果を論評。けれども、誰よりも驚いたのは、トランプ自身かもしれません。
まさか大統領になるとは思っていなかったので、罵詈雑言を連発しました。それらと今後の政策の間で整合性を取るために、すでに頭を悩ませていると思います。今70歳。任期は4年。かなりメタボ気味に見えるので、2期8年間、大統領職を続けるのは困難です。4年で、今までの政策をひっくり返すようなことをすれば、世界が混乱します。何があっても、核ミサイルのボタンだけは押さないでほしいものです。
ITによる社会変化を論じる、WIREDという雑誌がアメリカにあります。そのオンライン版に、トランプのゴーストライターの思いを書いた、「良心の告白」が載りました。トランプの人間性を問題にしています。要約は以下の通りです。
1987年に刊行し、大ベストセラーになった「トランプ自伝」を書いたシュウォルツは、金のためにその本を書いたことを、心から後悔している。シュウォルツは、1年半もトランプと行動をともにしたが、彼が作った強いリーダー像は、全くの偽りだった。
トランプは、嘘がどんなに見え見えでも、平気で嘘で嘘を塗り固める。他人をだますことに良心の呵責を感じない。異常なほど衝動的で自己中心的。トランプにとっては有名になることが全てで、自分の悪行をマスコミが取り上げても、評判になったことをとても喜ぶ。
トランプが他人に対する態度は、「お前はクズだ」と罵倒するか、「お前は最高だ」とおだてることの両極端しかない。激怒するのもおだてるのも全て計算づく。役に立っている人には愛そう良くするが、役に立たなくなると途端に手のひらを返す。
金が全てで、「おれのほうがリッチだ」と自慢するのが大事。トランプには、自己顕示欲を満たせる話題以外には、集中力も忍耐力もない。「注目を浴びたい」という強迫観念にとらわれている。知的水準が極めて低く、恐ろしいほど無知。成人してから本を1冊も読んだことがないと思われる。
選挙運動中に、シュウォルツの指摘通りのトランプが現れました。そこまで言っては気の毒ですが、シュウォルツは、トランプを社会病質者と断定しています。安倍さん、大変でしょうが、日本の国益のために頑張ってください。
かつて、ウーマンリブなる社会活動が流行しました。男性と女性をあらゆる視点から同一視することは、明らかに間違っていました。女性が生理的に男性と異なるのは勿論、心理的にも両性は異質です。
女性は男性よりも本質的により民主的、と私は理解しています。子を産む性である女性は、種を維持するための根源的な本能を持っていて、それが自分を最も大事にする生存の本能につながります。自分を大事にする女性が集まれば、縦社会ではなく横社会を作ることになります。横社会と個人を尊重する民主主義の間には、強い相性があります。
集団性動物である人間は、生存のために集団行動を取らなければならず、女性よりも攻撃的な男性が、全体を引っ張る役割を演じることが多々あります。特に、闘争で集団の利益を守らなければならない戦国時代などで、男性が強力なリーダーシップを発揮します。男性は、上意下達の命令系統に簡単に順応します。集団の中における自分の立ち位置を守ろうとします。
時間軸においても、現在の自分の地位を保障する過去とのしがらみを、男性は重視します。当然、現在のしがらみの中に自分を置くことに何の抵抗もありません。
本能的に民主的な女性がリーダーになった場合の典型例を、小池都知事に見ることができます。男性が重視するしがらみを軽々と捨て、自分の信念に基づいて動いています。韓国の朴大統領に、女性リーダーに特徴的な長所と短所を見ることができます。イギリスの元首相サッチャーも、イギリス政治の過去のしがらみを捨て、その時点で必要だった改革を遠慮会釈なく進めました。それが「鉄の女」と呼ばれた所以です。
多くの人たちが、クリントンが大統領になれば、オバマの政策を引き継ぐと考えています。トランプは、クリントンをオバマの後継者ということで批判しています。上に書いた女性の特質を考えると、クリントンが大統領になると、思いがけない政策を打ち出す可能性がとても大きい、と私は予測します。
CNNなどで米大統領選挙をフォローしている皆さんは、トランプの極悪人めいた見かけに加えて、知っちゃかめっちゃかな言い分に、気分が悪くなっていると思います。「モスレム入国禁止」は序の口で、「メキシコの金で国境に壁を作らせる」、「日本が仕事を奪っている」、「経費を全額負担しないなら、日本から米軍を撤退させる」、「日本は核武装を」、「プーチンを尊敬する」、「ロシアによる、アメリカへのサイバー攻撃を歓迎」、「中国製品には高い関税」、「女は血を流す」、「俺のキスやボディタッチを、どの女でも受け入れる」、エトセトラ。これが、覇権国アメリカの大統領候補なのです。トランプを支持する有権者が、40パーセント前後もいるのです。
選挙戦は、1年以上も前に始まりました。おかしなことを言うトランプは、メディアにとっては格好の材料。CNNがトランプの発言を常時放送したために、大統領候補になるはずのないニューヨークの不動産王が、候補になってしまったのです。厚顔無恥という言葉をCNNに捧げたい。
現在、CNNは、他のメディアと一緒にアンチ・トランプ・キャンペーンをやっています。「俺が負けたら選挙結果を受け入れない」などと、どこかの国の独裁者並みの発言をするので、さすがのCNNも批判せざるを得ません。また、外交などのトピックには有権者は余り関心を示さず、女性蔑視のような身近な発言のほうが、有権者、特に女性の注意を引きます。CNNとしては、今はトランプ批判をする以外に選択の余地はありません。
そんなCNNのオンライン版に、8歳の娘を持つ、CNNの政治コメンテーターの女性(白人)が、自分の気持ちを書きました(Sコーン「娘への手紙:トランプについて」)。CNN内部にいろいろな意見の違いがあるようです。アメリカの良心とも言えるので、以下にこの記事の要点を書きます。
「あなたは『トランプを嫌い』と言った。権力を持っているけれども、自分を抑制できないかわいそうな男を嫌わないで。憎しみは憎しみでは解決できない。理解と共感が必要なの。彼は、私たちの歴史の暗く危険な過去を体現している。その過去は、私たちの中に今でも生きている。私たちの国はジェノサイドから始まった。白人の国を作るためにインディアンを殺戮した。その時から「私たち」は白人を意味し、それ以外の人たちは「彼ら」になった。「彼ら」は残忍で人間らしくないので、殺すのが当たり前とされた。同じ論理がアフリカからの奴隷に適用された。この心理は今でも残っていて、差別が当たり前になっている。女性差別にも同じ心理。娘よ、女は男よりも格下、女の価値は頭脳ではなくからだにある、という通念から、あなたを守りたい。
あなたが大人になったら、大学に入り、職を得、家を買うのが、黒人の友だちよりも容易なことを知る。白人以外への差別。けれども、あなたが罪悪感を感じる必要はない。社会を変えるのを助けて。女性や有色人種に機会を与えると、自分たちの取り分が減ると思う白人がいる。 白人に機会があるのが、当り前と思っている。「アメリカを再び偉大に」と叫ぶ時には、白人の権利拡大を考えている。アメリカの暗黒部分と、理想へ向かう努力の両方を理解してほしい。希望を捨てずに前へ進んで。世界が、愛、寛容、美で一杯のあなたのようになるよう、私も頑張るわ」
(追記)27日に、トランプは、「選挙を中止して、自分を大統領にすべき」、と言いました。討論会で、「自分が大統領になったならば、クリントンを刑務所に入れる」、と言ったことがあります。大金持ちと自画自賛しながら、19年間も所得税を払っていないなど、普通の独裁者が真っ青になるほどの「偉大な男」です。
私は、オーストラリアのシティバンクに口座を持っています(日本のシティバンクは、三井住友信託銀行に吸収されました)。豪シティバンクは、猛烈な勢いで業務のIT化を進めています。
先日、電話でやり取りをしていて、驚いたことがあります。今までは、電話でやり取り(業務、取引)をする場合、認証のために母の旧姓などの個人情報を、聞かれました。ところが、これからは面倒な認証のためのやり取りが、不要になるのです。
オンラインでは、SMS経由で送られて来るOTP(ワン・タイム・パスワード)を、通常のパスワード以外に入力しなければなりません。
電話取引の場合、AIによる音声認識で本人かどうかが確認されるので、暗証番号の入力も、本人確認のための個人情報に関する質問も、なくなりました。質問される個人情報は決まっていたので、それらの情報をハッカーに知られれば、容易に偽装されました。暗証番号も盗難にあいます。会話中にAIが判断する音声パターンによる認証によって、安全性が格段に増しました。
日本で、このような認証をやっている銀行はありません。けれども、やろうと思えばすぐにできます。Windows10には、コルタナというプログラムが入っていて、このプログラムが、音声によるコンピューター操作の指示に反応します(エッセイ46「Windows10のセキュリティ設定」)。このプログラムに、個人の音声の特徴を学ばせれば、コルタナは誰でも特定できるようになります。豪シティバンクが、コルタナを進化させたプログラムを使っているのかどうかは、分かりません。IBMのワトソンかもしれません。
ITで世の中はどんどん便利になります。けれども、新しいリスクが現れます。私たちの誰もがこのネットワークに組み込まれるので、利便と危険を常に把握している必要があります。
オーストラリアの家の庭に、備え付けのバーベキュー台がありました。バーベキューを始めるのが分かると、先代のモンタは興奮しました。生肉と焼き肉の匂いから逃げられなくて、バーベキュー台の周囲をウロウロ。止むを得ず、フェンスで仕切られた庭の片隅へ、モンタを追いやらなければなりませんでした。
今住んでいる街の公園で、バーベキュー屋が店を開きます。予約制でバーベキューコンロを借りることができます。天気の良い週末には、バーベキューコンロが40~50台も並べられます。
焼き肉の良い匂いが、煙に乗って周辺に漂います。モンタの経験があるので、ラッキーもこの匂いに酔って皆の仲間に入ろうとするだろう、と思いました。ところが、ラッキーの反応は全く正反対なのです。あたりに漂う匂いから逃げようと、必死でリードを引っ張ります。
エッセイ36「犬の常識に挑戦するバセンジー」通りのラッキー。なぜそんなにバーベキューをいやがるのか、ラッキーには人語で説明ができないので、私が勝手にラッキーの心理を分析しました。
ラッキーは、肉を大好きです。それでは、大好物の肉の匂いを圧倒するほどの恐怖心は、何でしょうか?
文明国で普通に飼われるようになってから、まだ100年も経っていないバセンジー。遺伝子に刷り込まれたアフリカの原野の火事(ブッシュファイヤ-)への恐怖が、ラッキーの行動を縛っている、と推測します。オーストラリアもそうですが、周囲が火の海になるブッシュファイヤーは極めて危険で、煙の気配を感じただけで、野生動物は逃走を開始します。肉を焼く炭火から出る煙の臭いが、魅力的な肉の匂いを圧倒しているのでしょう。もっと直接的に、バーベキューから、ブッシュファイヤーで焼け焦げた肉を連想するかもしれません。
アフリカ大陸の遺伝子を持っているにしては、ラッキーは街が好きです。散歩のときには、人が大勢いる街へ向かってリードを引っ張ります。そんなラッキーが、とても小さいチワワの女の子に好かれていて、ラッキーに歯向かう犬がいると、チワワが怒って吠えます。
妻の友人が、ロボット掃除機ルンバを使っています。先日、ルンバにスイッチを入れてから、買い物に出かけました。
忠実なロボットは、ご主人様の不在中にせっせせっせと働いて、家中をきれいにしていました。ところが、妻の友人は犬を飼っているのです。その犬が、部屋の片隅にそそうをしてしまいました。床に盛り上がったウンチをセンサーが見つけ、がぜん張り切ったルンバ。床の表面がきれいになるまで、回転ブラシを猛烈に回転させました。ルンバの努力で、床からウンチの盛り上がりが消えました。けれども.....。
帰宅したご主人様はびっくり仰天。ウンチがあった部屋だけではなく、他の部屋の床やカーペットまで、犬のウンチで表面がきれいにコートされていたのです。勿論、ブラシを含めたルンバの機体全体も、ウンチで汚れていました。悪臭のひどいこと!
部屋とロボットをきれいにするために、ご主人様が休みなく働いて3時間かかりました。そのクリーニングは、ご主人様の原始的な手作業に依ったのです。
かつて、SF作家アシモフが、ロボットが守らなければならないロボット3原則を、彼の小説で打ち出しました。
ルンバは、条文1に反した行動を取ったのです。
上のウンチ事件は、ロボットがどれほど進化しても、人間がロボットの行動に責任を持たなければならないことを、示しました。ウンチを見分けるセンサーを付け、ウンチ用のクリーニング機能を付けることが、iRobot社の人間技術者に求められています。この機能を付けるのは、相当に難しそうです。
犬や猫を飼い、ロボット掃除機を持っている皆さん、ロボットのおバカなところまで理解して使わなければ、家中がウンチだらけになってしまいますよ。幸いにも(!?)、我が家にはロボット掃除機がないばかりではなく、ラッキーは家では決してウンチをしません。
米大統領選におけるトランプは、バカなことを言いたい放題です。テレビ討論の視聴者数は数千万人から1億人に達するので、笑ってばかりではいられません。ヒットラーが「我が闘争」に書きました。「繰り返し嘘をつけば、バカな大衆は嘘を真実と信じるようになる」。
日本関連で繰り返される放言に、次のようなものがあります。「日本は安保にただ乗りをしている。駐留経費を全額負担しなければ、米軍を撤退させる」。
米軍の世界駐留が、アメリカが政治、外交、軍事、経済などの分野で、覇権を握ることを助けています。これによって、アメリカが莫大な利益を世界中から得ていることは、誰にも疑いの余地がありません。この議論はさて置いて、ここでは軍事負担金について述べます。
毎日新聞オンライン版によると、在日米軍への日本の負担金は、7250億円になります(2015年)。在日米軍へのアメリカの予算は、6000億円です(2016年)。財務省の資料では、日本の負担割合は75%に達します。土地の無償貸与なども考慮すれば、そうなるのかもしれません。日本の負担金は、他のどの国よりも群を抜いて多くなっています。
このような事実をアメリカ人に説明することは、勿論必要です。同時に、もしもトランプが大統領に選ばれたならば、ビジネスマン・トランプと軍事ビジネスの交渉をすることによって、日本は大きな利益を得ることができます。その内容は次のようになります。
7250億円の予算でカバーできる範囲で、米軍を雇います。日本からすれば、アメリカ人に職を提供することになります。トランプは、日本企業がアメリカ人の職を奪っている、と日本を非難していましたから、日本が米兵を雇うことに賛成するはずです。
フランス外人部隊のように、米兵には最前線で戦ってもらいます。当然のことながら、日本に雇われた米軍は、自衛隊の指揮下に入ります。日本の法に従って動くことになります。
私の2つのウェブサイトは、もともとデスクトップ用に構築しました。ここに何度も書いたように、スマホに最適化するために、1年以上も努力を続けました。画面を伸び縮みするようにしたのは、序の口でした。小さい画面でも見やすいだけではなく、操作もしやすいようにデザインを変えました。
最後に残ったのが、ダウンロードの高速化でした。特に、最近は動画を含むページが多いので、速度の遅いスマホでは、肝心の動画を見るのが困難でした。
ページ全体の軽量化、すなわち画像や動画の容量を圧縮し、テキスト部分も簡素化しました。
最後の最後にやったのが、サーバーの移転です。レンタルサーバー(FC2)をエックスサーバーに変えました。ウェブサイトの住所であるURLを変えずに、異なるサーバーへ引っ越すために、かなりな注意が必要でした。
上の数行に書いたことが、実際には試行錯誤の連続で、とても時間がかかりました。一般に高速化に効果があると信じられている方法が、私の環境では全く効果がないばかりか、サイトの機能を停止させたりしたのです。
それでも、努力は最後には実を結びます。デスクトップでアクセスしている方は、少ししか違いを感じないかもしれません。けれども、スマホを使っている方は、ダウンロードの速さに大きな違いを感じるはずです。昨日までは、動画が見えるようになるまでに長い時間を要しましたが、今はサクサクと動くことを実感していると思います。
この2~3日の間に、CNNが、テレビのニュース番組とオンライン版CNNで、NASAの研究チームなどから得た情報を、次のように報道しました。タイトルは、「太陽に似た星からの<強いシグナル>が異星人の存在を示唆」。
この星は地球から94光年離れていて、ロシア人が、この星からのシグナルを最初に観測しました。現在、国際研究チームが観測にあたっています。チームのリーダーが、「このシグナルが人工的なものならば、その強さから、人類よりもはるかに高度な文明を持った異星人から発信されていることは、間違いありません」、と述べています。ただし、「多くの観測所からのデータが一致しなければ、真偽のほどは分からない」、と主張する慎重な専門家がいます。
この<強いシグナル>は、燃える星の全エネルギーを発信に使えるような、超構造物がなければ、発信できないと思われます。この構造物は、1つの星をおおうほど、巨大なものになります。シグナルの意味を解読するよりも、超構造物を見つけるほうが、高度な文明を持った異星人の発見には有効、とする主張があります。私もそのように思います。
異星人の心理を考えると、地球人がメッセージを解読するのは不可能と思われます。なぜならば、人類が検出できるほどに強力な電磁波(電波や光など)を発信させる異星人は、間違いなく人類よりもはるかに進化しているからです。
進化の時間スケールでは、数百万年は極めて短い時間です。宇宙には、人類よりも数百万年以上進化した生命体が、多数存在すると思われます。
数百万年を超える時間は、サルとヒトほどの違いを生み出します(人類は約600万年前に誕生)。 サルは、ヒトが発信する情報の意味を理解できるでしょうか?ヒトがやっていることを理解できるでしょうか?たとえ<強いシグナル>が異星人から発信されていても、その意味を解読することは、人類には不可能と考えざるを得ません。
人類よりも、進化が数千万年進んだ知的生命体がいると、知能の差はネズミとヒトほどになります(人類がネズミ)。ネズミが、「自然的」と「人工的」とを区別できないように、人類は、この生命体がやっていることを、「人工的」とは判断できません。宇宙で自然に生じていると思われる現象が、実際は「人工的」であることを否定できません。
数年前に、1500光年離れた星の光の変動が、観測されました。この星は何の変哲もないごく普通の星です。この光の変動は、自然界で起こるどのような変動とも異なることを、天体物理学者が確認しました。観測は現在も続けられています。
人類のような地球型生命(炭素系生物)が存在する惑星が、私たちの銀河系に数十億個存在する、と私は推測しています(エッセイ27「無数の惑星に生命が誕生」)。宇宙には2000~3000億個の銀河が存在する、と見積もられています。生命が存在する惑星の数は、天文学的になります。
恒星(太陽)の輝きが強烈なので、他の太陽の周囲を回る惑星の確認には、困難が伴います。それでも、木星のような巨大惑星が、他の太陽系で次々と発見されるようになってきました。
地球に似た、温暖な環境を持つ可能性がある惑星の発見を、イギリスの研究チームが発表しました(電子版ネイチャー、8月24日号)。直接観測の結果ではなく、中心星の動きがわずかに揺れていることから、惑星の存在が示唆されました。惑星の重さは地球の1.3倍ほどで、中心星からの距離を考えると、表面には水が存在すると思われます。
この発見が衝撃的なのは、中心星が、地球に最も近い恒星であることです。天文学的な距離からは、すぐ隣になる4.2光年先のプロキシマ・ケンタウリ。
もしも地球型惑星がとても少なければ、最も近い恒星にそのような惑星が存在する可能性は、限りなくゼロに近くなります。従って、プロキシマ・ケンタウリにそのような惑星が存在することから、同じような惑星が銀河系に無数に存在することを、推測できます。
エッセイ27に書いた私の予想をはるかに超える数の惑星に、地球型生命が存在するかもしれません。技術の進歩が、小さな惑星の発見を可能にしますから、地球型惑星の発見が今後増えると思います。高度な文明を持つ知的生命体が、惑星の環境を大規模に変えていれば、その人工的な変化の検出ができるようになります。
私たちの宇宙を作っている基本粒子が、素粒子です。一般的には量子とも呼びます。量子は、私たちのからだを作り、毎日乗る電車や自動車を作っています。電車の車体はとても硬く、量子がそこに厳然として存在していることを、疑う余地はありません。ところが、ミクロで見た宇宙は、マクロの宇宙(私たちの日常生活を送る場を含む)とは全く異なる様相を、呈しています。
どのような観測機器を使っても、特定の量子が存在する時間と位置を同時に決定することは、できません。これを「不確定性原理」と言います。どこに量子が存在するのか分からない状態は、「量子ゆらぎ」と呼ばれる、量子の基本的な性質と関係しています。
量子の本質は、空間の振動またはエネルギーの溜まりと考えられ、そこにガチッと固まった境界は存在しません。そのために、かげろうのような量子ゆらぎが現れます。
アインシュタインの相対性理論は、目に見えるマクロな宇宙の基本原理を述べています。アインシュタイン後に、宇宙存在の究極に迫る、量子力学が発展しました。宇宙を構成する最も基本的な量子を究明するのが、量子力学です。
量子力学の代表的な理論に、「超ひも理論」と「ループ量子重力理論」があります。このサイトで、超ひも理論は紹介済みです。ループ量子重力理論は、空間と時間を量子として究明する理論で、量子力学の本道を行きます。
両理論を中心にした私的宇宙論を、現在書いています。最新の理論を把握した上で、想像力を無限のかなたにまで広げるという、気が遠くなるような作業をやっています。時間とエネルギーを注ぎ込む、大変ではあるけれども、とてもおもしろい作業です。
私のサイトの分野別アクセス数では、宇宙論が最も多くなっています。上の本は、アマゾンから販売予定ですので、宇宙論に興味のある皆さんには、ぜひ読んでいただきたいと思います。
人間は、他の人との比較で、自分を幸せと感じたり不幸と感じたりします。
「世界一幸せな国」と言われたブータン。鎖国時代には、他国と比較する術を、ブータン人は持っていませんでした。ブータン人は、皆が、伝統的な生活環境下に置かれていました。そこでは、競争心も嫉妬心も生まれず、穏やかな日々の繰り返しの中に、不幸と感じる理由がなかったのです。
ところが、開国後に、ブータンは世界中で有名になりました。「世界一幸せな国」などとはやされたおかげで、観光客がどっと押し寄せるようになったのです。国際観光資本がホテルを次々と建設し、観光客相手の職業がたくさん生み出されました。スマホの普及が、ブータン人が外の世界に目を向けるのを助けました。
物質的にとても豊かな世界があることを知ったブータン人は、不幸せになってしまいました。自分たちが貧困であることを思い知らされたのです。ホテルなどで収入を得て、押し寄せる観光客のようなライフスタイルを、追い求めるようになっただけではありません。若者たちは、外国へ出て、教育を受け職を得ることを望むようになったのです。
世界では、超富裕層はさらに富裕になり、貧困層はさらに貧困になっています。国際NGOによると、世界で最も金持ちの62人の総資産は、下位50%の人たち(36億人)の総資産に匹敵します。また上位1%の人たちの総資産は、残り99%の人たちの総資産を超えています。
これが、大きな問題を引き起こしています。個人間・家族間・国家間・民族間の格差が大きくなったことによって、疎外され差別を受けていると感じる若者が、イスラム国へ身を投じています。暴言で人気を集める、トランプのような大統領候補が現れました。世界政治でポピュリズムが拡大すれば、ヒットラーのような人物が権力を握る可能性を、排除できなくなります。
技術の急速な進歩が、富の一極集中を助けています(エッセイ47「人工知能は誰のために富を生むのか?」)。富の分配方法を根本から変えなければ、貧富の格差がさらに広がり、世界はさらに不安定になります。
昨日、エーゲ海旅行記をアップしました(エッセイ51「青と白のエーゲ海クルーズ」)。8月には、大勢の皆さんがヨーロッパへ出かけると思います。アップが、それに間に合いました。参考にしてください。
クルーズの話だけではなく、ローマとアテネの最新の情報も含んでいます。ローマやエーゲ海の島々の気温は35~39度、アテネは42度でした。8月にはもっと暑い日があるので、暑さ対策を決して忘れないでください。
下に書いたビデオカメラは、修理できないほど破損していましたが、データの取り出しには成功しました。エーゲ海などを動画で楽しんでください。
エッセイに書きましたが、日本の交通事故死者数は、年間4000人を超えています。交通事故は、テロよりも危険です。テロに対しては、他国の人たち並みの注意を払えば、済むと思います。恐れ過ぎず、けれども油断をしない。日本人を含めて、観光客は休暇をとても楽しんでいました。
エーゲ海では、サントリーニ島とミコノス島を散策しました。非日常的な美観に圧倒されました。一生に一度は行って、一生の思い出を作ってほしいと思います。
エーゲ海で結婚式を挙げたい日本人が多く、教会は、中で記念撮影することを認めています。けれども、挙式を教会で行うことはできません。ギリシアに住んでいるギリシア正教徒だけが、ギリシア正教の教会で挙式できます。ハネムーンでエーゲ海へ行き、ウエディングドレスを着て記念撮影をするだけでも、結婚後の夫婦生活において、大きな意味を持ちますね。思い出づくりは大事です。
エーゲ海の島々を回るクルーズへ行ってきました。その直前に、イスタンブール、ダッカなどでイスラム国によるテロ、クルーズ中にはバグダッドなどでテロがありました。
今回のクルーズは、ローマを出発し、シチリア島とイタリア本土の間の海峡を抜け、エーゲ海を回ってからアテネへ到着するコース。シリア難民が、トルコからエーゲ海を渡って西方のギリシアの島を目指し、地中海対岸のアフリカからの難民が、北方のイタリアを目指している海域です。
日本人の感覚では、クルーズコースの周辺は世界で最も不安定な地域なので、行きたくない、となります。 日本人観光客が激減している、と添乗員が言っていました。おかげで、日本人専門だったガイドが、日本人とは関係のない仕事を探しています。テロの脅威を日本人よりも身近に感じているはずの、ヨーロッパやアメリカからの観光客は、それほど減っていません。
飛行機はカタール航空を使い、ドーハで乗り継ぎました。アラブの国なので緊張感があることを予想していました。けれども、いろいろなチェックは日本並みにゆるく、空港に兵士の姿はありませんでした。ギリシアも同様です。
イスラム国がソフトターゲットを狙っているので、ローマのスペイン広場などには装甲車が止まっていました。装甲車の前には、自動小銃を構えた兵士たち。それでも、空港のチェックも街の警戒ぶりも、フランスやオランダなどよりもはるかにゆるいのです。イタリアに比べれば、フランスやオランダは戦時下にあります。中東から西へ行くほど警戒が厳しくなる、という現実があります。
旅行記を書く予定ですが、ビデオカメラが破損してしまい、まずデータの取り出しを試みています。場合によっては、動画なしの旅行記になります。
先日、ギャラクシーを使っている知人が、エッセイサイトの動画を見ることができない、と言いました。画面は伸縮自在で、スマホサイズからPCサイズまで、問題なく伸び縮みします。けれども、スマホによっては、動画が動作しないことがあるのです。知人の指摘を受けて、スマホに最適化するために、プログラム(htmlとcssの構文)の修正に取り組みました。
パソコンよりもスマホからのアクセスのほうが多くなっているので、ウェブデザインを、スマホ中心に考えなければならない、という現状があります。
この作業に1か月余りかかりました。まず、小さな画面のスマホでも見やすいように、デザインを簡素化し文字を大きくしました。プログラムに修正を加えては、いくつかのブラウザ(Microsoft Edge, Explorer, Firefox, Chrome, Opera)を使い、パソコンで見え方のチェックをしました。さらに、スマホ(au)とタブレット(Kindle)で動作を確認しました。
こんなことを全ページに渡ってやるには、時間が必要になるだけではありません。プログラムの1文字でも間違うと動作しなくなるので、細心の注意と忍耐力が必要になります。私は趣味でやっているのでのんきですが、仕事でやっているプログラマーの皆さんのご苦労は、大変なものです。
すべての端末に共通なプログラムのないことが、ウェブデザイナーやプログラマーにとっては、頭痛の種です。動画形式にもいろいろあって、異なるスマホでも動作するようにするには、同じ動画をいくつもの形式(mp4, webm, ogvなど)に変換しなければなりません。あちらを立てればこちらが立たずで、アンドロイドのauで動画の動作に異常がなくても、iPhoneでは見えない、などということがしばしば起こります。最後は、自分の独自な判断でプログラムを記述しますが、それが文法的に正しいのかどうかを、いくつかの検証サイトでチェックしなければなりません。
パソコンからスマホまで使える汎用プログラムが、少しずつでき上がりつつあります(html5, @media, Bootstrapなど)。しかも、記述をより簡単にする方向での修正が進んでいるので、関係する皆さんのご努力に感謝します。将来的には、私以外の人たちもやっている上の作業が、誰にとっても昔話になると思います。
今まで私のサイトの動画が見えなかった皆さん。すべての方が見ることができるようになったという自信はありませんが(そのためには、すべてのスマホで見え方のチェックをしなければなりません)、かなり多くの方のスマホで、動画が動作するようになったと思います。
プログラムに問題がなくても、ダウンロード時間の問題が残ります。私はレンタル・サーバーを使っています。法人ではなく、個人が中心になって借りているサーバーだけあって、安いのですが、ダウンロードの速度が遅いのです。また、皆さんが使っているスマホも、契約によっては余り速度が出ないと思います。エッセイ49「ハワイ楽園4島巡りクルーズ」のように、動画が多いページでは、ダウンロードが終わるまでに、かなり時間がかかるかもしれません。皆さんの忍耐に感謝します。
日本へのサイバー攻撃をリアルタイムで観測している、情報通信研究機構によると、日本への攻撃は2013年に129億件でした。ところが、2014年には257億件。毎年、倍々ゲームで増えています。
シマンテック社のノートンレポートは、サイバー攻撃による日本の被害者は、2013年に400万人に上がり、一人当たりの被害額は294ドル(約3万円)だった、と述べています。倍々ゲームで被害者が増えているならば、今年は相当な数になっています。
サイバー攻撃にはいろいろなやり方があります。被害が最も多いのは、単純な標的型メールよる攻撃です。誰でも使うメールが攻撃の媒体になるので、厄介です。メールの添付ファイルを開くと、仕込まれていたウイルスが、被害者のコンピュータにインストールされます。そのコンピュータは、攻撃者の意のままに操られてしまいます。また、メールに書かれているURLをクリックすると、偽サイトへ導かれて、ウイルスを感染させられます。それが銀行の偽サイトならば、暗証番号を盗まれます。
偽メールの見破り方を以下に述べます。
私は、送信者のアドレスが、私自身のメールアドレスになっているメールを、数多く受け取りました。このトリックは、一見複雑そうに見えますが、簡単なものです。自分にメールを出したことはなかったので、すぐに偽メールと分かりました。
何人もの知人が、埼玉りそな銀行や日本郵政を名乗る偽メールを、受け取りました。怪しいと思うメールを受け取ったならば、メールを開かず、Google検索から銀行などのサイトへ行ってください。警告文を見つけると思います。また、変な日本語が書かれている場合には、要注意です。送信者のメールアドレスが.cn(中国)や.ru(ロシア)で終わっている場合は、ほぼ間違いなく偽メールです。
最も有効な対策は、メール送受信やウェブ検索を行うコンピュータを、銀行などにアクセスするコンピュータと、分けることです。また、金融機関に登録するメールアドレスを、一般用に使うアドレスと別のものにすれば、金融機関を名乗って一般用アドレスへ送られてきたメールは、偽メールとすぐに分かります。
私の知人が、メールアドレスはたった一つしか持てない、と思っていました。そんなことはありません。 アドレスは好きなだけ、いくつでも持てます。
消費税の8%から10%への引き上げは、2年半延期することになりました。増税派と主要なメディアが常に強調するのは、日本の消費税率は極めて低いということです。
各国の消費税率
上だけを見れば、確かに日本の税率は低いと言えます。けれども、私たちが払う税金は、消費税だけではありません。低率の消費税だけを増税の根拠にするのは、詭弁です。
車を買えば税金をいくつもかけられ、他国にはない車検時にさらに税金をかけられます。日本の相続税は世界最高で、相続税のない国がいくつもあります。
国民負担率(国民所得に対する税と社会保障負担金の割合)
国民負担率は、EU諸国にほぼ追いつきました。消費税をEU並みに20%にすると、国民負担率は50%を超えてしまいます。それで、ドイツやスウエーデン並みに、社会保障を徹底できるのでしょうか?ちなみに、日本人の平均年収は上記の国々よりも低く、世界18位なので、消費税率を20%に引き上げれば、生活は他国よりも苦しくなります。
人口当りの日本の医師数は、OECD34か国中29位で、医療大国といばれる状況ではありません。政府予算に占める教育予算の割合にいたっては、なんと31か国中30位。ところが、GDP比での教育支出は22位です。政府は、教育に予算を使っていません。親が、子の膨大な教育費を負担しています。
日本の大学進学率は51%で、OECD平均の62%よりも低く、31か国中で22位。教育大国といばることもできません。
増税よりも予算の使い方を考えなければ、日本人の生活は楽になりません。具体的には、新幹線などを含む箱物建設ではなく、国を背負う人間を作る教育への投資が、必要です。GDP比での社会保障給付費は世界15位で、日本人が考えるほどには、他国と比べて日本は医療に予算を使っていません。ジェネリックを多用するなどして、余った医療費を障害者に回すような工夫が必要です。
以上、OECDと内閣府の資料を使いました。
素材やパーツも自社で作る、「垂直統合型」のものづくりは古い、とよく言われます。素材やパーツを世界中から集めて製品を作る、「水平統合型」産業への転換が、大事だそうです。その成功例としてアップルがあげられます。
ちょっと待ってください。
水平統合型産業では、参入障壁が低いことを忘れないでください。特に、情報関連で特徴的です。ちょっと気の利いた若者が、世界制覇をしてしまいます。パソコンが一般化したのは1980年代で、ウインドウズの世界制覇は1990年代に開始されました。ところが、スマホの普及で、マイクロソフトには今や斜陽の影が射しています。
1993年にアップルが最初のスマホを発売。2007年にiPhoneを発売。アップルは究極の水平統合型企業で、世界中から集めたパーツを、アセンブルするためのデザインしかやっていません。スマホに関しては、超短期間のうちに、ノキア、サムスン、ファーウェイなどの企業の栄枯盛衰が、繰り返されました。絶対的な覇者になったサムソンが、早くもファーウェイに地位を脅かされています。
アンドロイドOSの急成長は、2010年以降です。Googleが、モジュール組み立て式スマホを、2015年に発売しました。個人が、買い集めたパーツをアセンブルして、自分だけのスマホを作るのです。これは、アセンブリ企業が不要になる可能性を、示唆しています。
水平統合型産業は、まるでかげろうです。企業や国が栄えるには、長期に渡る技術蓄積と、工場などへの資本投下が必要なものづくりに、集中する必要があります。人、技術、工場、資本への長期投資が行われていれば、新規参入組に容易には脅かされません。
狩猟民族には、獲物の捕獲に、情報の収集・処理と戦略が必要でした。彼らは、IT産業向けの能力を持っています。かたや、農耕民族は、繰り返しの作業にノウハウを持っていて、地道な品種改良などが得意です。トヨタのカイゼンが、その典型的な例です。
かつて自動車産業の絶対的な覇者だったアメリカが、日本に追いつかれ追い越されました。ものづくりでも、油断をすれば覇者交代が起こります。けれども、それには、情報関連産業よりももっと長い時間がかかります。
韓国や中国が、造船で日本を追い越し、自動車でも追撃しています。これらは、半分アセンブリ産業です。日本には、素材産業での優位の維持が必要です。素材やパーツは、アセンブリ産業に必須です。素材で絶対的な優位を保っている限り、日本は高度な産業を維持できます。
資源ブームが来る前の1990年代、オーストラリアの低所得者層の生活が、とても苦しくなりました。高所得者との間のギャップが広がり、将来に希望を持てない底辺の白人の不満が、大きくなりました。
この不満を吸収したのが、女性政治家のポーリン・ハンソンでした(エッセイ10「父の体臭を嫌う娘から進化が見える」)。彼女は、ブリスベン近郊の町でフィッシュ・アンド・チップス店を経営していましたが、反アジア・反先住民政策を掲げるワン・ネーション党を立ち上げ、一大旋風を巻き起こしました。クイーンズランド州の選挙で20%以上の票を獲得し、全国的な世論調査でも、20%の人たちがワン・ネーション党を支持しました。
ワン・ネーション党の選挙勝利のあと、ハンソに対するマスコミの評価が変わってしまいました。人種差別主義者という言葉は後へ退き、国民の腹の底に溜まっている不満の代弁者ということになったのです。
アジ演説は次のようなものでした。「21世紀には、オーストラリアはアジア人に呑みこまれてしまう。アジア人を入れるな。銃は誰にでも持たせよ。アジア人との市民戦争をいとわない。英語以外の言葉を使うことを禁止。外国人学校は廃止。アボリジニの福祉を手厚くするのは、白人に対する人種差別だ。子供を2人以上持っているシングル・マザーの手当を、全廃。」
こんなことも言いました。「 日本人などのアジア人、そしてアフリカ人たちは、白人を猛烈に嫌いお互いを嫌いあっている。これらの人々をこの国にほしいと思うか?私は一人の純血なオーストラリア人として、90%のオーストラリア人を代表し、『No!』と言う。」
小さな店の経営者だったハンソンとは違い、トランプは不動産業で大儲けをした大金持ちです。けれども、両者が政治的に浮上する時代背景はよく似ています。人種偏見をもとに、憎悪の言葉をマイノリティに投げつけるやり方も、酷似しています。不遇な白人層が支持基盤であることもそっくりです。
オバマとトランプの間にも、よく似た時代背景があります。オバマは「Change!」と言い、トランプも「現状変更」を主張しています。オバマの主要な支持層が黒人低所得者だったのに対して、トランプの支持層は白人低所得者です。アメリカは大丈夫なのでしょうか?
オーストラリアから妻の妹夫妻が来て、8日間滞在しました。2人が日本で何に驚いたのか、次に列挙します。
オーストラリアへ帰国したばかりの2人と、スカイプで話しました。「日本は美しい、驚きの連続」と、興奮した言葉が次々と飛び出しました。余りの感激に、帰国してすぐに日本食料品店へ行って、日本料理の食材を大量に買い込んだのです。
8日間で上記のような感想が出る場所へ連れていくために、計画からガイドまで私は大変な努力をしました。その努力がかなえられました。モダンと伝統が違和感なく融合した日本の姿に、多くの外国人がとても驚きます(エッセイ45「世界が日本人に注目している」)。もっとも、夫はイタリア系オーストラリア人なので、称賛の言葉を少し割り引いたほうがいいかもしれません。
私たちの宇宙を誕生させた高次元時空の様相、宇宙存在の動的な背景、生命体誕生と進化など、存在の究極的な姿を描いた本を現在書いています。
アインシュタインの相対性理論は、目に見えるマクロな宇宙を説明しています。けれども、その宇宙を構成するミクロな量子の世界は、相対性理論では説明できません。そこで、超ひも理論やループ量子重力理論が誕生しました。最先端の量子力学を、最も分かりやすい言葉で説明するのは難しく、この箇所を時間をかけて書き進めています。
今月、生命体が存在する可能性がとても大きい惑星が、3個見つかった、という報告がありました。惑星の大きさは地球程度で、温度も地球程度と思われます。地球からの距離は約40光年。宇宙的なスケールではとても近いと言えます。
昨年、生命体が存在する可能性のある惑星が、私たちの銀河系(島宇宙)に数十億個存在する、という報告がありました。この数は、私が2012年に書いたエッセイ評論(エッセイ27「生き残りのための総力戦」)で示した数と、正確に一致します。宇宙には数千億個の銀河が存在するので、生命体が存在する可能性のある惑星の数は、天文学的になります。宇宙は、地球上の生物のような炭素系生命体で、満ちあふれているのです。
上記の本の結論は、私たちの宇宙以外にも無数の宇宙が存在し、それらの宇宙の惑星上で生命体が自然に誕生している、となります。
昨日のことでした。近くの野球場で試合が終わった時間に、ラッキーを連れて妻と散歩しました。私たちは、道路の左の歩道を歩いていました。向かいから野球帰りの大勢の人たち。歩道の左端の灌木や立ち木すれすれのところを、歩かざるを得ませんでした。
人波にまぎれていた中年の男性が、突然目の前にラッキーを見て飛び上がりました。
「ヒャー、バセンジーだ!」
驚いたのはその男性だけではありません。ラッキーと私たちも、男性の驚天動地ぶりに圧倒されて、身を引いてしまいました。
「ここでバセンジーに会えるなんて、あり得ない。私もバセンジーを飼っているのです」
そう言うと、男性はしゃがみ込んで、手をラッキーの鼻先へ突き出しました。
「バセンジーのにおいがする?」
自分を「珍しい犬」とは意識していないラッキーの腰は、完全に引けていました。それでも、一応、差し出された男性の手のにおいをかぎました。その程度の社交性はあります。
「家のバセンジーとそっくりです。私のバセンジーは13歳です。このバセンジーは何歳ですか?」
「6歳です」
「いいですね!」(何がいいのでしょうか?)
この男性にとって、野球よりもラッキーに出会えたことが、より一層大事な思い出になりそうです。
私が住む街には他にバセンジーはいないはずなので、男性がどこに住んでいるのかをたずねました。東京をはさんで反対側になる、横浜に住んでいるそうです。
ラッキーを触るととても気持ちがいいので、犬仲間はラッキーに触りたがります。ラッキーはアイコンタクトが特異なので、食べ物をくれる女性をアイコンタクトで簡単に落とせます。「目がきれい、毛がきれい、いつもスマート、静かで落ち着いている、他の犬との付き合い方が抜群」などとほめられまくるラッキー。人間のほめ言葉は、ラッキーには食傷気味かもしれませんが、「親ばか」の私はいつ聞いてもうれしいのです。
熊本在住の若いアメリカ人男性が、CNNのニュースで地震のレポートをしました。付近の日本人の助けがあって、避難所への移動に何も問題はありませんでした。現在、避難所で寝起きしています。
飲み物や食べ物が、多くの人に行きわたるように、地震直後から配られています。パニックにおちいることなく、誰もが、自分ができることを整然とやっているのを見て、そのアメリカ人はとても驚きました。大震災で、東北地方に住んでいた外国人が驚いたことが、熊本でも繰り返されたのです。
アメリカ人は、「こんなすばらしい人たちが住む、熊本の住民であることを、私はとても誇りに思っています」とまで、最後に言いました。残念ながら、すべての日本人が誠実というわけではなく、泥棒の被害が報告され始めました。
私の長年のフランス人の友だちが、今回の地震で被害を受けた日本人へ、お見舞いの言葉を送ってきました。大震災での日本人の行動を知っているので、今回も、日本人は落ち着いて問題の処理に当たることを、確信していました。
このような災難があっても、パニックにならない民族性は、度重なる自然災害によって、繰り返し生活を破壊されてきた歴史によって作られたことを、その友だちに説明しました。そこで、「諦観」という言葉を使いました。人間にはどうしようもない自然災害に遭遇した場合、不幸な現実にこだわっていても仕方がありません。不幸な過去はあきらめる。不幸を乗り越えて、再度生活を構築する以外に選択の余地はありません。日本人の諦観は、そんなポジティブな民族性につながっています。
外国人が感動する日本人の民族性の裏に、厳しい現実があることを、友だちは理解してくれたと思います。何しろ、そのフランス人は柔道と空手が有段で、「自分は日本人よりももっとサムライだ」と、いつも言っているのです。
原子力規制委員会の「厳しい」新規制基準によると、原子炉などの重要施設を、活断層の上に存立させられなくなりました。最近、敦賀原発の原子炉の直下にある断層が、活断層か否かという議論があったことを、皆さんは覚えていると思います。敦賀原発の原子炉直下の断層が活断層ではなくても、そこからわずか250mしか離れていないところに、浦底断層があります。福井県の敦賀湾周辺は、10基以上の原発が立ち並ぶ原発銀座であると同時に、活断層の巣でもあります。
熊本を中心にした今回の地震では、活断層だけが震源になっているわけではありません。活断層から少し離れた地盤でも、地震が多発しています。地震の専門家は、活断層がずれると、そこに乗っている建物の被害が甚大になるが、活断層からはずれていれば、横揺れだけになるので被害は小さくなる、といっています。本当ですか?テレビニュースを見ていれば誰にでも分かります。地表の至るところに段差や亀裂が認められます。
土壌を形成する岩や土は、硬軟入り乱れています。そんな地盤にひずみがかかると、ナイフで切った豆腐のようにスパッと切れ目が入るわけではありません。ひずみがかかると、活断層だけではなく、地盤のどこでも震源になり得ます。地盤のどこにでも亀裂が入り、段差が生じ得ます。そんな当り前のことが、専門家に分からないはずがありません。
世界で最も脆弱な地盤から成る日本列島。網の目のように張り巡らされている、今までに確認された活断層。その網の目をさらに小さくする未確認の活断層。いつでも容易に新しくひび割れる脆弱な地盤。次の地震は、どこで発生しても不思議ではありません(拙著「地震・原発列島」)。
現在、唯一稼働している、鹿児島県の川内原発の近くで地震が多発していることは、自然による重大な警告と考えなければなりません。突然襲ってくる地震だけでも、日本人に極度の困難をもたらします。なぜ、原発を維持することによって、人為的に困難を極限にまで高めようとするのでしょうか?
市川市で、地域住民に反対されて保育園建設が中止になった、というニュースが流れています。反対するのは主に高齢者で、反対の理由は「騒音」と狭い道路です。
顔を隠したままインタビューに答えた男性が、「こんな施設を作ることは絶対に許さない」、と言っていました。私は、背筋に冷たいものが走るのを感じました。「こんな施設」という言葉に、保育園は絶対悪という響きがあります。「許さない」という言葉に、強烈な独善性が垣間見えます。子供は騒がしいので、生活の安穏をおびやかすそうです。
3mの高さの防音壁を張り巡らした、既存の保育園があります。園庭で遊ぶ子供たちは、まるで刑務所に入っているようです。
こんな状況下で成長する子供たちが大人になったならば、どういう人間になるのでしょうか?自分の所得を食いつぶす年寄りは社会悪、と考えるようになっても不思議ではありません。異なる世代どうしが一緒に住んで助け合うという、社会成立の基盤が崩壊する危機が到来します。
自分は他の人によって生かされています。自分は他の人を生かさなければなりません。この世は持ちつ持たれつ。誰も一人で生きることはできません。
街中に住んでいれば、他の人たちが出す音や臭いを感じるのは、当り前です。それをいやがる人は、自分も同じようなことをやっているのを忘れています。他人の生活音や生活臭がいやならば、人里離れた山奥に住むのが、最善の選択になります。誰からも迷惑をかけられず、誰にも迷惑をかけなくて済みます。
私のマンションの右前方に保育園があります。その向こう側に小学校。運動会やお祭りで、太鼓をたたくなどとてもにぎやかです。夏祭りの晩には、目の前で父兄が花火を打ち上げます。それでも、私はうるさいと思ったことはありません。子供たちが活発に動き回っているのを見るのは、とても楽しいものです。
3月22日に、ANAの国内線システムサーバー4台に、不具合が次々と発生。原因は不明です。飛行機の発着ができなくなりました。復旧に1日を要しました。4月1日には、JALの機器管理システムサーバーに不具合が発生。飛行機の出発ができなくなりました。出発再開までに3時間かかりました。
JALが、「サイバー攻撃の可能性は低い」という声明を出しました。何度も書いていますが、サイバー攻撃は気づかれにくい上に、被害者が気づいても、安全性に疑念を持たれたり、脆弱部位をハッカーに知られることを恐れて、攻撃が成功したことを公に認めることは、ほとんどありません。ANAとJALのシステム障害が、サイバー攻撃によるものかどうかは、これだけの報道では勿論分かりません。
2年前に、クアラルンプールから北京へ向かったマレーシア航空の旅客機が、ベトナム沖で突然に消息を絶ちました。その後の根気強い調査で、飛行機がオーストラリア西方の海へ墜落したことが、ほぼ確実になりました。ベトナム沖からインド洋へ出て、オーストラリアの西方へ飛ぶまでの長い飛行の間、飛行機が全く確認されないという、奇妙な事態が起こったのです。
種々の状況証拠を考慮すると、外部の攻撃者によってシステムを乗っ取られたか、サイバー攻撃でシステムが破壊された可能性があります。
マイクロソフトよりも、アップルのセキュリティのほうが堅固と、一般にいわれています。銃乱射事件の犯人が使っていたiPhoneのロック解除を、FBIがアップルに求めました。個人の権利と国家の安全のどちらを優先すべきかという大論争が、アメリカで発生しました。NSA(アメリカ国家安全保障局)の極秘活動を暴露し、ロシアに亡命しているスノーデン(拙著「サイバー世界戦争の深い闇」)が、「FBIは、自分たちの技術で容易にロック解除できる。アップルへの圧力は、従わない者への見せしめだ」というコメントを、出しました。
3月30日の報道によると、FBIが、アップルの助けなしにロック解除をしました。驚くべきなのは、FBIが市販のデータ抽出機器を使ったことです。この機器ユーフェドは、日本のサン電子の子会社セレブライト(イスラエル)によって開発されました。
データがどれほど暗号化されても、開錠して目に見えるデータにできるようになっている限りは、意志と能力のある第3者が読み取ることを妨げられません。Windows10では、位置情報、入力情報、連絡先、カレンダーの予定、画像、音声認識、手書きパターン、表示広告などの膨大な量の個人情報が、マイクロソフトへ送られます。エッセイ46「Windows10のセキュリティ設定」に書いた程度のことは、必ずやっていただきたいと思います。
サイバー攻撃で考えられる最悪の被害は、コントロール・センターを乗っ取られて、原発が破壊され核ミサイルが暴発されることです(エッセイ34「サイバー攻撃で原発爆発、核ミサイル暴発」、拙著「サイバー世界戦争の深い闇」)。
ブリュッセルのテロリストの捜査から、イスラム国が原発破壊を視野に入れていることが、明らかになりつつあります。昨年、イラク南部で、高レベル放射性物質が盗まれました。無事に取り戻されましたが、イスラム国へ流される恐れがありました。
広島、長崎、福島を経験した私たち日本人は、放射性物質が、空間的のみならず時間的にも、深刻な被害を人々にもたらすことを、世界で最もよく知っています(知っていなければなりません)。
死ぬつもりで攻撃するテロリストから原発を守るには、核兵器を保管している軍事基地並みの厳重な防御体制が、必要になります。コストだけを考えても、発電施設にすぎない原発に、そんなことができるはずがありません。
北朝鮮の核ミサイルが問題になっています。けれども、原発を攻撃すれば、通常弾頭のミサイルによって、核ミサイル並みの被害をもたらすことができます。このような危険性を考慮すると、国家安全保障上からも、原発を全廃するのが正しい選択になります。
個人によるテロや国家によるテロは、事前に予告されるわけではありません。福島で典型的に見られたように、被害が生じてから反省するのではなく、想定内の被害を未然に防ぐ抜本的な対策を、今講じる必要があります。
アメリカ大統領選の台風の目、ドナルド・トランプ。支持者は、「偉大な国アメリカをリードできる強い男」と、言っています。本当にそうなのでしょうか?
マイノリティの移民や女性をこき下ろす姿は、「弱い者いじめをするいじめっ子」としか、私には見えません。
対外的には、味方を敵に回すことしか考えていない、「おろかな大統領候補」というイメージしかありません。メキシコ、日本、中国、EUへ、経済や軍事の観点からかみついています。中国はともかく、メキシコ、日本、EUという、最も親米的な国々を攻撃することの意味が分からない、トランプ。大統領になったならば、間違いなくアメリカを没落させます。
アメリカの軍事予算は約70兆円で、世界の軍事予算の4割を占め、日本の税収50数兆円をはるかに超えています。日本を含む世界の国々が、アメリカの最先端の高価な兵器を買っています。軍需産業がアメリカを牽引しているのです。米軍兵力は150万人で、自動車産業の労働者数130万人を超えています。
アメリカの繁栄のためには戦争が必要で、第2次世界大戦後、繰り返し戦争を行ってきました。強大な軍事力のおかげで世界覇権を握ることができ、経済、金融、外交などで、世界を自国に従わせることができました。
トランプは、米軍をヨーロッパや日本から引き上げることを、示唆しています。アメリカにとって、これが深刻な意味を持つことを、アメリカ人は理解していないようです。反トランプの他候補でさえも、気づいていません。
今まで、日本やヨーロッパが、アメリカにとっての緩衝地帯になっていました。戦争は、その外側で生じました。アメリカ軍が自国に閉じこもれば、緩衝地帯は、アメリカ本土の海岸線へ限りなく近づいていきます。すなわち、戦争が起こった場合、アメリカ本土が戦場になる可能性が、限りなく大きくなるのです。
戦争になった場合、アメリカは、焦土作戦を展開しなければなりません。9.11でパニックになったアメリカ人が、そのような状況に耐えられるのでしょうか?
日本へのサイバー攻撃数は、2013年約128億件、2014年約257億件と数が多いだけではなく、倍々ゲームで増えています。日本中のパソコン、タブレット、スマホだけではなく、IoTのネットに組み込まれている、すべてのコンピューター端末が標的になります。
攻撃されていることに気づくユーザー(個人、官公庁、企業)は稀です。被害に気づいても、それを公にするユーザーも稀です(拙著「サイバー世界戦争の深い闇」)。
本日の日経新聞に、「ハッキング被害90億円」という記事がありました。バングラデシュ中央銀行のシステムにハッカーが侵入し、送金手続きに必要な情報を入手。他国の口座へ送金させたのです。バングラ銀行の口座を管理しているのは米ニューヨーク連邦準備銀行で、送金はニューヨーク連銀から行われました。
もしもハッカーの侵入に気づかなければ、被害総額は1130億円に上ったようです。被害が90億円で済んだのは、全くの偶然です。ハッカーにいい加減なところがあって、スリランカの口座への送金で、口座名義のつづりを間違えたのです。
バングラ銀行のセキュリティは低いかもしれませんが、実際に送金されたのはニューヨーク連銀からです。すなわち、脆弱な入り口はどこにでもあり、堅固なセキュリティで守られているからといって、安心はできないのです。
バングラ中銀は、被害を1か月も隠していました。隠しきれずに銀行総裁が辞任しました。隠し通すことができれば、総裁は辞めなかったはずです。勿論、被害が公になることはありませんでした。
注意深いハッカーが侵入し、1件の被害が90億円よりもずっと少なければ、銀行が気づかないことは大いにありそうです。気づいても、信用失墜と侵入口が公になることを恐れて、攻撃の事実を隠し通す銀行は、とても多いと思います。
バングラ銀行の件では、ハッカーの具体的な侵入口は明らかにされていませんが、個人のスマホやパソコンも侵入口や踏み台になり得ます。エッセイ46「Windows10のセキュリティ設定」で書いたことが、必要最低限のセキュリティ設定になります。これくらいは、ぜひ実行してください。
2015年1月に、元理研研究員の石川智久さんが、小保方さんを兵庫県警に刑事告発し、5月に告発が受理されました。最初は被告発人を小保方さんにしていましたが、その後被疑者不詳として再提出しました。
告発状の内容は、「若山さんが山梨大へ移動するのに伴って移管する予定だった、ES細胞入りのチューブ80本が、<紛失した当時とほぼ同じ状況で>小保方研究室のフリーザーから見つかった。石川さんの推計では、小保方さんが窃盗したサンプルには、約4080万円の価値がある」、というものです(FRIDAYデジタル)。
2016年2月に、兵庫県警が、参考人として、小保方さんを任意で事情聴取していたことが、分かりました。
疑問1:ES細胞のサンプル
告発状自体が、小保方さんの「無罪」を示唆しています。
研究所や大学で長年研究していた研究者ならば、分かります。引っ越し時のゴタゴタで、サンプルの移管がうまくいかないことが、あります。告発状によると、小保方さんは、若山さんのサンプルを、リスト化して保管していたそうです。自分のサンプルとは区別して、若山さんのサンプルを大事に取っておいた可能性が、大きい。
自分のものにしたければ、自分のサンプルの中に埋没させてしまうはずです。研究者には分かりますが、そんなことは容易にできます。
「紛失した当時とほぼ同じ状況で」見つかったということは、小保方さんは、これらのサンプルに「ほぼ手をつけていなかった」ということです。
サンプルの中には、「できふでき」があり、引っ越しの際に、研究者は良いサンプルを選んで持っていくのが、普通です。上記の80本は、廃棄してもいい「ふできなサンプル」だったという指摘があります(山梨大学に「Chong Li」 博士の受け入れ記録無し!)。
疑問2:告発人石川智久
気負って告発した石川さんは、事情をとてもよく知っている、小保方さんと同じ神戸の理研研究センター(CDB)で研究をしていたのかと、思いました。ウィキペディアで検索しました(石川智久 (薬物動態学者))。驚きました。2009~2014年まで、遠く離れた横浜の理研研究所で働いていたのです。しかも専門が異なり、生化学領域の薬物動態学です。
値段をつけられない研究用サンプルに、4080万円という値段をつけたのも、奇妙です。極端にいえば、研究用サンプルは無価値か無限大の価値かの、どちらかになります。
この人の背景に、私は強い興味を持ちました。自分よりも30歳も若い研究者を抹殺したい本当の理由は、なんでしょうか?
疑問3:存在しなかったことにされている「現実」
亡くなった笹井芳樹さんは、日本でES細胞に最も精通していた研究者です。2014年4月の記者会見で、STAP細胞(STAP現象)がES細胞ではない万能細胞と考える根拠を、次のように述べました(エッセイ42「小保方晴子が愛するSTAP細胞)。
小保方さんの研究に疑問を呈する研究者は、笹井さんの見解を論理的に否定しなければなりません。こんな当り前なこともやらない(できない)研究者は、研究者ではなく、ただの「政治屋」と見られても仕方がありません。
5年前の3月11日の午後に、ラッキーの去勢手術がありました。手術終了から30分後、麻酔からまだ完全には覚めていないときに、大震災が発生しました(エッセイ21「日本を襲う真の危機」)。地面の液状化によって、ペットクリニックの床が泥水でおおわれました。
日本列島の地盤は世界で最も脆弱で、世界の地震の約20%が列島周辺で発生します(拙著「地震・原発列島」)。現在活断層の痕跡が見つからない地層に、活断層が新しく生じる可能性は、「想定内」になります。列島のどこにでも地層のズレが発生することを前提に、原発問題を考えなければなりません。
原発の商業運転開始後約50年目に、福島の事故が起こりました。安全のための規制が厳しくなったので、今後事故の可能性は低くなる、という意見があります。けれども、既存原発の原子炉などの機器のすべてが、時とともに劣化します。チェルノブイリの原発を覆ったコンクリートが劣化して、危険な状態になっていることを思い出してください。再稼働させれば、事故が発生する確率は今までよりも高くなる、と考えるのが論理的です。
福島原発の土地を更地にするのに、100年かかるかもしれません。その前に再び事故が起これば、日本の2か所で、並行して事故の処理をするという状況が、やってきます。
福島の汚染水は、5年で100万トン近くになりました。減らす方法が見つからないので、次の5年で倍になります。しかも、事故を起こした原子炉も汚染水タンクも、時とともに劣化するので、そこから汚染が周囲へ拡散する危険が、限りなく大きくなります。これは「想定内」です。
原発は極端に高価(拙著「地震・原発列島」)。福島の事故の処理だけで、10兆円を超えそうです。原発事故による日本経済全体へのダメージは、計算ができません。使用済み核燃料の処理と保管にかかる年数と費用も、計算することは不可能です。これに対して、再生可能エネルギーは輸入する必要がなく(ウランは全量を輸入)、いくら使ってもタダです。
日本の電力需要のピークは2007年で、その後は減少する傾向にあります。人口減少と省エネ技術の発達を考えると、電力需要が長期的に増大することは、考えられません。電力が供給過剰になることが、すでに心配されています。再生可能エネルギーのさらなる導入によって、原発に頼る必要は全くなくなるのです。
原発全廃が、日本が取るべき最善の選択であることは、とても単純明快な現実です。
大学を卒業し、実習生としてホワイトハウスへ派遣されたモニカ・ルインスキー。当時の大統領ビル・クリントンと「世紀の不倫」をしたのは、ちょうど20年前でした。大統領執務室での「愛の交換」が明らかになり、米大統領のスキャンダルが世界を騒がせました。
この実話をもとにして書いた小説(Story8「大統領の愛人」)を、「アニメと小説の工房」に載せたのは、2008年のことでした。
小説の登場人物は実名にしませんでした。モニカ・ルインスキーをナニカ・ラブスキー(何か・愛好き)に、ビル・クリントンをブル・フリントン(雄牛・不倫とん)に、ヒラリー・クリントンをエラリー(偉いー)にしました。ホワイト・ハウスはブルー・ハウス。
エラリーにとって一番大事なのは、大統領夫人(ファースト・レディ)でいること、という設定です。離婚すればただの女性になってしまうので、離婚はしないどころか、公の場で夫を責めることは全くありません。これは事実に合致した設定でした。ヒラリーが、マスコミの前で夫を責めることはなかったのです。
私にとって予想外だったのは、エラリー(ヒラリー)が、大統領夫人でいることを、人生の最優先事項にしただけではなかったことです。今、ヒラリー(エラリー)自らが大統領になることに、執念を燃やしています。大統領職は、彼女の人生最大の執念だったのです。
共和党の大統領予備選では、不動産王のトランプが圧倒的優位を保っています。「メキシコの資金で、メキシコとの間に防壁を構築する」、「メキシコ、中国、日本がアメリカから仕事を奪っている」、「円安でアメリカへ輸出を増やしている日本に、借りを返させる」、「イスラム教徒を入国させない」などという過激な発言で、知られています。
民主党の予備選では、ヒラリーが圧倒的に優位です。世界という場で夫に恥をかかされても耐え抜き、大統領職に人生を賭けているヒラリー。大統領になれるでしょうか?
「作者の思い」に、「日本を中国にしたい与党議員」というタイトルで、コメントを書いたことがあります(2015年6月27日)。要点は以下のようになります。
「政権批判をするメディアはつぶさなければならない」と発言する与党議員が、相ついだ。
国家権力は、警察・軍隊などの実力組織を動かすことができる。徴税・福祉などの行政を使って、国民生活を左右できる。この強大な権力を監視するのが、ジャーナリズムの大事な役割。独裁国家の権力は、ジャーナリズムによる批判を恐れ、徹底的に骨抜きにしようとする。
各種の国際世論調査で、日本は高い評価を受けている。けれども、たった一つだけ、厳しい評価を受けていることがある。「報道の自由度ランキング」は、調査対象180か国の中で61位。順位は韓国よりも低い。日本のメディアの多くは政権寄りで、メディアの役割を果たしていないと、判断されている。
「絶対権力は絶対に腐敗する」
神ではない一人ひとりの人間は、誰でも判断を誤ります。また、異なる社会環境下で生活してきた他人に思いを巡らせ、繁栄を保証する策を講じることは、誰にとってもとても困難です。
さらに、権力者が、自分の主張を通すために、暴力で国民を抑えつけることは、歴史上ずっと繰り返されてきました。
万能ではない一人の人間に、絶対権力を与えるのはとても危険です。社会を繁栄させる手段としては、民主主義はとても遠回りです。けれども、多様な人間の意向を吸い上げ、多様な人間に幸福をもたらすためには、これしかありません。
2月8日に、高市総務相が、「行政が何度要請しても、全く改善しない放送局に、何の対応もしないとは約束できない」と、政府に同調しない放送局の電波停止を示唆しました。この主管大臣による恫喝は、上記与党議員の発言と重なります。
ジャーナリズムが「政治的公平を保つ」とは、国家権力を監視し批判するところにあるという、民主主義の基本を知らない政治家が、大臣になっているのです。
日本のメディアの多くに、権力につけ入れられやすい体質があります。ほとんどのメディアが、「公正中立な報道」をうたっています。このため、政権党が、メディアの脇腹を容易に突くことができるのです。また、これは、国民が多様な意見を持つ妨げになっています。
各メディアは、主義主張を鮮明にしたほうがいい。その主義主張が、権力からの介入に抵抗するための基盤になります。同時に、国民が多様な意見を持つ手助けになります。
本日、埼玉りそな銀行を装った、フィッシングメールを受け取りました。巧妙な偽メールなので、他の受信者の中には引っかかる方がいるかもしれません。
メールのタイトルは「本人認証サービス」。内容は、「ネットショップサーバーから、利用者の個人情報が不正取得されました。アカウントの安全性を保つために、銀行システムをアップグレードしましたので、アカウントが凍結されないように、ただちに登録を確認してください」となっています。登録確認のためにクリックするURLが書いてあります。
これが偽メールであることは、私には一目瞭然です。私は、りそな銀行に口座を持っていません。また、金融機関に登録してあるメールアドレスは、金融機関以外では使っていません。このメールの宛先は、私が一般的なやり取りに使っているアドレスでした。
りそなに口座を持っていて、メールアドレスに私のような注意を払っていない方が、少し疑って、差出人のメールアドレスや書かれているURLを調べると、逆に信用してしまうほど巧妙です。
差出人のアドレスはmp@resona-gr.co.jpとなっていて、疑わしいわけではありません。グーグル検索で、りそな銀行のログイン画面のURLを調べると、https://mp.resona-gr.co.jp/mypage/MPMB010X010M.mp?BK=0017となっているからです。
偽メールに示されたログイン画面のURLは、極めて紛らわしい。https://mp.resona-gr.co.jp/mypage/MPMB010X010M.mp?BK=0010。正規URLとの違いが分かりますか?最後の数字が、正規では0017、偽メールでは0010となっているだけです。ただし、このURLは単なるダミーで、余り意味はないかもしれません。
偽URLの下に、カッコ付きで怪しいURLが書かれています。<//www.linzhi.net.cn/images/>。.cn(China)は、このドメインが中国にあることを示しています。このURLをクリックさせたいのではないでしょうか。ここをクリックすると、偽ログイン画面へ誘導され、パスワードなどを盗まれると思われます。/images/となっているので、クリックすると同時に、imagesに隠れたマルウェアが、パソコンにインストールされる可能性もあります。
こういうメールは、すぐに削除するのがセキュリティ対策になります。不安ならば、グーグル検索から正規の銀行サイトへ入って、何か問題があるのかを確認してください。
海外に投資口座を開いて、株式、ETF、投信に投資する方法を、いくつかのエッセイ評論に書きました。ここでは、確定申告をする際の注意事項を書きます。確定申告の形式は、もともと海外譲渡分を想定していなかったので、とても分かりにくいという問題があります。
まず、売買について損益計算をしなければなりません。アメリカの口座内で完結する売買は、米ドルのみで取引が終了します。けれども日本の確定申告では、円換算での申告をしなければなりません。
銀行のサイトで、各年の平均為替レートを調べ、売買年のレートを使って取得費と譲渡額を計算します。株式の購入では、米ドルを買うという前提になるので、TTSを使います。売却では、日本円を購入するという想定になり、TTBを使います。配当は円買いになるのでTTB、税金はドルを買うのでTTSです。
購入に使った取得費と売却で得た譲渡額の合計を計算して、確定申告書の作成をします。
ブラウザは、WindowsではExplorer 11しか使えません。「確定申告書等作成コーナー」を開きます。電子申告の場合、「作成開始」から「e-Tax」へ入ります。以下、求められている設定をします。
海外譲渡分の入力方法はとても分かりにくいとはいえ、一度マスターしてしまえば、その後は自分で容易に申告できるようになります。
1.「配当所得、配当控除(取引区分の選択)」
「申告分離課税を選択する」にチェック。 「配当所得と株式等の譲渡所得の両方」で「入力する」をクリック。
2.「株式等の譲渡所得等」
「株式等に係る譲渡所得等のxxx」にチェックを入れ、前年から繰り越された損失がある場合は、「はい」をチェック。「特定口座(源泉徴収口座)のうちxxx」と「未公開分の取引がある」にチェック。海外での取引は、未公開分に分類されるところがポイント。
3.「株式等の譲渡所得等(未公開分明細)」と「株式等の譲渡所得等(未公開分取引)」
海外分の合計と詳細取引を入力。
4.1.から海外分配当へ入る。「2 非上場株式等(xxx)の配当等に関する事項」
「個別に非上場株式等の配当等を入力する」で「訂正」をクリック。
5.「配当所得、配当控除(非上場株式等)」
「1 上場株式等以外のxxx」にチェックを入れ、海外分入力。
6.外国税額控除
トップページの「外国税額控除」から入り、海外で払った税金を入力。
7.「2 国外所得の計算」
国外所得の総額=譲渡所得+配当所得
税務署の皆様、海外資産の把握に躍起になっているようですが、それならば、海外譲渡分の確定申告書作成を、もっと分かりやすくしてはいかがでしょうか?
2年近く前に、エッセイ42「小保方晴子が愛するSTAP細胞」を書きました。小保方さんの研究を外側から見つめての考察。彼女が置かれた環境にも目配りしました。
小保方さんが、手記「あの日」(講談社)を1月に出版しました。今までの挫折を含めて、自分の内面をつづった手記です。研究論文ではないので、当然主観的になります。それを、「自分に都合のいいように書いた」と、批判したコメンテーターがいます。見当違いな批判です。
男性研究者が、自分の内面をこのように語ることはありません。同じ生物系の研究をやってきた私は、彼女の心の動きに特に興味を持ちました。
私がエッセイ評論で推測したように、生きている細胞への驚異が、彼女の研究のバネになりました。ハーバード大学へ行くきっかけは、ちょっとした出会い。そのままアメリカまで突っ走ってしまいました。他人に瞬間的にアプローチできる、女性特有のフットワークの軽さ。その後のいろいろな研究者との出会い、ディスカッションの場で感じた高揚感などが、詳細に書かれています。
エッセイ評論で指摘しましたが、周囲の研究者をつんぼ桟敷に置いて、こっそりと実験を進めたということは、あり得なかったのです。日本とアメリカの両国で、彼女は間違いなく、自分の研究の進行状況を、他の研究者に話していました。
普通の人間である研究者。他の研究者の名誉欲や嫉妬などの感情が、問題を複雑にしました。特に山梨大若山教授の主張は、前後関係を考えるととても奇妙でした。この本で、そんな状況になった背景を、彼女は説明しています。もっとも、自分の内面をつづっているので、彼女の主観が入っている可能性があります。
Natureに論文が載ったくらいでは、マスコミは、普通は大騒ぎをしません。STAP細胞が衆目を集めたのは、自殺した笹井さんがES細胞の世界的権威だったことと、キュートな小保方さんの発見が、世界的権威によって称賛されたことで、ニュースとしての価値が上がったためと思われます。
「ねつ造」と批判されたことへの彼女の説明と、エッセイ評論に書いた私の考察との間には、矛盾がありません。
最初に小保方さんを持ち上げたことが後ろめたくなったのか、メディアによるバッシングは凄まじいものでした。まるで、記者には個人的な恨みがあるような感じでした。
私のエッセイ評論の最後に書きましたが、「生物学的にはSTAP細胞はあって当然」なのです。こういうバカ騒ぎで、人間の利益になるはずの生物学的な研究をおとしめてしまう。人間の業です。
私は、地元のナツメロクラブの活動に関与しています。2時間で20数曲を歌う、とてもハードなナツメロクラブです。
本日、ボランティア活動として、地元のサービス付き高齢者住宅で、「皆でナツメロを歌う会」を主催しました。主にからだが不自由なお年寄りが住んだり、デイケアサービスを受けたりしています。歌ったナツメロは10曲。
20数年ぶりに歌を歌ったという女性は、昔歌ったヒット曲をよく覚えていて、若々しい張りのある声で歌い上げました。有名私立K大学卒業の女性は、「演歌なんて大嫌い。私はオペラしか歌いません」と言って、私たちが作った歌詞集を開きませんでした。彼女はそういうプライドに支えられて、今まで生きてきたのです。
歌の途中で涙を流す人たちが6~7人いました(20数名参加)。特に、「北国の春」や「川の流れのように」が、胸の奥にまでズンと響いたようです。会の最後に、突然立ち上がった男性が言いました。
「私は91年生きてきましたが、今日のように楽しい思いをしたことは、余りありません」
歌の力はすごい!
私は、「人間はなぜ歌を歌うのか?」というタイトルのエッセイを書くつもりで、今資料を集めています。歌好きがとても多いにも関わらず、歌を歌う人間の心理(本能)を解析した文献がとても少ないことに、驚いています。
やりたいことが多すぎて、自分で自分に手を焼いています。エッセイ45「世界が日本人に注目している」との関連で、電子本を書くための作業は、途中で止まっています。「宇宙論」の電子本執筆を後回しにして、エッセイ48「暴落局面で株式へ投資する方法」を書いてしまいました。投資環境の急変が、その必要性を感じさせたのです。そして、現在プライオリティを最も高くしているのが、「ハワイ旅行記」のエッセイです。細かいことを忘れる前に、このサイトのために、クルージングの体験を具体的に書いています。
乞う、ご期待!
1月12、13日の日経新聞に、上記タイトルの論文が載りました。両日とも論文が一面の半分を占め、論者はオックスフォード大学と東大の3人の教授やフェローです。他面でロボットなどの特集を組んでいるので、日経がこの論文に力を入れたことが分かります。
私が書いたエッセイ47「人工知能は誰のために富を生むのか?」と、論点は同じです。要点は以下のようになります。
「AIが生産性を加速させるので、日本の労働力減少は大きな問題にはならない。けれども、AIは人の多くの仕事を奪う。AIを活用する人は高所得を得るが、そうでなければ低所得に甘んじなければならない。労働市場の縮小を考慮した平等な社会の構築が、必要になる。
AIと人をつなぐ職業に就くには、人と人のコミュニケーション能力を求められる。理系、文系の区切りはなくなる。」
私と全く同じ意見なので、私には反論する理由がありません。けれども、3人のうちの2人が経済学者なので、私のエッセイで強調した問題に、具体的に触れてもらいたかったと思います。
それは、富の分配の問題です。不特定多数の人たちが、AIの端末のようになって、AIの命になるデータを提供します。AIとロボットが人間の実需のほとんど全てを生産する社会では、これら不特定多数の人たちに、豊かな生活を保障するための富の分配方法を、確立しなければなりません。これは、技術の進歩に見合った社会の進歩が必要なことを、意味します。
経済学者や社会学者が、上の問題に対する答を模索しなければならない時代に、すでに入っています。
ハワイの4島巡りクルージングから戻りました。クルージングへ行ったことはないけれども、一度は行ってみたいという皆さんのために、後ほど旅行記を具体的に書きます。ここには、頑張る日本人について書いておきたいと思います。
「Pride of America」という名のアメリカの客船に乗りました。乗客2100人、乗組員900人という大きな船です。この船で、日本人女性が客室乗務員として働いています。中年のとても毅然とした女性です。
この女性は、陸上に住むところを持っていません。すでに10年も船に住んでいるのです。ツアーの添乗員によると、船の彼女の部屋は小さいので、かさばる私物は、陸上のコンテナ物置に置いているそうです。
ツアー添乗員は、日本人乗客にテキパキと指示を出すこの女性を、「教官」と呼んでいました。ところがこの女性は、教官と呼ばれるのは気に入らないようで、「教頭と呼んでください」と添乗員に言ったのです。
船長よりも船の中の諸事情を知っていて、他の乗組員からは一目置かれている(煙たがられている?)らしいこの女性。船長を校長とすれば、裏で校長を補佐する教頭ということになる、と自ら考えているのです。
成田空港に着いたその足で、ドッグホテルの「ログワールド」へラッキーを引き取りに行きました。
家で、ラッキーは、ソファに敷いたシープ・スキンの上に寝そべって、家族と一緒の時間を過ごします。古代エジプト原産のバセンジーは寒さに弱いので、冬は厚い毛布で包んでしまいます。寒さ対策のために、この毛布をログワールドへ持っていきました。ラッキーは、この毛布を自分の物と心得ています。
私たち夫婦がログワールドに到着すると、ラッキーは家へ帰れるのがうれしくて、大騒ぎになりました。けれども、たった一つ、忘れないことがあったのです。自分の毛布を持って帰るために、口で猛烈に引っ張りました。こんな状況下でも、自分の物を家に持って帰ることを忘れない。親バカの飼い主である私の感想は、「ラッキーはしっかりした犬だ」でした。
エッセイ45に、「日本人が世界で一番愛される理由」というタイトルで電子本を執筆中、と書きました。ところが、それは現在休んでいます。
宇宙論と進化論を総体的にとらえ、「宇宙はどのようにして存在しているのか、生命はどのようにして存在しているのか、それらの疑問に対する答を橋渡しする量子論を使って、思索をどこまで広げられるのか」という、なんとも壮大な内容の本を書くことに集中しているのです。全力投球をしても、容易に書き下ろせるような内容ではありません。ちゃんとまとまるかどうかも定かではありません。
調整できる時間のすべてを使っていますが、時間は「アッ」という間に過ぎてしまいます。それでも、半年前に予約をしたハワイのクルージングへは、1月に出かけます。
エッセイ27の追記「175億個以上の地球型惑星」に書きましたが、ハワイには日本が関与した巨大な次世代望遠鏡が、建設されています。すばる望遠鏡もハワイにあり、すでに多くの業績を上げています。空気がきれいなだけではなく、周囲は人のいない太平洋なので、空を照らす人工的な明かりのないことが、ハワイに望遠鏡が設置される理由です。
船はその太平洋上を走るので、夜甲板に寝転がって星空を見るのが楽しみです。オーストラリアの星空も見事ですが、街明かりが届かないところまでは、車でかなり走らなければなりません。船上のようにノンビリというわけにはいきません。
今朝も、ラッキーが、モンタの写真を背にして、スフィンクスの姿勢を取っていました。モンタが永眠して6年になります。クリスマスが近づくと、モンタが今でも家にいるような錯覚に、襲われます。
私たちがオーストラリアに住んでいたときに、長男が1人で帰国し、G高校の寮に入りました。それ以来、ずっと別居していますが、クリスマスにはいつも家に戻っていました。クリスチャンの妻にとって、クリスマスが1年で最も大事な行事なので、家族皆でクリスマスを過ごすことにしていたのです。
家族全員が日本へ帰国して5年目からの07~09年には、長男は家へ戻りませんでした。07年、08年のクリスマスには、モンタの行動に何も変化はありませんでした。09年12月23、24日の晩に、モンタはいつもとは違う行動を取りました。寒い玄関に腹ばいになって、帰るはずの息子を待ち続けたのです。大好物のヨーグルトを見せながら居間へ呼んでも、モンタは身じろぎもせずに、玄関のドアを見つめていました。
正月になってからも、忙しい息子は家へ戻りませんでした。モンタは、2週間後の1月7日に突然に永眠しました。妻の行動から、息子が家に戻る時期であることを知ったモンタは、死ぬ前に息子に会うことを望んだのです。モンタの異常高行動の意味を理解できなかった私たち。モンタの望みはかないませんでした。
そのことを息子に話しました。息子は激しく泣きました。このことをエッセイ15「最後まで大きく燃やした命の炎」に書きました。
今日、こんなことがありました。
洗濯物をたくさんぶら下げたハンガーを、物干し竿に下げました。その中にラッキーの服がありました。洗濯物の高さは、ラッキーが背伸びをすれば届く程度。
バルコニーに出たラッキーは、洗濯物へ一目散。何も迷わずに自分の服の端をくわえると、口で引っ張って服を洗濯バサミからはずしてしまいました。洗濯済みなので、においで自分の服が分かったわけではありません。服のデザインを見て、自分の服を見分けたのです。
「ラッキーは頭がいい」、とこんなことでも飼い主の私と妻は喜びます。
以前、こんな報道がありました。
ベトナム人は、犬の肉を食べます。自国で捕獲される犬だけでは足りず、タイ人は犬を食べないので、食肉用として犬をタイから輸入しているほどです。ところが、タイ人やベトナム人の生活が豊かになるにつれて、犬をペットして可愛がる人が増えました。食用にできる犬の数が減っています。
その結果、飼い主の油断を見透かして、犬を捕獲する業者がベトナムで増えています。
あるとき、自分の犬を盗まれた男性がとても怒って、捕獲した業者を見つけて殺してしまいました。その男性は殺人罪で警察に捕まりました。けれども、ベトナム戦争に兵士として従事したその男性は、次のように自分の気持ちを述べたのです。
「私はベトナム戦争で、捕虜にした米軍兵士を殺そうなどとは、一度も思ったことがなかった。けれども、私の犬を盗んで殺したアイツを許すことはできなかった。アイツを殺したことを全く後悔していない」
「人間として生きた犬の心」というタイトルの、私のエッセイと電子書籍があります。犬を飼っている皆さんはともかく、犬を飼ったことのない方は、このタイトルに違和感を覚えるかもしれません。
犬は、今まで考えられていた以上に、人間に近い心理を持っているという研究結果が、最近いくつか報告されました。その要点を書いておきます。
「犬が特に人間的なのは、人間と共感しあうところです。犬は人を注意深く観察し、良好な関係を築くために、いろいろな局面で人に寛大になります。飼い主によく思われようと、おべっかも使います。嫉妬をしていることを伝えたり、悲しんでいる人には、同情を表現したりもします。良好な関係を築けないと思う人とは、距離を保とうとします」
「飼い主と他者の関係を注意深く見ていて、飼い主の側に立つような行動を取ります。飼い主の視線を追って、自分の注意を飼い主に同化させるようなことも、やります」
「犬も高齢になれば記憶力が衰えます。けれども、学習を繰り返すことによって、ある程度記憶を残らせることができます」
研究論文の一つは、次のような衝撃的な結論に至りました。
「飼い主は、人間の友だちや人生の伴侶よりも、犬により一体化しています。一心同体になったように、飼い主と犬の個性が一致します」
ラッキーの飼い主である私は、これらの論文によって、心理的に図星を刺されたように感じます。四足の分身に幸あれ!
日本は、今、土曜日の朝9時。パリは、日が変わったばかりの深夜1時です。
日本のテレビは、いつも通りに朝の番組をやっています。けれども、CNNやBBCは、パリのテロ攻撃をライブで報道し続けています。
現時点では、100人程度が殺されたということしか、分かりません。アメリカのロックバンドが演奏していたコンサートホール、フランスとドイツが試合をやっていたサッカースタジアム、それ以外のまだ未特定の場所で、テロ攻撃があったのです。テロリストはまだ活動中。人質も取られているようです。
このテロを実行したと名乗りを上げた組織は、まだありません。けれども、イスラム国にほぼ間違いがないと、報道されています。先日、エジプトのシナイ半島でロシアの旅客機が空中爆破され、224人が殺されました。イスラム国が実行したと、声明を出しました。
1年ほど前に、元外交官を中心にしたシンポジウムが、ありました。アメリカが、イラクのイスラム国へ空爆を開始した直後でした。当時、イスラム国は、国境が明確な独立国の建設を目指すことを、宣言していました。元外交官は、サイクスピコ協定などの国際的な約束をもとに、現在の国境を変えるどのような試みも間違っているとし、イスラム国を叩き潰そうとするアメリカに、エールを送りました。
私は、イスラム原理主義の国を作ることだけを目的にしたイスラム国は、世界の安定のために有効活用したほうがいいと、述べました。イスラム原理主義者をイスラム国へ集めさせ、イスラム国という国として明確な相手と、軍事・外交・政治・経済の交渉をするほうがやりやすいと、説明しました。イスラム国を崩壊させれば、イスラム国で訓練されたテロリストが世界中へ広がり、世界が危険になることは、目に見えていたからです。
私の意見を聞いた元外交官は真っ赤になって怒り、アメリカの強大な力を信じている他の参加者からは、私に対して失笑が漏れました。けれども、現実はまさに私が予想した通りに動いています。
私が上のように主張した理由は、中東の歴史にあります。現実を冷徹に見てください。アメリカはイラクでフセインを、リビアでカダフィを次々に排除し、シリアではアサドの弱体化を試みました。その結果は、惨憺たるものです。極度の混乱とイスラム国の台頭。
中東には、独裁者が必要なのです。強権に裏打ちされた独裁は、極度の混乱と終りのない大量殺戮よりもずっと良いことを、認めなければなりません。
おとな(大犬)になってから、激しいじゃれあいを余りやらなくなったラッキー。扱いやすくなったけれども、ちょっと寂しい。それが、飼い主の微妙な本音です。
少し前に、ラッキーを興奮させる方法を見つけました。
ソファで腹ばいになって寝そべっているラッキーは、からだだけではなく、あごもシープスキンに密着させています。
目をトロンとさせて、気持ちよさそうにしているラッキーへ向かって、右手を伸ばしました。
人差し指と中指を動物の前足のように動かし、ラッキーへ近づけました。小さな動物が、スキンの上を這いながら近づいてきたように、ラッキーからは見えたはずです。少なくとも、私はそう見える工夫をしながら、ラッキーへ手を近づけました。小動物がラッキーに挑戦するように、右手を左右へ這わせたり、前後に急に動かしたりしました。
ラッキーの反応は、驚くべきものでした。頭をスッと上げると、目を輝かせながら手の動きを追いました。手をさらに近づけると、ラッキーはかむふりをして、歯を私の手に当てました。
ラッキーの激しい反応を予想していなかったので、とても面白くなりました。小動物が攻撃するように、ラッキーのつめの先へ、私の指を突然に触れさせました。ラッキーは高く飛び上がると、そのままカーペットの上へ飛び降りました。私が追いかける小動物を演じると、ラッキーは遁走してしまいました。
この遊びを何度繰り返しても、ラッキーの反応に変わりはありませんでした。
私は、この遊びの意味を真剣に考えてしまいました。ラッキーの先祖がアフリカに住んでいたときに、天敵の小動物がいて、ご先祖様が身の危険を感じた状況を、想像したのです。ラッキーの反応は、それくらいに激しいものでした。
ところが、ところが、ところが、・・・・。私の予想に反して、ラッキーはただ単に私をからかっていただけなのです。私が遊びでやっていることを百も承知の上で、私の遊びにつきあっていたのです。
2日前のことでした。ラッキーの異常行動を記録に収めようと、左手にカメラを構え、寝そべっているラッキーに小動物を近づけました。
そのときのラッキーの予想外の表情を、決して忘れません。いつもの激しい反応は全くせず、カメラ慣れしているラッキーは、トロンとした表情のまま、カメラと私の顔に目を向けました。小動物は完全に無視。小動物に激しい攻撃をさせても、ラッキーの表情は、「何をバカなことをやっているの」というものでした。身じろぎもしませんでした。